【感想】「価格半減」のモノづくり術

若松義人 / PHPビジネス新書
(3件のレビュー)

総合評価:

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  • 「価格半減」は努力目標

    トヨタ生産方式の一般的な説明ではありますが、「価格半減」のための具体的な戦略があるようには感じられませんでした。
    まだまだムダの多い生産現場はたくさんあるので、トヨタ生産方式で半分くらい下がるところも多いんじゃない?と言っているだけで、
    多くの生産現場に当てはまる、半減のための戦略があるわけではなさそうです。

    初版は2010年。民主党政権の円高期。ユニクロ、イオン、西友などが1000円以下でジーンズを販売したことを取り上げて、
    これからはもっと原価を低減しないと生き残れないと煽っていますが、
    今になって振り返ってみると、結局あの低価格路線は長続きはしなかったなと感じる。
    繊維産業は、海外の違法な児童労働などの低価格労働に支えられている部分も大きいと言われることもあるので、
    それをもって、他の産業でも原価を低減しないと生き残れないと煽るのは、ちょっとやりすぎな感じはした。


    全7章のうち、第1章~第4章が生産現場、第5章が開発部門、第6章が間接部門、第7章が経営層のはなしで、半分以上が生産部門の話題。
    生産における無駄は以下の8つを挙げているが、普通のトヨタ生産方式であって、
    「価格半減」のための新しい方法論があると考えるべきではない。
    逆に言うと、普通のトヨタ生産方式を知るという目的で読むなら特に悪い本ではない。
    ・不良・手直しの無駄
    ・つくりすぎの無駄
    ・加工そのものの無駄
    ・運搬の無駄
    ・在庫の無駄
    ・動作の無駄
    ・手持ちの無駄
    ・産業廃棄の無駄

    開発部門への提案も、いわゆるValue Engineeringで、同じ機能を果たす、より低価格のものを買ってくれば
    価格が低減できるというもの。これもかなり前からある手法で目新しさはない。
    最近だと、Design for manufacturingとか言って、
    開発段階から生産性が高くなるように設計する手法とかが考えられていたりするが、言及なし。


    総じて言える事は、
    一般的なトヨタ生産方式を知るために読むのなら悪くはない、
    価格を半減できる新しい手法が書いてあるのでは?と思って読むと期待はずれに終わる、
    ということでしょう。
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    投稿日:2016.07.06

ブクログレビュー

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  • silver-fish

    silver-fish

    価格半減を要求されたからこそ、全体的に無駄の見直しを行い、価格半減しても利益が出るような体制を作ることができる。

    より正確に言うと、製造単価が高く競争力のない中小企業が、他の価格競争力の高い競合が出している販売価格と同じ価格で卸せと言われてからの対応。

    できない、無理という話が社内からとても強く上がるが、価格競争の激しいこの世の中、なんとか生き延びるために順応する必要がある。

    そのために、部分最適でなく、全社最適、そして整頓や清潔を心がけ、常に在庫は最適在庫とするように、見える化をする。
    中小企業向けの指南書となっている。


    半導体産業などは本当に価格半減しているからなぁ。
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    投稿日:2012.10.08

  • FireHawk

    FireHawk

    トヨタの生産、原価、購買部門でものづくりに従事した著者による「勝ち残り企業」になる為の原価低減方法を示した本。

    数%の原価低減ではなく一挙に半額にする方法を考えることにより根本の考え方が変わる、という話は松下幸之助の逸話として有名だ。 本書も目先の数%の原価低減ではなく、本質を捉えた原価低減方法を説いている。

    トヨタ出身の人間だけあって、まずは、すべての部門における無駄を排除する必要性を強調する。

    まずは生産現場における効率化を言及。
    生産における無駄は以下の8つ。
     ①不良・手直しの無駄
     ②つくりすぎの無駄
     ③加工そのものの無駄
     ④運搬の無駄
     ⑤在庫の無駄
     ⑥動作の無駄
     ⑦手持ちの無駄
     ⑧産業廃棄の無駄
    これら無駄を排除するためには、整理整頓を行い、無駄の見える化に努める事が重要。
    そして、不良率を0にするためのマインドを持つ(不良品を後工程に流さない、ポカよけをするなど)ことにより効率を上げる。

    次に、設計開発部門。 開発部門においては、コストありきではなく、価格ありきで物事を捉え、コストを見える化し、VEを推進してコスト削減を図る。

    そして、間接部門も、多能工化を図って仕事は誰でも出来るようにしリソースの削減を図る、など。

    この様な手法をいち早く実行に移したのは無論トヨタであるが、それ以降各社も取り入れている考え方である。 上記に上げられている様な雑巾を絞るようなことは必要であるが、手法としてはある程度で尽くしているの様な気がしないでもない。

    極端に高い目標を設定したり、窮地に追い込まれることにより、新しいイノベーションが生まれることは事実だと思うが、今後この様な発想がどの様に進化してゆくのかは見えないところではある。
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    投稿日:2010.08.04

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