食いしん坊花子さんのレビュー
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夫のちんぽが入らない
こだま / SPA!BOOKS
タイトル以上に内容が、心に響く
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直球のタイトルが話題になった本書。
実際は「夫とだけはどうしても性交できない女性の、人生をさらした私小説」といった体で、特に卑猥な印象はありませんでした。真面目な内容です。
田舎から出てきて夫となる…彼との交際が始まり、教師になり、心を病んでいく……。
彼女自身の語りで進んでいくのですが、
彼女の底なしの苦しみと悲しみ、どこか傍観しているような突き放し感……、見事です。
キャッチなタイトルもスゴイな、と思いますが、
それ以上に内容の率直さにも驚き、他人には言えない苦しさも真摯に描写されていています。
そして、彼女と夫となる彼が二人の関係を築いていく場面やお互いへの思いやりを交わす場面は、
純粋に感動しました。
夫の「ぼくはこんな心の純粋な人、見たことがないですよ」というのは、最大の賛辞です。彼から、彼女への。
綺麗ごとばかりではありません。
けれど、二人が一緒に生きていく様に心を打たれるのです。
タイトルもいいと思います。
けれど、それ以上の内容だと思います。
続きを読む投稿日:2017.04.17
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終電の神様
阿川大樹 / 実業之日本社文庫
終電車、特別な電車と特別な想い
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電車の遅延に顔を曇らせた覚えのある人は多いと思います。
それが終電だったら、なおさら。
乗客ひとりひとりの想いが交差し、はらはらしたり、どきどきしたり。
思わず涙したり。
そして電車の運行…を見守るひとたちの思い。
毎日毎日、電車に長い時間揺られて嫌だなあ、と思うことも多いのですが、
やはり電車には浪漫がある、と心が柔らかくなりました。
続きを読む投稿日:2017.11.17
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嫌われる勇気
岸見一郎, 古賀史健 / ダイヤモンド社
何度も読み返し、繰り返し自分に問いたい一冊。
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アドラー心理学について全く知識がない状態で
読み始めても、よくわかります。
自己啓発本をほどんど読んでこなかった人でも、
よくわかります。
現代の日本で生きているなら、
きっと心に刺さる箇所がたく…さんあるはず。
あらゆる「縦の関係」を否定し、すべての退陣関係を「横の関係」とすること。
すべての人間は「同じではないけれど対等」
ほめるという行為には「能力のある人が、能力のない人に下す評価」という側面が含まれる
など。
何度も読み返し、自分に問いかけたい。
自分にとって大切な一冊を見つけました。
続きを読む投稿日:2017.03.22
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からかい上手の高木さん(1)
山本崇一朗 / ゲッサン
にしし、と笑ってしまう!
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まさに、からかい上手で上手な高木さんと西方くんの「少年ぽい」未熟さが
ノリノリで楽しい。
いいな、いいな、いいな!
高木さんのちょっと本音をまぜたからかいと、
それに対抗しようとする西方くんがかわ…いいです(笑)。
老若男女、おすすめです!
追記:男子校出身者には特に刺さる、という説もあります。 続きを読む投稿日:2017.03.20
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いつかの青春
高木しげよし / 別冊花とゆめ
これを読んで一日を終えたい……良い読後感です。
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両方の視点から楽しめます。
大人→若者
若者→大人
大人目線での「学生への憧れ」もグっときますし
10代のころに感じていた「20代の人への憧れ」もまたちょっと甘酸っぱく、いいですねえ。
感覚的にふわっ…と舞い降りてくる甘酸っぱさは読後感がとてもいいです。
こういうの、たまに読んで「いいなあ」って思いながら、
一日を終えたい……癒されます。 続きを読む投稿日:2017.03.15
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訪問者
萩尾望都 / プチフラワー
『トーマの心臓』のオスカーの外伝
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『トーマの心臓』が本編だということはわかりますが、
この『訪問者』のすばらしさと言ったら!
というわけで『訪問者』大好きッコな私としては、何が何でもいろんな人に読んでもらい
「そうだよね、すごいよね」…と認めてほしい、といつも思います。
オスカーのグスタフへの視線がたまらなく、彼の寂しさ、愛情、それらを思うと
どうしていいのかわからなくなってしまう。
そして、オスカーが父グスタフと旅してまわる旅情というのでしょうか……、
いろんな意味で悲しくて、切なくて、どうしてこんなにすごい漫画が存在するのだろう!とすら
思いました。
ちなみに、萩尾望都さんは映画『砂の器』を見ているときに
オスカーとグスタフの旅の情景が浮かんだ、とおっしゃっている記事を読んで
すぐに映画を見ました。涙がとまらなくなりました……。
トーマの心臓とはまた異なる、名作です。 続きを読む投稿日:2017.03.09