はなゆきさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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桐島、部活やめるってよ
朝井リョウ / 集英社文庫
中年の私でさえ感情移入できる高校生活の描写
29
バレー部のキャプテンの桐島が部活をやめたことから広がる高校生たちのさざ波を描いた青春小説です。
私が高校生だったのは、何十年も前ですが、丁寧な文章描写のおかげで、頭の中がすっかり高校時代になりました…。この著者はすごい文章力です。
17歳って、ちょっと残酷な年代なんですよね。今の高校生も私の高校時代と同じなんだなと思いました。ちなみに私は学生時代、映画部でした。 続きを読む投稿日:2013.11.09
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嫌われる勇気
岸見一郎, 古賀史健 / ダイヤモンド社
幸せになるための心理学
13
私は、心屋仁之助さんの著書を何冊も読んだのですが、心屋さんの噛み砕いたカウンセリング本では物足りなくなって、アドラー心理学の入門書のこの本を読んで見ました。
正直なところ、一部に受け入れがたい主張もあ…るのですが、大部分は目からウロコで、人生の捉え方が変わりそうです。著者も言われているようにアドラーは心理学というより、哲学です。ユングやフロイトとは、まったく違うアプローチです。
難しい内容ですが、解りやすく書かれており、どうすれば幸せになれるのか考えている方や心が疲れている方に、是非お勧めします。
続きを読む投稿日:2014.05.05
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ベトナム怪人紀行
ゲッツ板谷, 鴨志田穣, 西原理恵子 / 角川文庫
著者は外国との接し方を間違えています
7
異文化に接したとき、自分の価値観を相手に押し付けたり、自分の価値観から相手を批判してはいけません。異文化の相手を理解しようと努力し、それでも理解できないときは、相手の価値に対する判断を一時留保すべき…です。
しかし、この本の著者は、自分の価値観でベトナムでおこった出来事を判断し、自分の価値観に合うものを称賛し、価値観に合わないものを侮辱します。
著者は、日本の文化とベトナムの文化を対比する面白さをねらっているのだと思いますが、そこにはベトナムの文化や歴史や経済状況に対する尊敬が感じられません。読んでいて不愉快になる個所がいくつもありました。
相手の文化や経済状況を理解せずに、相手を侮辱してはいけません。また、著者は様々なベトナム人にインタビューをしていますが、いずれも表面的な理解で満足しています。もっと周到な準備の上に取材をすべきです。そもそもベトナムが嫌なら日本にいればいいのに、なぜベトナムに行くのでしょうか?
それに、著者は「ベトナムに勝つ」というテーマでベトナムに行きますが、異文化に接するときに大切なのは理解することであって、勝つとか負るとかではないはずです。
それと、この本が書かれたのは2002年です。東南アジアは変化が激しいですから、現在のベトナムはこの本の書かれている状況と大きく違います。その点でも、この本の価値は低いです。
あと、ベトナム人をバカ呼ばわりしない方がいいです。著者の品位がうかがわれます。 続きを読む投稿日:2014.01.14
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ロスジェネの逆襲
池井戸潤 / ダイヤモンド社
半沢直樹シリーズ第3作目 前2冊とちょっと違うな
6
ご存じ半沢直樹シリーズの第3作目です。会社組織の理不尽、どうしようもない上司・上役と戦って、最後にすっきりするというパターンは同じなのですが、前2冊と比べると、半沢直樹の仕事観とか、バブル世代とロスジ…ェネ世代の世代論とか、ちょっと説教くさくなっています。それが、いいという人と鼻につくという人に分かれるのではないかと思います。
前2作と同様にエンタティメントとしては、傑作で読んで損はありません。私も1日で一気に読みました。 続きを読む投稿日:2013.10.22
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おどろきの中国
橋爪大三郎, 大澤真幸, 宮台真司 / 講談社現代新書
中国は2000年前にできたEUだった
6
3人の社会学者が中国について語っています。
時事的な中国問題を取り扱っているわけではなく、中国の本質、つまり中国とはそもそも何かを論じています。
例えば、中国の皇帝とは?とか、漢字がどの様な役割を果た…してきたのかとか、儒教とは?とかです。
ちょっと難しめですが、その分内容が濃いです。
時事刻々と中国の動きを追うことも大切ですが、中国や中国人の奥底が分れば、中国がなぜ不可解で横暴な行動をするのか理解できると思います。 続きを読む投稿日:2014.10.13
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百億の昼と千億の夜
光瀬龍 / 早川書房
日本のSF小説の古典名作
6
1960~70年代にかけてのSFブーム時に書かれた名作です。これを読まずして日本のSFは語れません。
物語は、地球の誕生、プラトン、悉達多、イエス、そして遠い未来へと続きます。物語の後半では、登場人物…たちが深遠な問いを発しながら、壮絶な戦いを繰り広げます。
読んだ人の人生観に影響を与えるSF小説です。 続きを読む投稿日:2013.12.08