ENUmori0183さんのレビュー
参考にされた数
0
このユーザーのレビュー
-
なぜ「ふるさと製造業」は強いのか メイド・イン・ジャパン復活の方策
山田日登志 / PHPビジネス新書
精神論的で、あまり役に立ちそうにはない
0
著者は長年コンサルタントとして活躍されてきた方であるので、多くの経験がおありなのでしょうが、
その個別の経験を一足飛びに一般化して、あーすればいいこーすればいいと書くので、
実現不可能な精神論ばかりで…あるように感じられる。
書いてあることは概ねトヨタ生産方式であり、コンサルタントとして優秀なのかもしれませんが、
たとえばシャープなどの経営に失敗した企業を例に挙げて、
シャープが失敗したのはトヨタ生産方式をやらなかったからだと書くのは、かなり論が乱暴に思える。
「ふるさと製造業」という概念も、判然としない。よくわからない。
なぜ「ふるさと製造業」は強いのかというタイトルではあるが、なぜに対する明確な回答はないと思っていい。
この本の精神論的な部分をよく表しているのが、5章まるまる全部を使い、仁徳天皇、聖徳太子、藤原鎌足、良寛、上杉鷹山などを取り上げて
昔の日本人はよかった論をやっているところ。
取り上げる人物にも内容にも特に新しさがある訳でもない。単に、昔はよかったというだけ。
おわりにの最初の文が「日本人が劣化している。勉強する意欲、働く意欲、結婚する意欲、子供を生む意欲などすべてが劣化している。」からも、
この本に通底する精神論を感じ取ってほしい。 続きを読む投稿日:2016.07.03
-
プロの知的生産術 BCG前日本代表が教える情報活用の秘訣
内田和成 / PHPビジネス新書
アウトプットの目的に沿って情報の収集をした方が効率的
0
いくつか、議論の前提に疑問点はあったが、内容は概ね納得のいくものであった。
まず、この本のタイトルの「知的生産」というのは、文章、レポート、論文を書くことと理解していい。
知的生産を、ステップごとに…分解すると、情報の入手⇒情報の加工⇒情報の出力となるのだが、
この順番通りに、いきなり情報を集めてそれを整理するのではなくて、
どんな出力が必要なのか見込みを立てて、その目的に沿った形で情報収集をする方が効率的、というのが概ねこの本の内容である。
「書籍説明」に記載されている
情報と付き合う際の基本スタンスである「3つの目的」とは、
一つ目は、「意思決定の助け」で、
経営層が工場を建てるならどこに立てるのか、そもそも立てるべきかというレベルの意思決定を想定していて、
二つ目は、「アイディアの元」で、
新しい商品の企画などを想定していて、
三つ目の、「コミュニケーションの手段」で、
反対意見を持つ人を説得するとか、車の営業でのセールストークあたりを想定しています。
どの目的であっても、情報が多ければ多いほど良いという訳ではなく、
例えば、意思決定の助けとなる情報を詳細に、網羅的に集めていては、意思決定が遅くなってしまって結果失敗してしまうので、
目的に沿って必要な情報を必要なだけ集めようというようなことでした。
「20の引き出し」も、「アナログ活用」も、そんなにすごく画期的なことを言っているわけではないけれど、
確かにそうだと納得するものではある。
文具やデジタルグッズの活用法は、諸般が2011年と今からは5年も前なので、
デジタルガジェット系の活用法は、正直陳腐化していると言っていい。
最近は、文房具本、ガジェット本みたいなのも増えたし、デジタルグッズの活用を目当てに買う本ではない。
3Mが、オーダーメイドのポストイットを作ってくれるという情報は知らなかったので、
文房具系はもしかしたら役に立つかも知れない。 続きを読む投稿日:2016.07.03
-
「価格半減」のモノづくり術
若松義人 / PHPビジネス新書
「価格半減」は努力目標
0
トヨタ生産方式の一般的な説明ではありますが、「価格半減」のための具体的な戦略があるようには感じられませんでした。
まだまだムダの多い生産現場はたくさんあるので、トヨタ生産方式で半分くらい下がるところも…多いんじゃない?と言っているだけで、
多くの生産現場に当てはまる、半減のための戦略があるわけではなさそうです。
初版は2010年。民主党政権の円高期。ユニクロ、イオン、西友などが1000円以下でジーンズを販売したことを取り上げて、
これからはもっと原価を低減しないと生き残れないと煽っていますが、
今になって振り返ってみると、結局あの低価格路線は長続きはしなかったなと感じる。
繊維産業は、海外の違法な児童労働などの低価格労働に支えられている部分も大きいと言われることもあるので、
それをもって、他の産業でも原価を低減しないと生き残れないと煽るのは、ちょっとやりすぎな感じはした。
