らくがきさんのレビュー
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今日から僕は!
鈴木大輔, 中田貴大 / MF文庫J
「リア充」への道は険しい
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「おにあい」や「鳩子さんとラブコメ」、「文句のつけようがないラブコメ」などで知られる鈴木大輔先生の作品です。
これまで勉強一筋だった主人公が、高校(途中)デビューを目論んでイメチェンするも、いろいろ…な問題が発生、それらの苦難を乗り越えて「リア充」へステップアップする話、のはずです。
まぁ、「リア充」といっても、主人公の思い描く「リア充」はただの「モテまくり」「ヤリまくり」でしかないのですが。薄っぺらいですね・・・
勘違いから同居人になってしまったヒロイン(かな?)との関係がこれから気になるところですが、まだ1巻ですし、ラストを読んだらそもそもヒロインなのかどうか分からなくなってきました。
ただ、刊行からもう3年も経ってます。この作品面白くなりそうなので、早く次が出ないかなぁ・・・
どうでもいいことかもしれませんが、麻耶子さんが「河合荘」の麻弓さんとかぶるのは私だけでしょうか?
それと、「GTO」には笑えました(^^; 続きを読む投稿日:2017.08.27
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生徒会の火種 碧陽学園生徒会黙示録3
葵せきな, 狗神煌 / 富士見ファンタジア文庫
本作も笑えます
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「日常」シリーズ3作目。
今回は6話構成ですが、あいかわらずどれもが笑えます。
特に、4話目の修学旅行のパートはかなりのページ数があるにも関わらず、出だしからぶっ飛ばし、中だるみすることなく次々と…ネタがつぎ込まれるよ!と思ったら、後半からは現役アイドルとの爆笑だけどなんかほんわりする内容で締めくくられるという、秀逸な構成展開で感服します。
個人的にはその次の、現行生徒会の仕組みの始まりを描いた「始まる生徒会」がお気に入りです。登場人物たちのトークのテンポの良さが心地よく、でもとっても笑える内容なのが自分的にツボで、作品タイトルの「火種」って言葉が出てくるのも気に入ってます。
3作目まで読んできた印象では、「一存」よりもこの「日常」シリーズのほうが全体的にテンポがいいように感じます。生徒会室という場所の制約を受けていないこともあるかもしれませんが、せきな先生の筆力がいっそうパワーアップしているのが一番の理由じゃないかと思われます。
「一存」シリーズ読者は必読!そうじゃない方は「一存」シリーズとともに「日常」シリーズを大人買いすべきです(^^) 続きを読む投稿日:2017.08.25
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生徒会の月末 碧陽学園生徒会黙示録2
葵せきな, 狗神煌 / 富士見ファンタジア文庫
「日常」シリーズ2作目です
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ゲーマーズ!アニメ化で絶好調の葵せきな先生の代表作、「生徒会の一存」シリーズの外伝「日常」シリーズの第2作です。
「日常」シリーズは、学園外活動の記録が数多く出てくるので、「一存」シリーズとは違った…意味で楽しめます。
どの章もあいかわらず笑えますが、特におすすめなのが健の放課後を描いた「コイツは早くクビにするべきだろう……」by 守、の章です。健と守の掛け合いがあまりにもバカバカしくて笑え過ぎ、読んでいて思わず吹き出す、どころか爆笑してしまい、周りの人たちに怪訝な顔を超えた、変質者を見るような眼差しをいただいてしまったぐらいです。これほど笑えるコメントを次々と繰り出せる健、・・・じゃなかった、せきな先生にはただただ感服するばかりです。
若干ナンセンスでも構わないから、テンポの良い爆笑ストーリーを好まれる方には文句なく、絶対のお奨めです! 続きを読む投稿日:2017.08.25
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一ナノ秒のリリス
瀬尾順, 風見春樹 / 講談社ラノベ文庫
特殊能力少女の話です
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タイトルに魅かれて購入しました・・・が、冒頭から重いです。
