八六丸さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 1
鬼影スパナ, よう太 / オーバーラップ文庫
バランスの取れた広い層のラノベ読みに薦められる「ダンジョンマスターもの」【具体的バレなし】
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web小説の異世界転生モノの中でもジャンルのひとつといえる「ダンジョンマスターもの」です。この作品の特徴は「やりすぎ」も「やらなすぎ」もしておらず、多くの人に読みやすい「ラノベらしいラノベ」に仕上げ…ている作者のバランス感覚だと思っています。
「ダンジョンマスターもの」の作品はジャンルになるぐらい多くあるのですが、ダンジョンで殺しまくりでめっちゃエロ・グロ・ダークとか、NAISEIに目覚めてダンジョンの外で国づくりとか、ダンジョンにダンジョンらしからぬなにかがあるほのぼのとか、割りと好みが分かれたり最初からテンプレ逆手に取ってる作品が少なくないです。で、そういう作品で好きなのたくさんありますが、そういうのを「ダンジョンマスターもの」というジャンル紹介の入り口として誰にでも薦められるかは難しかなと。
そんな中でこの作品は「ダンジョンマスターもの」のテンプレを王道としてしっかり押さえながらダンジョンの仕掛けの工夫とかしつつ、チートありつつも上には上ってか遥か上が居て主人公だけが強すぎはせず、ダンジョン内で人死→ダンジョンポイントとかエグいこともやりつつ引っぱりすぎないので暗くなりすぎず、ちょいエッチな要素挟みつつも添える程度でエロすぎずと、娯楽作品に専念したさじ加減が巧みです。
ラノベ読みで「ダンジョンマスターもの」未体験の方は、このジャンルがあうかどうか、この作品で試されるのもいいのではないでしょうか。 続きを読む投稿日:2016.12.10
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俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件: 11
七月隆文, 閏月戈 / 一迅社文庫
間違って漫画版を買っていたというわけではないのでご安心ください【←以外ネタバレ無し】
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漫画で始まってますが原作小説の方ですので安心してください。私は本気で間違えて買ったかと思って、本棚まで戻して確認してしまいましたが。
さて、最終巻です。正直なところ、え?最終巻!?と思いましたし、…唐突に締めた感はありました。ただ、仮にまだ終わらせず続かせて色々とエピソードを挟んだとしても、この物語のラストは同じようにこれになるだろうなという納得のラストでもありました。好意的に見れば、逆に人間関係が動くのってこんなふうに唐突なものなのかもなと思えるレベルだったかも知れません。
内容としては唐突感を除けば最後までこの作品らしさを保っていて良い最終巻だったと思います。ここまでこの作品を読んできたファンは終幕をぜひ見届けてください。
楽しい物語ありがとうございました。 続きを読む投稿日:2016.07.30
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下ネタという概念が存在しない退屈な世界 ○EX
赤城大空, 霜月えいと / ガガガ文庫
最低に最高なお話をこれまでありがとうございました
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書籍説明にあるようにアニメのBD特典小説6編と読者プレゼントSSSと電子合本購入特典SSSの計8編を、原作最終巻本編終了後の主人公たちが思い出として話しているという書き下ろしで繋いだ短編集です。全巻…購入してるのにSSSのためだけに合体本を買うとかせずに済みましたw
特典小説の類をまとめただけと言われればほぼその通りなのですが、書き下ろしの繋ぎで全体を思い出話に仕立てたことで「特典小説が8編」から、本編終了後の余韻を受け止めてくれる「短編集」というひとまとまりの作品になった感じがしました。また、本巻の中心となっているアニメBD特典小説はアニメ各巻時点前後の話で小説シリーズの中では序盤部分になるために、出番がないか存在を匂わす程度に留まるアニメ化範囲以降に登場したキャラクターが書き下ろし部分で登場してくれているのもうれしいですね。
特典小説未読の本作ファンの方になら普通にオススメです。ひたすら本編の頭悪いところ(良い意味で)な部分を取り出したような本作独特のあのノリを思い出させてくれる話や、それをしつつ本編のあのとき・そのとき、以外なあのキャラの背景や裏話的なものが書かれたりしている話が詰まっています。特にアニメBD6巻特典小説だった前日譚にあたる「現役JK あやめ十六歳~初体験の興奮~」は私の推しです。あと、電子合本購入特典「振り返りピロートーク」も本作のもうひとつのラストシーンとして良いものでした。
アニメ全巻や合体本買っていて特典短編本体全部既読という方に対しては絶対買うべき!とまでは言えませんが、前述のように思い出話の体でつなぐ書き下ろしパートもあるので、「円盤に比べればお高くないし本編を買ってたなら読みやすい形で手元に置いとく為に買っておいても悪くはないと思うよ」という程度には薦められる感じです。
いやー、この一冊で本当に終わった感じですが、最低に最高なお話をこれまでありがとうございましたの一言です。 続きを読む投稿日:2016.07.29
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10年ごしの引きニートを辞めて外出したら ①自宅ごと異世界に転移してた〈上〉
坂東太郎, 紅緒 / オーバーラップ文庫
書籍版とweb版との違いは主人公の5歳若返りと従妹JK(表紙の子)追加
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web版とはかなり大胆に変えてきてます。なろう系の書籍化にあたって、テコ入れ?で主人公が若返ったり女性キャラ追加したりはよく有ることといえばよく有ることなんですが、転移にJKひとり追加したことにより…しょっぱなでルート分岐しています。主人公30歳→25歳での変化は今のところ設定上の数字が変わっただけな感じではありますが、JKとの釣り合いも意図されてのことでしょうか?
