【感想】楽園のカンヴァス

原田マハ / 新潮文庫
(1447件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
725
479
136
21
5
  • 画家の情熱、狂気、幻想

    ルソー、ピカソ、ヤドヴィカ、ジョセフ、作中の物語で語られる人物達の強い想いに感化され、目頭が熱くなりました。
    この小説はあくまで創作ですが、大なり小なり私達が目にする芸術作品にはこのような想いが込められている可能性があると考えると、胸が熱くなります。
    作中でも語られていますが「画家を知るには、その作品を見ること。何十時間も何百時間もかけて、その作品と向き合うこと」が必要で、これは以前読んだ詩集の本にも似たようなことが書いてありました。絵画だけに限らず、全ての芸術作品について言えることなのでしょう。なかなか実行するのは難しいところですが、これからは少なくとも琴線に引っかかった作品ぐらいはもっと頑張って見て、画家に向き合った結果として書かれた解説についても真剣に読んでみようかなという気にさせてくれました。
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    投稿日:2013.12.31

  • 美術をテーマにしたミステリー小説

    冒頭は、地方美術館の監視員をする普通の主婦の視点で話が進む。それが途中から、名の知れたアンリ・ルソーの研究者であったという経歴が明らかとなり、その辺りから、何かただならぬ予感を感じた。そのうち視点が変わり、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のキューレーターに移り、ミステリアスな展開となる。当時のルソーを取り巻く状況や人間関係、晩年の不遇な生活等もあぶり出しながら、ズンズンと読者を美術の世界に誘っていく。続きを読む

    投稿日:2013.11.10

  • ”慈しむ”って言葉を思い浮かべました

    ルソーの幻の作品をめぐる、美人新進研究者vs野心を持ったMoMA学芸員の対決モノ・・・の体裁をですが、勝負の行方は軽いスパイス程度。 伝わってくるのは、全編にあふれる絵画や画家ルソーへの想い。他の方も書いていましたが、絵に興味がなくても十二分に面白く、またこれをきっかけにルソーの作品をみてみようかな、と思う人も出てくるのでは。私は家にあった(とても!)古い画集を開いてみました。感想は・・・秘密?^^;
     このところ”力技の感動やベタな愛”が多い中、”慈しむ”という気持ちがしみるように伝わる素敵な作品でした。
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    投稿日:2015.06.04

  • それは、「永遠に生きるヤドヴィガ」への情熱から始まった!

    ピカソ、シャガールなど近代の画家さんたちとは、自分と生きた時代が重なっていたという身近さで好きだし、
    やっぱりルノワール、フェルメールは行列に並び、そして、息をのんだのがマティスの「赤のハーモニー」。
    あの“赤”の、あの迫力!あの感動を今も宝物として大事に持っています。

    膨大な資料の上で裏打ちされたであろう、ルソーのことば・想い、ピカソのことば・行動は人の心を揺さぶります。
    それらを心に刻んでおいて、今度機会があれば、ルソーとピカソの絵に重ね合わせて観たいと思います。
    これは、自分でとってもステキな考えだとワクワクしてしまいます。

    それは、「永遠に生きるヤドヴィガ」への情熱から始まった!
    その鍵は、アルファベットの大文字?
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    投稿日:2017.02.27

  • 絵画を知らなくても美術館に行きたくなります

    絵画についての知識がまったくないのですが、楽しめました。
    でも知ってたらもっと楽しく読めたんだろうなぁ。
    あらすじはアンリ・ルソーの1枚の絵が主題となり、その絵をめぐってミステリーが繰り広げられます。
    次の展開が気になって気になって・・・仕事もしないでこそこそ読んでしまいました。
    とにかく引き込まれるお話でした。美しくて面白い!
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    投稿日:2016.12.09

  • ルソーと美術に対する深い愛情と敬意が溢れ出すような緊迫感が漂う作品

    美術をテーマとしたミステリですが、美術の知識はなくても大丈夫
    話題作を次々に出している作家さんであり、プロのキュレーターでもある原田さんが
    ルソーと美術をテーマとした奥深い世界に愛情を込めて導いてくれます