いわゆる社会の底辺にいて、恵まれない境遇の姉妹がその特殊能力を見込まれて最重要国家機密兵器となる背景を描く必要性から仕方ないのですが、ここ…まで辛い状況を設定しなくてもいいのでは?と、ちょっと悲しくなるぐらいです。
全体のストーリーは楽しめます。ベースはポピュラーな学園ものライトノベル調(主人公を好きな幼馴染や妹、転校生として主人公のクラスにやってくるヒロイン、等)ですが、特殊兵器として育成されたヒロインの凄まじさと彼女が与えられたミッションの残酷さが、この作品の大きなアクセントになっています。これまで自分が読んだことのない設定なので斬新でした。
ただ、この斬新な設定のため、どうしても完全なハッピーエンドに結びつけることができません。読んでる途中でも「これって、どうやってエンディングに持っていくんだろう?」と予想が全くできない状態でした。
しかし、読み終えると、「あぁ、確かにこの手があったなぁ」と納得するものがありました。ヒロインだけは今後も辛い想いを抱えて生きていくことを余儀なくされるエンディングですが、ストーリーの展開上、致し方ないところでしょう。 続きを読む投稿日:2017.08.25
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ゲーマーズ!8 星ノ守心春と逆転バックアタック
葵せきな, 仙人掌 / 富士見ファンタジア文庫
自分より姉の想いを優先するけなげなコノハさん
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アニメ化もされ、ある意味絶好調の「ゲーマーズ」の最新巻です。
あいかわらず、朴念仁のケータですが、自分の揺れ動く心にとまどっている模様。
特に、微妙なこだわりを除けば相性抜群のチアキに対する好意は…さらに増しているものの、その気持ちが何なのか、はっきりと自覚できずにいるのがほほえましいというか、もどかしいというか…。
まちがいなく「恋」であるその気持ちを中心に、各登場人物の想いがそれぞれの視点から描かれるのはいつもの通りです。
また、いい意味での「ご都合主義」で話がややこしくなっていくのもいつもの通りです。
今回の一番のお奨めは、ケータに並々ならむ感情(含む並々ならぬ下心)を抱いているにも関わらず、姉の恋路を成就させるべく、自分の想いをただただ押し殺して姉のために尽くし、まい進するコノハさんのけなげな姿です。 続きを読む投稿日:2017.08.15
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パラダイス・ロスト
柳広司 / 角川文庫
今回もクールです。
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ジョーカー・ゲームシリーズ3作目。
どれから読んでも十分面白いだろうとは思いますが、各作品は概ね時系列に並んでおり、設立の背景なんかも描かれているので、一応1作目の「ジョーカー・ゲーム」から読むほう…がいいでしょう。
テーマ構成と時系列の関係上、日本の安寧を保とうという「D機関」の思惑とは裏腹に、日本は東アジアの紛争から大東亜戦争へと「引きずり込まれて」行きます。そのため、どうしてもスパイ達の暗躍も最終的には日本の国益に結びつかなくなってしまっている感は否めません。
そういった意味で言うと、前2作よりも「達成感」「満足感」は少なくなっていると思います。
しかし、「スパイ職人」とも言うべきD機関メンバー達の臨機応変な仕事の徹底ぶりから味わえる一種の「爽快感」は色褪せることはありません。
私のお奨めは3話目の「追跡」です。これまで同様、このシリーズの根幹をなす「正体のばれたスパイに存在価値はない」というコンセプトが特にはっきり表現されていると思います。
結城中佐の秘密を暴こうと、本来あるべき「隠密性」からはみ出して、逆に正体を暴かれてしまったプライスと、そんな事態すら予測して二十年以上も前から偽の経歴(カバー)を準備していた結城中佐。
「正体を隠す」という目的に関して正反対の結果となった二人を通して、一流のスパイの在り方が鮮やかに描き出されています。
奇しくも、このレビューを書いた当日(2017年8月7日)の読売新聞に、漫画家竹宮恵子さんとお兄様、そしてお兄様の同期生だったルバング島の残留日本兵小野田寛郎少尉の記事が掲載されていました。
陸軍中野学校二俣分校1期生(通称「マタイチ」)だったお兄様と小野田少尉が叩き込まれていた教えの一つが、「どんな形でもいいから絶対に生き延びて任務を果たすこと」だったそうです。
スパイが卑怯だと考えられていた旧帝国陸軍においても、情報将校(スパイ)の在るべき姿はこうだったんだなぁ、と感慨深く記事を拝見しました。
次作のラスト・ワルツの電子書籍化が未だであるのがかなり残念です。 続きを読む投稿日:2017.08.07