全7章のうち、第1章~第4章が生産現場、第5章が開発部門、第6章が間接部門、第7章が経営層のはなしで、半分以上が生産部門の話題。
生産における無駄は以下の8つを挙げているが、普通のトヨタ生産方式であって、
「価格半減」のための新しい方法論があると考えるべきではない。
逆に言うと、普通のトヨタ生産方式を知るという目的で読むなら特に悪い本ではない。
・不良・手直しの無駄
・つくりすぎの無駄
・加工そのものの無駄
・運搬の無駄
・在庫の無駄
・動作の無駄
・手持ちの無駄
・産業廃棄の無駄
開発部門への提案も、いわゆるValue Engineeringで、同じ機能を果たす、より低価格のものを買ってくれば
価格が低減できるというもの。これもかなり前からある手法で目新しさはない。
最近だと、Design for manufacturingとか言って、
開発段階から生産性が高くなるように設計する手法とかが考えられていたりするが、言及なし。
総じて言える事は、
一般的なトヨタ生産方式を知るために読むのなら悪くはない、
価格を半減できる新しい手法が書いてあるのでは?と思って読むと期待はずれに終わる、
ということでしょう。 続きを読む投稿日:2016.07.06
-
日本型モノづくりの敗北 零戦・半導体・テレビ
湯之上隆 / 文春新書
せいぜい「エルピーダメモリの敗北」でしかない
0
ゼロ戦・半導体・テレビというサブタイトルがついていますが、ゼロ戦ははじめにで少し触れられる程度、テレビも全9章中の1章が当てられているだけ。
その他が半導体なので、この本のほとんどは半導体の本です。
…その半導体の中でも筆者が在籍したエルピーダメモリ破綻の話がほとんどで、結局本のタイトルの日本型モノづくりの敗北というのは、エルピーダメモリのことでしかありません。
そのエルピーダの話も、筆者がWeb上の記事で何度か書いていることなので、わざわざ買って読むほどのものではなかったという印象でした。
数年で買い換えるPC用のDRAMに、メインフレーム向けの25年の保証を想定して信頼性を高めるのはムダが多いというのは理解できるが、
だから同じように、自動車メーカーが半導体に欠陥ゼロを求めるのはムダが多いというのは、理解しかねる。
欠陥が起これば人が死ぬこともある自動車という商品の特性を理解しているとは思えないし、
欠陥ゼロを求めることを、日本メーカーの悪癖のように書くが、アメリカ・EUの自動車メーカーも、車載用の半導体には、日本と同じようにかなり高い信頼性を求める。
それを知らない筆者は、おそらく海外メーカーを取材するコネも能力もないのではないかと思う。
取り上げられている日本の半導体メーカーは、主にエルピーダとルネサスであるが、
フラッシュメモリで存在感のある東芝や、
イメージセンサで首位のソニー、
アナログ半導体のローム、
LEDの日亜化学など他の有力な半導体メーカーには一切触れない。
日本の悪いところをピックアップして、「日本型モノづくりの敗北」などと扇情的なタイトルを付け、
日本がダメになったという本を読みたい人が買わせたいのでしょうが、
しかし、書かれているのは、
「日本型モノづくりの敗北」などではなく、
「日本の半導体産業の敗北」でさえなく、
せいぜい「エルピーダメモリの敗北」でしかない。 続きを読む投稿日:2016.09.17
-
めしばな刑事タチバナ29 即席みそ汁を待ちながら
坂戸佐兵衛, 旅井とり / 週刊アサヒ芸能
ジャムパン、ポップコーン、即席みそ汁、付け合せのスパゲッティ
0
めしばな刑事タチバナの29巻は、ジャムパン、ポップコーン、券売機、牛丼、即席みそ汁、付け合せのスパゲッティというテーマでした。
力を入れているのは、4話使用している即席みそ汁なのですが、商品の紹…介に留まっていてそこからのアレンジがなかったので、
自分で作るレシピの参考になるものがあればなと思って読んでいる身からすると少し物足りませんでした。
もちろん、いつも通り、商品の知識はものすごく幅広いくておもしろいし、味噌汁のアレンジなんかやりようがないんですけどね。
私が興味を持ったのは、ポップコーンの回で、ごま油を使ってはじけさせたポップコーンを胡麻和えに使っているのは、
一度真似してみようかなと思いました。作中でも触れられている通り、ポップコーンの触感って他に類を見ないものなので、
上手く使えば面白いものができそうだなと。
他にも、スパゲッティの回の付け合せのスパゲッティには、ドレッシングしかかかってないけど、
意外とおいしく頂けているとの指摘にも、可能性を感じました。
うどんにめんつゆだけかけて食べるくらいの簡単な食べ方がスパゲッティにはないので、
いい組み合わせが見つかると革命が起こせそう。 続きを読む投稿日:2018.04.02