【感想】博士の愛した数式

小川洋子 / 新潮文庫
(2068件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
740
728
439
44
4
  • こんな先生に出会いたかった

    ほのぼのとした読後感がいい。この博士のキャラが面白い。なんたって、記憶が80分しか持たないんだから。これだけで掟上今日子を上回っている。こよなく素数を愛し、阪神の江夏豊が好きで、子どものことが大好きで、どんな言葉も瞬時に逆さまに言い換えられる特技があって・・・などなど。博士と一緒にいたら難しい数学も楽しくなれそう。家政婦さんのように目にする数字を片っ端から素因数分解したくなる気持ち、すっごいわかる。続きを読む

    投稿日:2016.05.08

  • ほんのりと点るろうそくのようなお話

    優しい優しい人たちのお話です。
    心に一本のろうそくが灯り、暗い心のなかをふんわりと照らし出したような気持ちになります。
    もし、あなたがすごく疲れているならお読みになって見てください。
    きっと、はぁーー。と、一つ息を吐いて楽になれるかも。
    どんな状態にあっても守るべきもの、大切にしたいものがきっと見えてくると思います。
    続きを読む

    投稿日:2015.10.05

  • 純文学と数学と野球の三角関数

    沢山の伏線で、美しさと発見の喜びと喪失の哀しみの関係を結晶化させた作品。読んだときの自分の立ち位置(立場・経験・関心事等)によって見え方が異なり、何度も繰り返し読んでも、まるで新しい作品に出会ったかのような気持ちになれると思います。

    評者の場合、新しいことを記憶できないことの辛さに寄り添そうと、痴呆に苦しんだ祖母のことを想いながら読みました。

    小川さん、美しい作品をありがとうございます。
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    投稿日:2015.10.04

  • 読むほどに博士に会いたくなる本

    家政婦の主人公が派遣された先は
    記憶が80分しかもたない元数学教授。

    私は数学が苦手ですが、読んでいると
    少しでも博士の思いに近づきたいと感じた
    主人公の気持ちが分かります。
    素数について、まるで素敵な物語を綴るように
    語る博士。私も博士に会いたくなりました。
    続きを読む

    投稿日:2015.09.05

  • 数学、子供、老人、野球カード。

    何年も前から色んなところで推奨され、今更やっと読みはじめ、そして一日にして読み終わった。
    数学の美しさと愉しさを知っている人。あるいは逆に、かつて数学という世界から目をそむけ、今はそれを後悔している人。プロ野球の好きな人。一見取るに足らない、だけど自分にとってはかけがえのない宝物(それは本当に「モノ」でなければならない)を何か持っている人。老いた人々、および自身が子供だった日々に対して、何らかの強い感慨を持っている人。・・・この中の一つにでも当てはまるならば、この物語はきっとその人の心の琴線に触れることだろう。続きを読む

    投稿日:2015.09.03

  • 文系でも数学の面白さが分る作品

     私はあくまでも理系の人間だが、文系が数学の面白さを知りえる突破口となる可能性大。少なくとも不可思議な数字の世界観に入る切っ掛けとなろう。
     「素数」とは、何か途轍もない命題に思え、それはまるで「般若心経」の無限の奥儀のように思えてくる。√(ルート)の可愛らしさも。続きを読む

    投稿日:2015.06.09

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ブクログレビュー

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  • セブンスター

    セブンスター

    数学と文学のつながりをここまで鮮やかに表現できるものかと驚いた。かつ、人間の定義した概念と人間の思考、真理について考えさせられる話だった。

    投稿日:2024.05.10

  • ふくろう

    ふくろう

    もう何度も読みましたが、その度に、人に寄り添うとはこういうことなんだと教わります。とても、とても温かい物語です。映画で博士役をなさった寺尾聰さんは、私の学生時代の王子様。そして虎党歴が半世紀を越える私にとって、お守りのような小説です。続きを読む

    投稿日:2024.05.08

  • アサス

    アサス

    記憶を保てない博士とそこに働きにきた家政婦とその子供の話でした。博士の病気は深刻で記憶がリセットされた時の博士の悲しみなどが描かれていましたが、最後まで読み終えて驚いたのが、悲しい気持ちではなく、博士の家政婦の子供に対する愛情と敬意をとても強く感じ、心が温かくなる作品だった事です。
    暗く辛い病気の話なのに、それ以上に博士の愛情や静かな落ち着いた優しさを感じました。
    続きを読む

    投稿日:2024.05.06

  • kaido

    kaido

    相手に対する親しみと敬愛の気持ちを示し、相手の不運をともに悲しみ幸運をともに祝う。そんな友情?や絆は同年代でなくとも同性でなくとも体や心の不自由を持っていてもあるんだな、というより自分にない特性を持っている相手との方が強い絆になるのかもしれないなと思った。
    そして、子どもの純粋さとかひたむきさとか素直さが持つ力ってすごいなとも思った。
    続きを読む

    投稿日:2024.05.03

  • たくみん

    たくみん

    このレビューはネタバレを含みます

    博士と私とルートの特別でいて友愛な関係性を覗ける、そんな一冊だった。
    80分で記憶が戻ってしまう博士に対して、私やルートは哀れみや同情とも違う配慮を見せるが、大人の私よりもルートの方が自然にそして敏感に対応している。博識な博士からはもちろんだが、まだ小さなルートに気づかされることも蔑ろにしてはいけない。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.05.02

  • 抹茶

    抹茶

    記憶が80分しか持たない人が身近にいたら、自分じゃ本作の家政婦のように同じことの繰り返しの対応をすることができないと思います。それほどこの家政婦の人は心が広く柔軟な方で、息子のルートもまた賢く優秀な子で博士は非常に幸せな環境にいたと思います。数学と文学とが融和された作品となっており新鮮でおもしろかったです。続きを読む

    投稿日:2024.04.30

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