金さんさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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あのとき始まったことのすべて
中村航 / 角川文庫
人って繋がってるよね
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中学校時代の同級生、大人になれば自然に付き合いもなくなり、ついつい疎遠になってしまう。
でもやっぱり、中学生の時のあのときに始まったことのすべてが、そう、未来の今にも繋がってるんです。
そう言うもんで…すよね。
会話がポンポン弾む文は、読んでいても中学生ころの気楽な爽やかな感じがします。 続きを読む投稿日:2017.01.28
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外資系オタク秘書 ハセガワノブコの華麗なる日常
泉ハナ / 祥伝社文庫
兎に角、軽快
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軽快な一人称で進む、オタクな属性バリバリなのに優秀有能スパーウーマンなハセガワノブコ。
さくさく読み進められて、兎に角楽しい。
難しいことを考えたくなかったり、ちょっと壮大な文学作品の間に、おやつ感覚…で読むのが宜しいかと。
ただ、おやつにしては価格が高いと思いますけどね。
キャンペーンなんかと組み合わせて買うといいんじゃないでしょうか。 続きを読む投稿日:2017.01.28
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火花
又吉直樹 / 文春文庫
賞をとった本
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賞をとった本、話題の本、だから読んでみた。
芸人が芸人の世界をリアリティのあるフィクションとして書く。
そこには人の生き様も含めた、経験者の物語るリアリティがある。
だからこそ引き込まれる世界感もある…。。。
が、興味本位でなければ手に取らなかっただろうし、読後も別に読みたい本ではなかったなと言うのが正直なところ。
又吉直樹さんの実力が本当であったなら、きっと次回作こそが傑作になるのではないかと思う。 続きを読む投稿日:2017.02.14
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カカシの夏休み
重松清 / 文春文庫
「いいよな、一日ぐらいは人生、休んでも。」
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「カカシの夏休み」「ライオン先生」「未来」の短編三作。
一、二作は不登校、三作目は生徒の自殺をあつかう。
思い切り低評価にしたが、ぜひ読んでみて欲しい。
「カカシの夏休み」はダムに沈んだ故郷を持つ、…別に帰るつもりはないが帰る場所が無い、そんな田舎町の離ればなれになった同級生達の22年後。突然無くなってしまった同級生の告別式で久しぶりに顔を合わせる4人。皆それぞれにそれぞれの人生があり、いろいろな形の幸、不幸がある。その年は空梅雨でダムの水位がどんどん下がっているという。主人公はダムの底の故郷が気になって仕方がない。亡くなった同級生のお骨を実家に届けるということになり、その折りにダムの底の故郷にも寄れるかもしれない、よし行こう。同級生達に声を掛けるが。。。話は学校の中の物語(不登校児の問題)を主軸として進む。
「ライオン先生」は1970年代ロングヘアーのまま今に至る、ちょっと熱血風教師の話。しかし、実は彼の髪はもはやカツラなのだ。このカツラが熱血だった若い頃のキモチを持ち続ける為の拠所なのか、それとも所詮借り物ニセ物でその熱血も借り物ニセ物なのか。先生の苦悩は続く。
この髪型を金八先生の武田鉄矢をイメージすれば良いのかとも思ったが、「ウェーブのかかった髪が」とあるし、ワンレングスをオールバックにしたわけでもないらしいので、キムタクのあのロン毛だろうかと。
「未来」、これが書評に低評価を下した最大の理由になる作品。
個人的にどうしてもこの話はダメだ。読んでいる途中から気分が悪くなって、イライラムカムカが収まらなくなった。
逃げ出せる仕組みを作らず、内包して「イジメ0」を書類上で謳う、「死ねば英雄」そんな今の社会が嫌いだ。
この作品は、まさにこの問題点をグサリ!と付いてきているように思う。
「イジメ」は強者弱者の関係に起因する人間関係問題だが、「自殺」は単純に「ヒトゴロシ」だ。殺人犯と被害者が同一でかつ、イジメ自殺の場合それが可愛い子供なだけに、残された周りの人々は誰かに八つ当たりするしかない。責められた者はその責めを全部背負わなくちゃいけない。背負って人生を生きて行かなきゃ行けない。理不尽すぎるだろ!!
なんで殺人犯が英雄なんだ、なんで責めを負わないんだ、卑怯だ。
「自殺」は「イジメ」なんかより遙かに多くの人たちをもの凄く不幸に突き落とす。「イジメ自殺」報道なんてやめてしまえ、無視してこっそり葬ってしまえと強く思う。そうすればもっと減るはずだ。不幸が減るはずだ。
「イジメ」「パワハラ」人間関係の強者弱者がなくなる筈がないだろう。自殺を減らすには「逃げて良い社会」「逃げても帰ってこれる社会」「何度でもやり直せる社会」を作るしかない。
「真面目にこんなに頑張ってるオレが損をする、そんな社会は認めない!」そう言う人もいるかもしれない。
「アナタも逃げて良いんですよ、そんなに頑張らなくっていいんですよ。」と言うことなんだろう。
そうか、「いいよな、一日ぐらいは人生、休んでも。」一作目にある言葉、この三作はちゃんと一つのテーマに沿っているのか。
そう言えば、二作目の先生も最後はちょっと楽になっている、少しほっとしている。
編集順、読む順が三章、二章、一章なら読了も後味が悪くならなかったのかな。
続きを読む投稿日:2017.02.18
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パイロットフィッシュ
大崎善生 / 角川文庫
透明感と違和感
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他の方のレビューにもあるように、アクアリウムを思わせる読んでいて透明感のある文。
その割りに何となく泥臭い部分の多い設定と世界感に違和感を感じる。
セックスの描写など、なにか文体の持っている世界感とズ…レを感じてしまい、読みたい物はこんなのじゃない!ってなんかそう思ってしまう場面が多々。
主人公の柔らかな優しさは常に伝わってきて、この辺りは心地良い。
泣ける小説とは思えませんが、読書に優しさを求めるなら悪くないかな。
補足 : アクアリウムの知識もちょっと調べて付け焼き刃で書いたようで、かな~り間違った知識。 続きを読む投稿日:2017.02.21
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ナモナキラクエン
小路幸也 / 角川文庫
ラノベじゃないです。家族ってイイよね。
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表紙の絵と登場人物の名前がラノベを思わせてしまうのは損だと思う。
こんな名前にしなくてもいくらでも方法があったはず、ココだけは残念。
父と異なる4人を母に持つ仲の良い兄姉弟妹。周りの人たちも温かく、…本当に「楽園」の様なそんな世界。突如、お父さんが亡くなってしまう。(書籍説明を忘れていたのでびっくり)
父の遺書に従い、それぞれが母親を訪ねていく。そして明らかになる離婚の真実とは。。。
読み終えて真実を知ってもとてもキモチが良い、そんなお話。
トリックでびっくりさせたり、巧妙な仕掛けがあるというほどではないので、読み返して楽しめます。
「山」の彼女「はるか」が不思議で魅力的過ぎるのがちょっと現実離れかも。それほどステキな女の子になっています。
その関係で、主人公「山」の女性暦の件(くだり)、精神病云々は余計なんじゃないかなと。無くても良い設定だと思います。「はるか」との関係があっさりうまくいってしまう分、先の件が何か違和感になって残ってしまう。
続きを読む投稿日:2017.02.21