Hachiroさんのレビュー
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トム・ソーヤーの冒険
トウェイン, 土屋京子 / 光文社古典新訳文庫
大人も子供も読みたくなる完訳
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マーク・トウェインという名が「水深2尋 (約3.6m)」という意味で、著者が若い頃にミシシッピ河で水先案内人をしていて、この深さなら蒸気船がギリギリ航行できるという合図に使う言葉なのだというのは、たぶ…ん子供の頃に読んだ「トム・ソーヤーの冒険」の解説で知ったと思うが、この本の巻末解説ではこのペンネームが、ここまでなら小説に書けるギリギリのところを書いていくのだという決意だったのではと解釈されています。小学生の頃にワクワクしながら読んだトム・ソーヤーとハックルベリーの大冒険ですが、改めて大人になった今の自分の視点で読んでみたいと思いました。
そして大人が読むのにはこの新訳版はとてもいいです。この光文社古典新訳文庫シリーズの意図に従うなら軽く読みやすくほぐして訳すべきようなところも「マーク・トウェインの文章はゴシック建築の大聖堂のように重厚だ」という訳者土屋京子氏のこだわりで、作者の持って回ったような比喩的な表現などもそのままに原文の魅力を味わせてくれます。また、アメリカで初版のために描かれトウェイン自身が感心したという挿絵が使われているのも嬉しいですね。
もちろん児童文学ですから、難しい漢字にはルビが振られ小学生でも読めるように配慮されています。トムのいたずらに胸をときめかせたかつての少年たちも、初めてトムやハックに出逢う新しい読者の子供たちも、訳者が真剣勝負で挑んだという完訳で「トム・ソーヤーの冒険」を味わってみませんか?
私はこのまま同じ古典新訳文庫の「ハックルベリー・フィンの冒険」に進もうかな。 続きを読む投稿日:2016.01.05
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後宮小説
酒見賢一 / 新潮文庫
壮大なるホラ話
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第一回日本ファンタジーノベル大賞にして酒見賢一氏のデビュー作となった小説ですが、受賞が1989年ですからもう四半世紀が経つのですね。いつかは読もうと思っていましたがようやく読みました。
氏の大作「陋…巷に在り」などは史実が元になっていますが、この「後宮小説」は全てが作り話。正史「素乾書」にはこう記されているとか、歴史家が著した「素乾通鑑」という文献ではこう書かれているとか、もっともらしい作者の蘊蓄が入りながら歴史絵巻風に物語られますが、それらの文献も含め何もかもが作者の創作です。「素乾国」という国が「幻影達の乱(渾沌の役)」という内乱で滅亡するのですが、その最後の皇帝の正妃となる地方の庶民出身の娘の一代記という体裁で一国の存亡が語られます。小説が終わった後に作者が語る後日譚まで味があって面白いです。
新皇帝が皇太后に命を狙われているなど陰謀が渦巻いていますが、主人公「銀河」の性格からかなんとも爽やかな物語になっており、魅力的なキャラクターがたくさん登場するのでとても楽しく読めました。私の好きな登場人物ベスト3は、
1. 渾沌 - 反乱軍の参謀、冗談のような反乱が国を滅ぼすことになりましたが。
2. 角先生 - 女大学の講師、性を哲学として極めています。銀河の恩師ですね。
3. 江葉 - 銀河の同僚、後宮が解散した後は二人で市井を席巻したんだろうか。
ですかね。正妃さんをランキングに入れるのは恐れ多いのでこうしておきます。(^^)
続きを読む投稿日:2016.01.28
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幻魔大戦 14 幻魔との接触
平井和正 / 角川文庫
電子書籍って便利
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「“信は愛、信は力” なんて箴言があったんですか? だれの箴言ですか?」
「さあ知らないわ。…でも真理はだれがいっても真理よね」
電子書籍って便利やね。本作第3巻を開いて検索してみると…。あ、なるほ…ど。 続きを読む投稿日:2015.04.03
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分解
酒見賢一 / ちくま文庫
収録作品は
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収録作品は
「ピュタゴラスの旅」
「エピクテトス」
「分解―DECOMPOSITION(& ASSEMBLING)」
「音神不通」
「この場所になにが」
「泥つきのお姫様」
「ふきつ」
「童貞」
い…ろいろなお話が読めて良かったです。私は「泥つきのお姫様」が面白かったな。
「童貞」はこのタイトルの文庫もありますね。読み応えのあるお話です。 続きを読む投稿日:2015.04.01
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レッドスワンの絶命 赤羽高校サッカー部
綾崎隼, ワカマツカオリ / メディアワークス文庫
作り話とわかっていても夢中になる試合描写と個性的な選手たち
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高校サッカーの小説。
キャンペーン最終日に何気なくこの「レッドスワンの絶命」を手に取ったのが運の尽き。その日の夜、寝る時間も削ってのめりこんでしまった。そしてその後の展開が気になって仕方がない。キャ…ンペーンが終わって定価販売に戻っていた第2部「星冠」、第3部「奏鳴」も立て続けに購入し毎晩寝不足。第1期は3冊みたいなのでとりあえず一息。いやあ面白過ぎました。
物語の舞台となるのは新潟県の古豪ながら近年は低迷する私立赤羽高校サッカー部。物語の最初からいきなり、1年生ながらチームのエースである主人公は無理がたたって選手生命を絶たれるような大ケガ、監督は病に倒れ、最上級生の不祥事による制裁で翌年度出場を許される公式戦は夏の総体と冬の選手権の県予選のみという状況。新年度のチームの監督にはお嬢様の美女が就任し、あきれた3年生たちはほとんどが退部。さらに学校内では夏の県総体で決勝戦に進出できなければ即廃部という条件まで付けられてしまう。サッカー部はまさに絶命の危機。しかし、この女性監督が実はサッカー指導者として物凄い才能を持っていた。
主人公の高校2年生期を描いた第1期は全3巻ですが、この後チームの主力が3年生となったセカンドシーズンを描く第4部以降が続々と刊行されるようですし、おそらくは全国の舞台でレッドスワンと対戦することになるであろう青森県の市条高校サッカー部を描いた「青の誓約」という短編集もあるようで、楽しみはまだまだ続きそうです。 続きを読む投稿日:2019.12.04
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四月は君の嘘(11)
新川直司 / 月刊少年マガジン
読んで損ではなかったけど
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レビューの高評価に釣られて最終巻まで読了。
んーと。みんなが騒ぐほど面白いのかなコレ?
読了後にまた再読してみようと思ってたけど、
1日経ったらどうでもよくなってしまった。投稿日:2017.08.25