これはこれで悪くないとは思いますし、実際web版既読者でも気にならない人は気にならないでしょうし、大きく違うからこそ書籍版を買うというweb版既読者もいらっしゃると思いますが、私の場合はweb版を知っていることで違いが気になってしまうというのが正直あります。ストーリー上の基本的な出来事やおおまかな流れは同じ部分多いのですが、作品の雰囲気…まではいかない空気感?レベルで違いが結構出てます。とはいえ、読み続けていけば慣れて、逆にそれぞれの違いを楽しむようになれるかな?あ、この作品の大きな魅力のひとつである掲示板パートのノリはまんまです。 続きを読む投稿日:2016.07.22
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姫騎士はオークにつかまりました。 2
霧山よん, 霜月えいと / 富士見ファンタジア文庫
2巻はアイドルプロデュース!
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B級(良い意味で)アクション要素・ファンタジー要素多めな1巻から一転、2巻はほぼ普通の現代劇なアイドル育成話です。ファンタジー要素は部分部分に入ってくる程度でした。リアルのアイドルやゲームやアニメの…アイドル物にはあまり詳しく無いので、リアルさや他作品からの影響なんかはわからないのですが、私には「王道のアイドル物」のストーリーって感じがしました。
あと、ラブ?コメ要素もあります。この作品らしい感じで。多少ネタバレっぽい感じになりますが、主人公の弥太郎の「彼氏」に求められる面倒くさい部分“だけ”丸々やらされてる感がご愁傷様って感じで笑えましたw弥太郎はあらすじにまで「好意にも気づかず」とはっきり書かれるぐらいには鈍感系主人公なんですが、お疲れさんってのがなんか先に来るので鈍感系主人公は苦手だって人でもわりと大丈夫な人多いと思います。
この作品、富士見ファンタジア文庫からですが、内容的には2巻になって特に近年増えてる2~30代以上向けラノベレーベルで出てそうな感じかなぁという気もします。
1巻はキャラ紹介で、これからは巻ごとにあのキャラクターたちがいろんな人・こと(事件とは限らない)に関わって(あるいは立ち会って)いく感じになるのかもしれません。主人公たちが何でも屋的な立ち位置(派遣)になっているのと世界観のファンタジーと現代の混ざり加減があいまって作者がやらせようと思えば何でもやらせられそうなので、どんな話でもありえそうです。シリーズが続いてこれから主人公たちが色々な活躍を見せてくれることを期待したいです。 続きを読む投稿日:2016.07.19
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キミもまた、偽恋(オタク)だとしても。1〈上〉
渡辺恒彦, wingheart / オーバーラップ文庫
「隠れオタク」「隠れ腐女子」のカップルを2828見守る現代日常恋愛系
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電子書籍化されていないヒーロー文庫の『理想のヒモ生活』の作者さんの作品です。大人主人公の異世界転移モノの『理想のヒモ生活』から一転、高校生の現代恋愛物です。
面白いです。ほのぼのとした恋愛物で安心…して読み進められます。まだ1巻の上ですから断言もできないのですが、表紙を見ると切ない系?と思わせられないこともないタイトルと絵柄ですが、この巻の範囲では不幸なことが起きそうな感じは全く無いです。いわゆる「優しい世界」ってやつだと思います。
また、登場人物みんな歳相応の価値観でありつつ歳の割にしっかりしてます。これは、完全無欠キャラという意味ではなく、『理想のヒモ生活』もそうだったんですが、キャラクターの性格や立場、持ってる情報からみて読者が納得できる範囲の行動をキャラはしているということです。
なので、話を転がすために登場人物が“不自然に”やたらと有能や無能になるとイライラするというタイプの人にもお薦めできます。イライラのボーダーは人によって違いますから絶対とまではいえませんけどね。
現代日常もので固定カップルを2828見守るのを楽しむという点では、現在(H28春期)アニメ放送中の『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』の主人公カップルの下校シーンとか好きな人だと合いそうかな。
あと、読んでくと伏線…というより「…一体何○○なんだ(棒)」レベルの前フリがいくつかあるので、下巻かそれ以降で回収されるのも楽しみになります。
派手なお話ではないので、波乱万丈や切ない系を求めると肩透かしくらうと思いますが、疲れた日々の中、若い子(オタ)二人の恋愛劇な日常を2828見守って心軽くしたい時にはオススメです!続きが楽しみ。 続きを読む投稿日:2016.06.21