レビューネーム未設定さんのレビュー
参考にされた数
4
このユーザーのレビュー
-
黄砂の籠城(下)
松岡圭祐 / 講談社文庫
アクション映画のような作品
1
籠城戦が進むにつれて攻防の内容がどんどん荒唐無稽になり史実からかけ離れてきた。特に語り部の伍長のスーパーマンぶりが鼻につく。肝心の柴五郎の印象が薄れてしまっている。この事変の結果、日本の国際的評価がず…いぶんと上がったらしいが、ここまで演出過剰だと逆にその事実が胡散臭く思える。 続きを読む
投稿日:2022.05.14
-
傑作はまだ
瀬尾まいこ / ソニー・ミュージックエンタテインメント
ホッとする作品
1
代表作の「そして、バトンは渡された」とやや似た親子関係の父と息子の物語である。この作家らしい軽妙な語り口でどんどん話が進んでゆく。途中でいくらか考えさせられる場面が出てくるが、基本的には人の優しさ、善…良さを信じる 姿勢に変わりはない。やや食い足りないところはあるがホッとする作品である。 続きを読む
投稿日:2022.12.30
-
続 悪霊列伝
永井路子 / ゴマブックス
後書き
1
著者の主張したかったことが巻末の後書きに手際よくまとめられている。本書及び前巻はこの後書きの主張の実例 という位置づけである。政治というものは今も昔も人々にとっては不満の多いものであり、不満のぶつけ先…としてしばしばスケープゴートを必要とする。その道具の一つが悪霊であるというのは大変に面白い。現代では政権交代やデモになっているのかな。 続きを読む
投稿日:2023.05.16
-
かがみの孤城
辻村深月 / ポプラ社
終盤は圧巻だが
1
導入部から前半部分はこの作者が得意とする悪意がじっとりと漂う学校いじめもの、悪意が鼻について全く感情移入できず、読んでいて途中で投げ出したくなった。中盤からようやく読みやすくなり、終盤は圧巻となった。…しかし推理小説としてみた場合、登場人物たちが「現在の年 や世の中の出来事 TV番組 流行り物」について全く話をしなかった 可能性はまずないので、仕掛は破綻してると思う。 続きを読む
投稿日:2022.07.28
-
慶長疾風録3 かぶき者、天下人をつくる!
伊藤浩士 / 歴史群像新書
やや都合が良すぎるかな
0
このような仮想戦記にありがちのことであるが、主人公に都合の良い展開が続くことが多すぎる気がする。前巻までは作者も東西両軍平等に接するように気を使っていたようだが、この巻は西に傾きすぎているような気がす…る。諏訪湖の踊りのシーンなどやり過ぎのような気もする。最後の「秀頼の父」のところは意表を突かれた。 続きを読む
投稿日:2023.06.26
-
慶長疾風録1 前田慶次郎、関ヶ原に出陣す
伊藤浩士 / 歴史群像新書
読みやすい仮想戦記
0
戦国時代末期、関ヶ原の戦いあたりを舞台とした読みやすい仮想戦記である。一応は史実を材料にしていて、あまり荒唐無稽な主人公にばかり都合の良い展開がなかったので、それなりにリアル感が出ている。東西の色分け…がはっきりしているので、読んでいて理解し易いが、もう少し日和見大名のことを書けばより一層リアル感が出たのではないだろうか。 続きを読む
投稿日:2023.06.26