【感想】ジャイロモノレール

森博嗣 / 幻冬舎新書
(10件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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  • 貴族の趣味…

    働くのは貧しいから。資本主義的にそうでしょう。
    そして、日本人は貧しいから加工貿易をして働くのです。太平洋戦争に負けたから貴族国家でないから…。
    …その点さえ押さえておけば非常に良い読み物です。

    実際に研究は時間を費やした人間が勝ちます。貴族の道楽と言いながら、多くの時間を費やせば成功する可能性は増します。
    内容としては、一輪ジャイロというのは非常に興味がそそられます。画像も素晴らしいし、もし将来人間が乗るのだとしたら非常に感動します。
    やはり、理系の頂点に位置する教授が書くミステリーは魅力があったし、教養本も論文の様でなんだか感心します。
    …それにしても研究は貴族の趣味でもあると言われると胸が痛くなります。
    世の中は難しいです!
    星5つ。
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    投稿日:2019.01.23

  • 失われた技術

    ジャイロモノレールは、20世紀初頭に未来技術として期待されたモノレールである。残念ながら、その後の世界大戦によりその構想は中断され、堅実で実用的な技術が追求される中で省みられなくなってしまった。
    の後の鉄道は、コストや工事の方法などから2本レールが主流となり、ジャイロモノレールは失われた技術となってしまったということだ。
    本書は、著者が実際にジャイロモノレールの技術文献を追い、その理論や実験を踏まえてモノレールの模型を試作していく過程がわかりやすく記されている。今日では特に何かメリットがある技術という訳ではないが、機械技術の面白さを追求した一冊に感じた。
    自分は、今ではあまり模型作りに興味がなくなってしまったが、子供の頃はプラモデルなどにも興味があり、いくつか作っていた。しかし、不器用なためかあまり良い出来のものが作れず、学校の工作でも下手だったので、いつしか模型作りに興味がなくなってしまった。それでも、乗り物の技術は興味があり、その失われた技術の理論は非常に興味深かった。模型作りを趣味にしている方は、一層興味を持って読める内容だと思う。
    ジャイロによって、レール1本でも自立して移動できる乗り物の原理が説明されていて、非常に面白かった。
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    投稿日:2021.06.06

  • あえてアナログで

    ロストテクノロジーとなってしまったジャイロモノレールをあえて機械的手法アナログを使用して復活させ実現してみようという試みの記録である。専門外の読者にも理解できるように様々な工夫をこらしているところが評価できる。しかし最終的な模型にはデジタル制御を持ち込まざるを得なかったところに深い感慨を覚える。続きを読む

    投稿日:2024.04.27

ブクログレビュー

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  • ゆうか

    ゆうか

    このレビューはネタバレを含みます

    森先生の研究者としての一面に触れられた。

    素人でもジャイロモノレールの機構がなんとなく理解できるように書いてあったので助かった。底の底まで突き詰めず、ある程度の部分を「そういうものなんだ?」と処理するのが専門性の高いテーマに触れるコツだろう。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2021.08.30

  • うろたんけらむの

    うろたんけらむの

    ジャイロとはフレームの中で高速回転する重量物を持つ装置(地球独楽を思い浮かべてほしい)。モノレールとはレールが1本の鉄道。
    ジャイロモノレールは「力を受けたときに回転方向に90度ずれた位置で変異する」というジャイロ効果を姿勢制御に利用した鉄道で、100年以上前に開発・実用化されたが、その技術は長く忘れ去られ再現不可能とされていた。
    著者は実験と試作機の作成を繰り返し、ついにこれを完成させる。工学の考古学というべき手順で幻の機械技術を完全復元した、世界初のジャイロモノレールの概説書。
    (あらすじより)

    なんか小難しいあらすじですが

    高速回転するコマは倒れにくい。
    多少の傾きなら持ち直すのはコマを回したことがある人なら実感できるはず。
    それをジャイロ効果と呼び、ジャイロ効果を使って自立する一輪車が100年前に作られた。
    でも誰も再現できない。
    トリックだろうとさえ言われた。
    そう、森博嗣氏が現れるまでは。

    という話。

    コンピューターを使えば簡単に再現できるものの、100年前の技術レベルで再現したことに価値がある。

    YouTubeで検索すれば模型愛好家が作ったジャイロモノレールが見られる。
    細い車輪でしっかり自立しているのは面白い。

    再現したところで現代に普及することはない。
    でも、個人研究・趣味とはそうゆうものだ。

    好奇心を原動力に未知の世界へ踏み込むことが大事。

    やっぱりすげーぜ!森先生は!
    続きを読む

    投稿日:2019.09.05

  • root3

    root3

    面白かったけど…~百年前、イギリスで開発された技術はアメリカ・ドイツも跡を追おうとしたが、二本線の鉄道が普及し、困難さも手伝って廃れた。埋もれた技術を掘り起こそうとした人が、工学研究者の森なら何とか出来るだろうと持ち込んだ話、最初はダメだろうと断ったが、模型と設計図を見て、ひょっとして出来るかもと取り組み始めた。ネットで公開すると、取り組む人が出て来たが、成功例は少ない。知識と技術が伴わないと出来そうもない技術で、列車には出来ないから実用性は少ないが、退職した元科学少年には楽しい研究だ~最後のhobbyを個人研究と訳したら良いだろう、ってのは要らなかったような続きを読む

    投稿日:2019.03.01

  • ともりぶ

    ともりぶ

    ジャイロモノレールそのものについては読み込む時間と能力がなくページをめくるだけに終わったが、個人研究についての記述は興味深かった。別の出版社からの新刊『なにものにも拘らない』というフレーズが出てきたので、本当にそうなんだろう。続きを読む

    投稿日:2019.03.01

  • 全ての本

    全ての本

    これをおもしろいと感じるかは人それぞれだろうが、自分には相当おもしろかった。特に興味のある分野だからというわけではない。楽しそうだと思ったから。
    自分は最近、老後にやりたいことを思いついて、楽しみで仕方なくなった。なのに、なぜか今やりたいことが思いつかない不可思議な状態である。続きを読む

    投稿日:2018.11.30

  • kazuhisachiba

    kazuhisachiba

    完全に論文の構造体に基づき,数式を無くし平易化した内容となっている.数式がないので追いにくいが,図に描くと理解できる.そして後半では,趣味という文言の再定義を行う.文化の違いがあるので,日本で受け入れられるかは疑問だが,個人的にはイギリスの考え方である,“大人とは,仕事・趣味・レジャ・スポーツそれぞれで一人前になること”に与するものである.続きを読む

    投稿日:2018.10.09

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