meatmanさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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そして誰もいなくなった
アガサ・クリスティー, 青木久惠 / クリスティー文庫
クローズドサークル系ミステリ小説の金字塔
0
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(あらすじ)
U.N.オーウェンなる人物の手紙で、孤島の館に招待された10人。しかしオーウェンは不在。
そして、どこからともなく不意に部屋にこだました、彼ら10 人の過去における罪の告発声明を皮切りに、壁にかけられた「10人のインディアン」の唄に準えて発生する連続殺人事件。
一人殺されるたび、一体ずつ消えていくインディアン人形…。
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これといった探偵役も居らず、唯々相手を怪しみながら減って行く登場人物達のリアルな緊張感。
探偵役もおらず、事件未解決のまま誰もいなくなり、ラストで漁師が拾うボトルに入った犯人の告白文によってのみ、その真相が明かされる。
そして、その真相も以外!非常に大雑把で大胆な犯行現場には、綿密なトリックが隠されていました。
初めは物足りなさを感じた淡々とした文体も、話の展開のテンポをはやめる効果となり、全く飽きさせないエンターテイメント作品へと仕上がってます。クローズドサークルミステリ物の金字塔。最高傑作です。 続きを読む投稿日:2013.09.24
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魍魎の匣(2)【電子百鬼夜行】
京極夏彦 / 講談社文庫
奇妙な事件
1
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(あらすじ)
「少女殺害未遂事件」、「連続バラバラ殺人事件」、「少女誘拐事件」、一見異なる3つの事件は『御筥様』なる謎の教団へと結びつく。果たして、これらの因果関係とは?そして、犯行は一体誰によるものなのか?刑事、陰陽師、作家、雑誌編集者、探偵の5人を中心に描かれるミステリー小説。
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一応推理ものであり、トリックやその解明も理論的とは言えますが、いくら我々が推理しようが、衝撃のラストに辿り着く事は出来ないでしょう。寧ろ、ただひたすら深まる謎と、張り巡らされる伏線に浸りながら読むのが良いと思います。
ただ、謎を提示した後、話が一度登場人物の難解な持論展開へとずれ、しかもそれを非常に長く丁寧に語るという事が度々あるので、せっかちな方はその都度歯痒い思いをするかもしれません。
自分も、読んでいて流石に疲れたと感じた場面はありました。ところが、そう言った長文を読む事に心が折れそうになるちょうど上手いタイミングで、物語は新たな展開を見せ、時にそれは全く予想だにしない方向であり、結局最後まで面白く読めてしまいます。
もちろん、本筋からずれた話全てが退屈であった訳でなく、霊能者の存在意義や、一般的に犯行の動機と呼ばれるも犯罪心理を憑き物として捉える解釈など、興味深いものも多々ありました。
登場人物たちの一人一人の個性も、上手に書き分けられていて、それだけでも面白い作品です。 続きを読む投稿日:2013.09.24
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魍魎の匣(3)【電子百鬼夜行】
京極夏彦 / 講談社文庫
奇妙な事件
2
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(あらすじ)
「少女殺害未遂事件」、「連続バラバラ殺人事件」、「少女誘拐事件」、一見異なる3つの事件は『御筥様』なる謎の教団へと結びつく。果たして、これらの因果関係とは?そして、犯行は一体誰によるものなのか?刑事、陰陽師、作家、雑誌編集者、探偵の5人を中心に描かれるミステリー小説。
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一応推理ものであり、トリックやその解明も理論的とは言えますが、いくら我々が推理しようが、衝撃のラストに辿り着く事は出来ないでしょう。寧ろ、ただひたすら深まる謎と、張り巡らされる伏線に浸りながら読むのが良いと思います。
ただ、謎を提示した後、話が一度登場人物の難解な持論展開へとずれ、しかもそれを非常に長く丁寧に語るという事が度々あるので、せっかちな方はその都度歯痒い思いをするかもしれません。
