こさじ1/2さんのレビュー
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335
このユーザーのレビュー
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ゴールデンカムイ 1
野田サトル / 週刊ヤングジャンプ
ヤンジャン発の超新星
17
世界観に引き込まれること、キャラが魅力的であること、読み進むリズムが心地よいこと。
これらの要素が“面白い漫画”に含まれる事が多いですが、本作はこれらのバランスが絶妙です。
まず世界観ですが、日露…戦争後の北海道が舞台。混沌とした世界情勢をバックに、アイヌ文化と網走監獄を絡めた宝探しサスペンス要素を盛り込んだ、リアル史実と都市伝説の配合バランスが魅力的。雄大な自然さえも時折牙をむくリアルなピリピリ感が漂っており、現代と比較するとその命のウェイトギャップに心がザワザワします。
主人公は帝国第1師団帰り。1話冒頭は旅順攻囲戦における203高地攻略戦でしょうか(ザワザワ)。WW1頃の悲惨な塹壕消耗戦の生き残りでありながら、実直で好感が持てるタフガイ・杉本。
行動動機は良くも悪くも個人主義ですが、それが現代チックで読者の感情移入に一役買っています。人を見る際に色眼鏡をかけず、自身の信じる正義を全うする。そんな主人公オブ主人公。
ヒロインはアイヌ娘で独特の価値観とそれを育んだ異文化の魅力がギッシリだし、別勢力である第7師団はプロフェッショナルとしての驚異が尋常ではなく、囚人勢力も一芸持ちのチンピラ集団かと思いきやまさかのあの方が含まれていてIF歴史センサーがビンビン反応してしまう始末。ヤバイ。
ストーリーテンポについては、わりと軽快に進んでゆき実にストレスフリーですが、その背景はより深く拡がるのでこれまた心がザワザワします。テンポよく進みますが描くのはイベント描写だけでなく、やりとり、生活感、サバイブ術を丁寧に描くのでためになるしキャラクターへの感情移入も深まります。主にサバイブ、民俗学方面ですが意外に食マンガの要素もあり、そこでほっともするのですが、”生きる事””生き抜くという事”を際立たせるスパイスにもなっていて、ぼくはこういうの、好きですね。
無限の住人、皇国の守護者、山賊ダイアリーあたりが好きな人はお試しあれ。 続きを読む投稿日:2015.03.05
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翔んで埼玉
魔夜峰央 / 花とゆめ
3話完結 1話108円
16
まず、「埼玉」という響きの面白さを称賛したい。
書いても面白いし、口にしても面白いし、ひらがなにしてもカタカナにしてもキャラ名にしても面白いなんていう実地名なんてそうはないと思う。
彩の国なんていうお…しゃれな二つ名つけても絶妙のギャップを生むしで、そのポテンシャルたるや他の追随を許さない力がある。
「魔都」を冠したとしてしっくりくるのは、西の名古屋に東のサイタマ。「ネオ」とか「ニュー」を付けてもハマる。
そりゃあニンジャスレイヤーにだって起用されるだろう。とにかく得体の知れない奥深さがある。
本編は、魔夜峰央ことみーちゃんが、古典をベースに得意の落語でアレンジし、その舞台を埼玉に添えた快作です。
落語でいうチャーザー村だとか大字小字谷間村のポジションにもすっぽりハマって仕事をする埼玉すごい。
そしてその組み合わせを考えたみーちゃんは自己評価通り天才です。タイトルもちょっとすごい。
それにしても、紙版はこのマンガがすごいcomicsから出てて電子版は白泉社てのは若干謎ですね。 続きを読む投稿日:2016.03.01
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亜人ちゃんは語りたい(1)
ペトス / ヤングマガジン サード
第1話の運び・構成が上手すぎる
13
扱いによっては強すぎるフックとなりそうな4人の亜人さんたちのお披露目を、ここまでサラリと流れるようにやってのけるとは。
亜人ちゃんたちはただそこにいて、生活しているだけの自然感。すごいことだと思う。食…パン咥えた女子高生のほうが不自然に感じるレベル。
そこからの「亜人(デミ)っていうの!」見開きドドン。
あまりのスマートさに 心 が 震 え た。
その時の主人公と同じく、ここから始まる物語に期待せずにはいられませんでした。
主人公は亜人ちゃんたちにモテていきますが、そこにハーレム感などは感じない。
比較参考として、『モンスター娘のいる日常』とはまったく異なるもん娘モノ。
九井諒子イズムもそこはかとなく感じます。あの独特なファンタジー日常感。
思っていたのとだいぶ違う読後感でしたが、これは良いものでした。素晴らしい。
あと、ちょいちょい巧いこと言うのもニクイ。お前さん、やるね! 続きを読む投稿日:2015.04.09
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鬼滅の刃 1
吾峠呼世晴 / 週刊少年ジャンプ
WJで始まった異色の純和風物の怪譚
9
人の世に巣食う鬼とそれを滅する者たちの戦いを描いた時代譚。
ある日突然変わってしまった日常、半鬼となった妹を救うため強くなり旅に出る主人公、という鉄板のプロットながら、随所に漂う異色感。
拙さすら感じ…るような筆致だったり、トーンを使わない画風だったり、ペンネーム含むネーミングセンスだったり、要因は数多有れど、これがWJで連載されているという一点。そこはかとなくアフタヌーン臭を感じる。
王道雑誌で異色をやる姿勢はジョジョに通じるものがある。
それでいてストーリーラインは王道というのも共通。
その根幹は紛れもなくジャンプ作品。注目していきたい一作。 続きを読む投稿日:2016.08.10
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亜人ちゃんは語りたい(3)
ペトス / ヤングマガジン サード
夢魔の社会適合のために結婚を促すってそれはなんていうパラダイス
8
亜人ちゃんの等身大の悩みと高橋先生の教育者、研究者としての真摯な考察が、世界のディティールを象っている。
土台が盛大にフィクションなのに、キャラクターも悩みも日常もそこにあるかのようなリアリティが素晴…らしい。
if世界をガチで考えたり解き明かしたりするのはとても楽しいです。異種間社会があれば、こんな風かもしれません。
しかし、地味なサキュバスって実はエロい地味子みたいな感じですね。
実際は、無意識の”チャーム”で魅了されたものが真実の愛かどうかで悩む純情夢魔。かわいい。心底。 続きを読む投稿日:2016.04.11
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こち亀ジャンプ
週刊少年ジャンプ編集部 / こち亀ジャンプ
今期の日暮熟睡男は別冊出張
7
1ページ目は予定調和。
いつも四年に一度目覚める男を探すところから始まるのだけど、時代が進むにつれガジェットを駆使したものになったり、価格や税率が変わり缶ジュースが100円でなくて怒ってる回などもあり…、時代変遷を見る上でも大変面白い。
4年に一度のキャラクターも10回目となり(12回)、最早レアキャラでもなくなってるのですが、この作品でしかできない事でしょう。
試し読みでWJのミニコラムで連載されていた特別寄稿イラストが見れてしまうのはお得。
中ほどにある荒木先生、尾田先生などのページは見れないですが。。
ポスターが入っていれば見れたのに、と思いました。 続きを読む投稿日:2016.08.25