hisashi9さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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子どもの身長をあと10cmのばす方法
ナ・ドンギュ, 森エマ / BANSEISHA
高身長至上主義に陥らないための本でもある
1
とても興味深かったです。
身長なんて高ければそれに越したことはないけど、かといって自分の力でどうこうできるものでもない、とも思っていました。高いのも低いのも運命みたいなものだと。背を伸ばす発想そのも…のがなかったです。人為的に身長を伸ばすなどという意識が日本の社会にどれくらい浸透しているのだろう?
本書は漢方を主とした東洋医学の医師が、背を伸ばす方法の実態や限界について説明をしてくれるわけですが、成長治療などという大袈裟なものではなくて、日常生活の地道な努力でまだまだ伸びる可能性が十分にあることを教えてくれます。ただし限界もある。だから「あと10cm」なんですね。
いったい何に気をつければいいのかは本書を読んでいただくことにして、就職や結婚などで暗黙の高身長至上主義(本書ではもっと率直に容貌至上主義という言い方をしていますが)がはびこる現代を憂う著者の思いもまた、切実に受け止めなければならないと思いました。我が子がたとえ希望する身長に達しなくても、自信のある子に育てることも、また親の、そして社会の責任であると思いました。 続きを読む投稿日:2015.03.24
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父親力 母子密着型子育てからの脱出
正高信男 / 中公新書
「イクメン」ではなく親父であること
3
非常に面白かったです。もちろん、笑い転げるわけではありませんが。
まもなく二児の父親になる身で、上の子は1歳半。できることがどんどん増えてきています。父親として、子どもらにたくましく強く成長してほし…いと思う一方で、子育てにそれほど知識があるわけでもないので、こういう本を読みたいなと思っていました。そういう人には、すごくオススメです。
初版はもう10年以上前ですが、そして本書で扱われている調査データはそれよりさらに少し昔ですが、主張はちっとも古びれていません。むしろ流行り廃りでないところに共感できます。
傾向と対策みたいな、マニュアル的な、あるいはノウハウ伝授型の本ではありません。「こんな時どうしたらいいの?」に答えてくれるわけでもありません。(でも、安易にそういうものを求めがちですよね)この本を読んだ人が、それぞれ自分の父親力をいかにして発揮しようかと思えるように、背中を後押ししてくれる本でした。
貧弱な子どもにしたくはなく、そして貧弱な父親としての自分でありたくもないので、読んで良かったです。 続きを読む投稿日:2015.03.13
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特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ
五百田達成, 堀田秀吾 / クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
心を温めたい人への一冊
4
ラクな文体で学術的なことが簡潔に書かれていて、読みやすかったです。
各方面の研究や実験なども紹介しつつ、それらを実際の日常にある習慣や、(職場・家庭・男女などの)共同体の中に潜む人間関係の問題に結びつ…け、学説やタームを使って分かりやすく解説してくれます。マンガのキャラや若者のジャーゴンもふんだんに出てくるので、ハハハッて笑いながら読めました。そして読み終わってなんとなく、冷めてた心温まりました。
人付き合いって、人それぞれ違ったスタイルを持っているんですよね。着る服を選ぶ時のように、付き合う人や付き合い方もみんなそれぞれ自分のお気に入りや定型を持っているみたいに。
人間関係をより円滑にしたい、と誰もが思うものでしょうが、いつも同じところに来て失敗するとか、同じパターンに陥るとかって、自分が持っているクセから来てるんだろうな、とこの本を読んで思いました。まあ、多くの人は感覚で分かっていることですよね。そこらへんの感覚的なものを分かりやすく解説してもらって、ついでにコミュニケーションへの勇気みたいな、応援みたいなものまでもらえた気がするので、オススメします。 続きを読む投稿日:2015.02.17
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身体でわかる女を幸せにする男
石原結實 / 中経の文庫
健康に老いましょうの本