自分も、読んでいて流石に疲れたと感じた場面はありました。ところが、そう言った長文を読む事に心が折れそうになるちょうど上手いタイミングで、物語は新たな展開を見せ、時にそれは全く予想だにしない方向であり、結局最後まで面白く読めてしまいます。
もちろん、本筋からずれた話全てが退屈であった訳でなく、霊能者の存在意義や、一般的に犯行の動機と呼ばれるも犯罪心理を憑き物として捉える解釈など、興味深いものも多々ありました。
登場人物たちの一人一人の個性も、上手に書き分けられていて、それだけでも面白い作品です。 続きを読む投稿日:2013.09.24
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魍魎の匣(1)【電子百鬼夜行】
京極夏彦 / 講談社文庫
奇妙な事件
1
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(あらすじ)
「少女殺害未遂事件」、「連続バラバラ殺人事件」、「少女誘拐事件」、一見異なる3つの事件は『御筥様』なる謎の教団へと結びつく。果たして、これらの因果関係とは?そして、犯行は一体誰によるものなのか?刑事、陰陽師、作家、雑誌編集者、探偵の5人を中心に描かれるミステリー小説。
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一応推理ものであり、トリックやその解明も理論的とは言えますが、いくら我々が推理しようが、衝撃のラストに辿り着く事は出来ないでしょう。寧ろ、ただひたすら深まる謎と、張り巡らされる伏線に浸りながら読むのが良いと思います。
ただ、謎を提示した後、話が一度登場人物の難解な持論展開へとずれ、しかもそれを非常に長く丁寧に語るという事が度々あるので、せっかちな方はその都度歯痒い思いをするかもしれません。
自分も、読んでいて流石に疲れたと感じた場面はありました。ところが、そう言った長文を読む事に心が折れそうになるちょうど上手いタイミングで、物語は新たな展開を見せ、時にそれは全く予想だにしない方向であり、結局最後まで面白く読めてしまいます。
もちろん、本筋からずれた話全てが退屈であった訳でなく、霊能者の存在意義や、一般的に犯行の動機と呼ばれるも犯罪心理を憑き物として捉える解釈など、興味深いものも多々ありました。
登場人物たちの一人一人の個性も、上手に書き分けられていて、それだけでも面白い作品です。 続きを読む投稿日:2013.09.24
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十角館の殺人〈新装改訂版〉
綾辻行人 / 講談社文庫
一行で語られる真相
20
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(あらすじ)
有名な作家名をあだ名としてお互いを呼び合う程、推理小説にどっぷりはまった大学のミステリー研の面々7名が、十角形の館の立つ孤島での合宿を行う。館を立てた建築家、中村青司は、同島の別の屋敷の火災事故で一家もろとも無くなったというが、そこにはいくつもの懐疑点があったという。
そして、唐突に始まる謎の連続殺人事件。犯人は7人の中にいるのか?それとも、8人目が潜んでいるのか?彼らの命を狙う理由は何なのか?
時同じくして、島の外では、本土に残ったメンバーが、過去のメンバーでもあり研究会の歓迎会の最中の事故により死亡した中村青司の娘"千織"の死に関する怪文章を受け取り、偶然にも、中村青司と千織の、過去に起こった事故の真相を追う事となる。
はたして、現在人知れず島で起こっている怪奇な大惨事と、過去に起こった事故による中村青司、千織の死との関係は?
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外界との交信手段が途絶えたクローズドサークルで発生する事件と、同時に本土で行われるの過去の事故の調査とが、約1週間の出来事としてリアルタイムに並行して描かれていく本格派推理小説。
どんでん返しの、たった一行の真相が面白い!
一見ずるいようでいて、実はその全てに矛盾なく、ヒントとなる場面もしっかり描かれているので、終盤におけるたった一行での種明かしまでその事に気づけなかったのが、また悔しい。種明かしを読んだ時、全ての事件が一気に繋がります。
なるだけ素直な気持ちで、犯人が誰なのか類推しながらゆっくりと読む事が、この物語を最高に楽しむコツだと思います。ひたすら先が気になり、スラスラと読み進んでしまった自分は惜しいことをしました。 続きを読む投稿日:2013.09.24