hisashi9さんのレビュー
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103
このユーザーのレビュー
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ワルのすごい人心掌握術
門昌央 / 中経の文庫
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それから
夏目漱石 / 岩波文庫
すぐれた文学作品
1
草枕、三四郎に続いて、夏目漱石は3作品目。やはりというか、当然ながら文体の美しさや表現の豊かさ、博識さに驚き、圧倒され、感動しながら読みました。
主人公代助という人のイライラするほどの現代性に、まず…驚きました。こういう人って、小説の描かれた時代よりもむしろ現在の方が多いのではないでしょうか(当時のことを知らないのに言うのもなんですが…)。代助のように惜しみなく金銭を与えてくれる裕福な親や兄弟はいなくとも、大人になりきれずいつまでもモラトリアムを延長している人いますよね。リアルですよね。物語としては、私はそういった部分は読みたいとは思えないところですが、ナルシスティックな理想主義者で実際はなんら生産性のない人の描写のリアルさに、漱石の言葉の力の深奥を感じました。
また、そのような代助の人格の肉づけがしつこいほど精緻になされることによって、破滅的な物語の結末への必然性がなおさら説得力を強く持つことになるのだと思いました。
他人から見たら、愚かで恥知らずでみっともないだけの不倫が、ともすれば陳腐な、巷の世間話にしかならないこのテーマが、当事者からするとまったく違う価値を持っているということを、そしてその両方の視点を芸術的な文体で描いていて、ちっとも白々しくありません。
最後の方の場面や、物語の終わり方は、とても好きになりました。三四郎の静かなエンディングとは違う、胸騒ぎを覚えるような感覚で、「三四郎のそれから」として読むぶんにも、対比的で面白いと感じました。
素晴らしい小説でした。 続きを読む投稿日:2016.02.03
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あなたの1日を3時間増やす「超整理術」
高嶋美里 / 角川フォレスタ
端的なアドバイスでためになる
5
面白い内容で、読んでいるだけで自分ができる人のように感じ、いかに効率よく働くか、いかに人生を満喫するか、いろいろ思いを巡らしたくなる本でした。
身の周りや行動を整え、クリエイティブな事に費やす時間を…もっと増やすための方法を、14の項目に分けてそれぞれ解説してあります。どれも分かりやすく、ぜひ実践するべきだと思わせる内容でした。仕事の忙しさや煩雑さから解放されたい人は読んでみてもいいでしょう。私自身は大変参考になりました。 続きを読む投稿日:2016.01.19
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英語でつけるビジネス手帳 いつもの手帳を英語で書くだけ
小坂貴志 / 中経出版
なかなか便利な本
3
タイトルそのままの本です。挑戦しようと思う人は一読してみてもいいでしょう。ただ、視認性、一覧性、利便性、辞書的・参考書的利用の観点からすると、電子書籍ではなく紙の方を手元に置いたほうが、より手帳を書く…気になれそうだとは思いました。というわけで、星は4つにします。 続きを読む
投稿日:2016.01.05
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10ミニッツ メイド
水寺葛 / ITAN
10分でどんな事を頼もう?
1
書評で知り、読んでみようと思うに至った本です。ふだんマンガは読まないのですが、時々読むのもアリですね〜。絵が持っている力には、文章とはまた違ったものがありますね。
ランプの魔人を思わせる古典的な設定…ではあるけれど、デキるけどでしゃばらない今風な考え方の主人公に共感するところが多いです。ドラえもんのように都合良く便利な道具をポイポイ出してしまわずに、もう少しリアルの中で解決する主人公であれば、四十に手が届きそうな男である私でももっと楽しめたかな、と思います。いや、楽しかったですよとても。そのアリエナイけどアハハ感がマンガの妙なるところだと思いますし。なにより、作者の人柄の良さを感じました。召喚した側の人たちの振る舞いが、それを感じさせます。自分ならどんな事を願うかな、と考えながら読むのも面白いだろうな。 続きを読む投稿日:2015.09.17
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ファシリテーション力が面白いほど身につく本
高野文夫 / 中経出版
タイトルどおり、ファシリテーションを知りたい人のための本
3
職業柄、単独で仕事をすることがほとんどなく、異なる世代の人と協力して事に当たらなければなりません。とこう書くと、多くの人も同じ思いではないでしょうか。
会議がスムーズに進んだり、チームの生産力や推進力…、発展的人間関係をこの上なく渇望しています。と言うと、これに関しても、多くの人が共感されるのではと思います。そんな人にはこれは便利な本だと思いました。
本の内容は表紙が物語っていますが、そしてわざわざこの本にたどり着いた人には言うまでもないことでしょうが、このファシリテーションという比較的新しい、聞きなれないタームが、なんだか魅力的なんです。
本文中にもあるのですが、コーチング技術が1対1ならファシリテーション技術は1対多で、ファシリテーションによってチーム・組織・会社全体の活力向上を目指すという考え方です。これはもう、集団を形成する者にとっては常に必要な技術ですよね。
技術というよりも発想の転換というか、いつもの振る舞い(癖や習慣)を変えてみる、思考パターンを変えてみる、みたいな感じで、自己啓発的な話に若干偏り気味にも感じましたが、明日からちょっと変わってみよッ、と思わせてくれる熱意みたいな何かはありました。
図やイラストも各セクションふんだんに掲載されていて、ファシリテーションの手法や分析が視覚的にも理解しやすいです。ただリーダーでは、そういったキャッチーなはずのページの表示能力があまり高くなく、視認性も悪いと言わざるを得ませんが…。
とにかく、読んで良かったと思いました。 続きを読む投稿日:2015.04.07