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またも面白そうなタイトルにつられ、その実中身はタイトルほどセンセーショナルでない本でした。
もう少しHな内容を期待してたのに(?)、運動が大事、食事が大事、と喧伝しまくる本でした。俗にカッコいいと言…われる体型より、例え見た目はカッコいいと言えなくても、こういう人は絶倫なんですよ、こういう体型を目指しましょう、と言われてる感じの本です、極端に言うと。絶倫になるかどうかはとりあえず別にして、本書で紹介されているような部分を鍛えて、健康で若々しくいたいいとは思いました。
気になったのは若干誤字があることです。また、ごく当たり前の、言い古された健康法も随所に見られました。そして漢方の説明なんかもあり、一見眉唾ものの記述もあるので、余計に感じてしまったのですが、何か、よくわからない物質や用語を並べられると、ついその気になってしまうのがこの手の本の怖いところですよね。とある食品が健康にいいと言われると、たちまちスーパーでその品が売り切れてしまう、みたいな。そう書いてあるからそうなんだろうと思い込むのもどうかな?と。
とは言え、男の美容と健康について、これは良いよ、これはダメだよみたいなことがスッキリまとめられているので、おおいに参考にはしたいと思います。やっぱりモテたいですから。(と言いつつも妻一筋なんですけどね〜)
続きを読む投稿日:2015.01.13
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部下を持ったら必ず読む 「任せ方」の教科書 「プレーイング・マネージャー」になってはいけない
出口治明 / 角川書店単行本
「任せる」を実践しようと思います。
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プレーイング・マネージャーという言葉に惹かれて読みました。身近な人に心当たりがあるので。
ごくごく単純明解で、平易な文体で、堅苦しくもなくあっさり読めました。組織をうまく機能させるために理解しておく…べき基本が書かれています。値段の割に内容は簡素ではありますが、できそうで、意外とできない(できていない)社会人としての習慣てありますよね。著者の考え方やマネージャー的感覚、実践を少しでも見習いたいと思いました。 続きを読む投稿日:2015.01.08
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The Chrysanthemum and the Sword 菊と刀
ルース・ベネディクト, ジェイク・ロナルドソン / IBCパブリッシング
手軽に読める英語の本
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英語の勉強をと思っています。このストアで洋書が増えることを期待しているのですが、そしてなかなか増えていないようですが、このシリーズはそういう需要に応えてくれる上に、レベルもさまざまあるようですし、手軽…に名著といわれるものを読むことができるわけで、いいですよね。もっとたくさんシリーズが増えて、読む人が増えたら、ストアも本格的に洋書を販売するようになるでしょうか。
さて、本書も誰もが知っている作品の英語縮約版です。こういうものを読んでみようかな、と思ってしまうのは、世相を反映してのことでしょうか。ちなみに原書は1946年出版。とはいえ、古さはまったく感じませんでした。
第三者的観点から対象を批判するのは容易い。本書(しかし私は原書またはその日本語版そのものは読んだことがありません)で ルース・ベネディクトは外国人としての視点で日本を分析してはいますが、日本を劣等であるかのような批判は想像していたほど多くはないと感じました。
むしろ日本人である私が曖昧にしか分かっていないことや、考えたこともなかったことが多々書かれてありました。戦後レジームをそう簡単には否定できないし、かといって戦前の日本を旧時代的で未熟で、欧米に比較して劣等であると指弾するようなことも、私にはできません。太平洋戦争に突き進む中で、当時の日本にあったのは、日本的な価値観・日本的なアイデンティティだけであり、それは欧米のそれとは異なっていたというだけの事の様に感じます。
恐らく長年に渡って時代ごとの批評にさらされてきた本書でしょうから、そしてそれでもなお参照されることの多い本書ですから、ぜひとも読むべき本といって間違いはないでしょう。ただ、名著を短時間で読みたいとか、英語力をアップグレードしたいなど、原書ではなく、また日本語版でもなく、わざわざこの縮約版を読むのはそれなりの目的を持った人に限られると思います。(例えばこのストアには洋書が少ないと感じている人とか) 続きを読む投稿日:2014.12.24