    約300ページの良い夢をどうぞ
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    投稿日:2013.11.02

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  • 司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    「ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに篭めた想いとは―。山本周五郎賞受賞作。」

    「絵画に対しての見方が変わる作品。史実とフィクションが上手く混ざり合い絵画の書かれた時代背景などにも興味がわく。謎を追ううちに絵画の世界にまぎれこんでいく。読むと美術館に足を運びたくなる。」
    (未来屋書店 本屋従業員によるおススメ本の紹介 2023 の紹介より)
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    投稿日:2024.05.05

  • ちゃ

    ちゃ

    原田マハさんの作品は2作目でした。
    絵画の知識はほとんどない自分でしたが
    ルソーの絵を飾りたくなるぐらい、ポストカードの様な小さなものでも良いから側に置いておきたくなリました。ルソー、登場人物の魅力を十二分に感じる作品でした。続きを読む

    投稿日:2024.05.01

  • あべの

    あべの

    このレビューはネタバレを含みます

    ティムがトムになりすまして過ごしていることにスリルを感じることができたり、物語の「夢をみた」を読み進めるにつれて様々な考察が生まれたり(キャンバスの下にピカソの作品が眠っているかも知れない、など)、最後にバイラーやジュリエットの正体が分かったりと、ミステリーのような要素を楽しむことができておもしろかった。

    ただ、そのようなドキドキ感はありつつも、登場人物たちのルソーや美術作品に対する情熱や愛情が作品のベースになっていて、登場人物たちに魅力を感じることができたのも、楽しめた大きな理由だと感じる。
    特に織絵はぜひ会ってみたいな、と思った。

    美術館に行くこと、作品をじっくりと見て時代背景や作者の思いを考察することの面白さを感じられるようになって来たタイミングでこの本を読めてよかった。

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    投稿日:2024.05.01

  • イクロツィル番目の読書家

    イクロツィル番目の読書家

    無駄がないシンプルで美しい文章。
    純粋で美しい心を持った織絵とティム
    それにバイラーとジュリエット。
    なぜだろう、読み終えた今、この『楽園のカンヴァス』という作品自体が愛おしい。
    まさしく今私の心は『夢を見た』を見ている。
    もうその作品を見ずにはいられない。
    そうだ、MoMA美術館に行こう。

    私は芸術、特に絵のことはもっぱら分からないが、言葉と感性で心が通じ合っている彼らを羨ましいと思う。もっと原田マハの感性に触れたい。

    少し余計な一言を。
    きっとティムは女性が書いた男性だから、いわゆる一般的なイメージよりも純粋すぎる、また硬すぎず柔らかなイメージがある。もし、この本を男性が書いていたなら、私はティムを好きにならなかったんじゃないかと思う。
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    投稿日:2024.04.29

  • 775

    775

    “アートを理解する、ということは、この世界を理解する、ということ。
    アートを愛する、ということは、この世界を愛する、ということ。”

    作品が登場するたびに、ググったけれど
    読み進めていくうちにわたしも美術館で、目の前で見てみたいという想いがどんどん強くなっていった

    美術史と芸術家や作品をもっと知りたくなるだけでなく、
    先が気になるストーリーと、層になっている構成が面白くて楽しく読めた
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    投稿日:2024.04.24

  • Edge

    Edge

    ライバルであった2人が、競い合って時間を共にしていく中で、お互いのルソーに対する知識や愛情に惹かれていき、最終的にはお互いを認め合い尊重し合う仲間(友達)となっていく素敵なストーリー。
    実際にネットで絵画を検索しながら読み進めていったが、美術家が絵を見たときに何を感じているのかという心理描写も書かれていたため、勉強になることもたくさんあった。

    ps.ピカソ絶対イケメン
    続きを読む

    投稿日:2024.04.24

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