らくがきさんのレビュー
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忘却のレーテ(新潮文庫nex)
法条遥 / 新潮文庫nex
読みやすい作品です
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私の読解力とマッチしているのか、とても読みやすく、どんどんページが進む作品でした。
状況設定をきわめて閉鎖的で特殊なものにすることで、あいまいになりそうな部分を切り落とすことができており、そのために…現状の把握がしやすくなっています。
残念なのは、半分ほど読んだところで物語の真実、すなわちレーテによってもたらされている現実がわかってしまったところです。
しかし、この分野におけるこのプロットは私にとっては斬新であり、著者の文章構成力も相まって、わかってしまった後でも十分楽しむことができました。
記憶や時間をテーマとする作品を好む方にはお奨めです。 続きを読む投稿日:2021.07.15
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ROUTER(桜ノ杜ぶんこ)
西村悠, チガサキモト / 桜ノ杜ぶんこ
面白いです!!特殊な背景設定が好きなら特にお勧めします
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私は、世界設定がちょっと現実離れしたりしてる小説も好きなのでとても面白く読むことができました。
発症者の潜在的願望を具現化する「幻想病」によって人類は壊滅し、世界は幻想病が作り出した様々な怪異「病痕…」に埋め尽くされている、という世界設定です。
冷凍睡眠によって生き延びた主人公ルータと、相棒(?)シノツクですが、自分に関する記憶を失っています。物語は、他にいるかもしれない人類の生き残りと幻想病の治療装置などを探す二人の旅路を描きながら進みます。
かなりのページ数がある大作ですが、いくつかの章に分かれていることと、それぞれがよく練られた構成になっていることで長さを感じさせません。作者の筆力の高さがうかがえます。
この作品のクライマックスは、当然ですがラストの第四話で描かれます。どういう結末になるのかいろいろ考えながら読み進めていましたが、正直このラストは想像してませんでした。
しかし、この作品を本当に素晴らしいものにしているのは、直後のエピローグ部分です。第四話で、ちょっと寂しいけど「そうだったのかぁ」と納得して完結したはずの物語が、この短いエピローグによって全く異なる感動的な作品へと駆け上がっていきます。
世界設定と二人の会話内容が、このエンディングを導くためだったとは、作者の構成力の凄さにただただ感服するばかりです。
西村先生の作品は初めて読んだのですが、他の作品も読んでみようと思わせる名作です。 続きを読む投稿日:2019.11.22
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――ねぇ、柴田。
川瀬千紗 / SKYHIGH文庫
願いをかなえるために
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このタイトルに魅かれて読みましたが、とにかく面白いです!感動します。
「外面はクールなんだが・・・」ってヒロインを好む方には特にお勧めです。
主要な登場人物たちそれぞれが、一人の少女に対する受け入…れきれていない過去を抱えて生きています。
少女の残した彼等への思いが、その願いをかなえようとする人物によってありえない偶然のように見える出会いを演出し、彼等の心の影を払っていきます。
基本、主人公目線ですが、後半に挿入されるヒロイン視点からの流れが秀逸です。
さらに、読み終わってから振り返った時、親友の存在の大きさと強さに改めて感動させられます。自分にもこのような友人がいればなぁ、と思わずにはいられません。
読んでいる途中はご都合主義の展開のように感じられましたが、終わってみると「こういった流れもアリかな?」と思っている自分がいます。
妹の死因が断定されておらず、想像される原因が「そんなことあるのかなぁ?」って内容なのがちょっと気になるところでしょうか。 続きを読む投稿日:2019.08.29
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ジンクスゲーム
アダチアタル, ニリツ / GA文庫
殺人に特化した特殊能力者達のバトルロワイヤル
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一度死んだ身であるにも関わらず、妹を生き返らせたいという望みのためだけに蘇ってきた主人公。しかし、その望みをかなえるためには、蘇る際に与えられた殺人能力を駆使して、他の特殊能力者との争いに生き残らなけ…ればなりません。
このバトルロワイヤルのプロットがよくできています。ライバル達を排除しなければなりませんが、彼らの特殊能力の詳細がそもそも分かりません。しかも、最終目的は彼らを倒すことではなく、巷で連続する殺人事件の犯人を殺害することなのです。犯人の特定と殺害のためにライバル達を出し抜かなければなりませんが、その過程で自分が殺されないような注意も必要です。
それぞれの特殊能力がよく練られていて、作者の構成力の高さがうかがえます。
クライマックスからエンディングに至る中にも驚く展開があり、とても楽しく読むことができました。一番気に入ったのは、あとがきの「つづき」の部分です。
複数の異能が矛を交える、バトルロワイヤル系の作品を好まれる方には特にお奨めです。 続きを読む投稿日:2017.09.06
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僕とドSと腐女子と脳筋
新見聖, Syroh / MF文庫J
在校生のために全力を尽くす姿に好感が持てます。
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はちゃめちゃ設定ですが、主要登場人物のキャラが立っていて楽しい作品です。
いろいろ残念な点はあるけど一芸にはとてつもなく秀でた幼馴染たちとともに、これまたそこそこ優れた才能を持つ主人公が、クラスメー…ト達の名誉のために奮闘します。
ストーリーとしては、まぁありがちな学園ライトノベルですが、「修学点争奪戦」というアクセントが作品の魅力となっています。
修学旅行の内容や「罰ゲーム」的要求をかけて他校と争う「争奪戦」において、明らかに劣勢と思われた主人公の高校が、幼馴染たちと知恵を絞って勝利をつかむ姿には好感が持てますし、意外性と笑いがふんだんに盛り込まれていて楽しめます。
困難を克服する作品好きで、コメディタッチをご希望の方には特にお奨めです。
ヒロインがどう見てもツンデレで、主人公が朴念仁っぽいのもポイントです。 続きを読む投稿日:2017.09.02
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椎名町先輩の安全日 2
サイトウケンジ, CARNELIAN / MF文庫J
「安全日」の次は「危険日」!?
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自分のイチオシキャラ、八殿識のヒロイン回です!!
そもそも表紙から、識さんのヒロイン回の香りがプンプンします(^^)
主人公一行が孤立した館に閉じ込められるストーリー。主人公は今回もt当然一旦は死…んじゃいます。しかも、ついでに心臓もなくなっちゃうダブルパンチ。犯人とその背景(および心臓)を捜査するうちに、いろいろとあった謎が解明されます。
異能のおかげで心臓がなくなってもとりあえず生きていられる。う~ん、すごい能力です、っていうかそんなのあり?
最終的にはほぼすべて丸く収まるのでいいのですが、主人公の特殊能力が限定発動できることが発覚し、チート力がますます上がってます。
識さん推しの自分としては大満足の本作ですが、1巻のような推理小説要素は乏しいです。1巻の異能バトル部分を楽しめた方にはお奨めします。
どうでもいいですが、底抜けに明るい姉と静かな妹の双子、眼鏡を外すと本気で能力が使える、なんてところは「月姫」を彷彿とさせるのですが、そう感じるのは自分だけ? 続きを読む投稿日:2017.09.01