レビューネーム未設定さんのレビュー
参考にされた数
47
このユーザーのレビュー
-
欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」 科学的事実が教える正しいがん・生活習慣病予防
奥田昌子 / ブルーバックス
悪玉コレステロールと善玉コレステロールは同一人物?
0
タイトルの通りに、この本を手に取ったら「衝撃的」な事実が結構待ち受けていると思います。
コレステロールの種類は1種類だけ。じゃあ、善玉と悪玉の違いはなに?
欧米人と日本人とは体質が異なるから、…欧米人の体によいものが日本人に合うとは限らない。特に、アメリカは人種によって病気の原因や仕組みが違うことは常識ではありますが、日本人がどこまでそこを理解しているか?
よく、海外の臨床試験に合格したモノを、早く日本でも使えるようにしろという意見が聞かれますが、その考え方は非常に危険だと認識できるようになります。
また、ガンが増えた理由の一番の要因は寿命が延びたから。でも、日本人の死因の原因ががんなのは、実はがんが増えたからでない。統計のトリックもあかされています。
一つ一つの情報には、嘘がなくても。その情報を元にして行動することが正しいことなのかは別物だと認識させてくれた、良書です。
続きを読む投稿日:2017.06.03
-
クマムシ博士の クマムシへんてこ最強伝説
堀川大樹 / 日経ナショナル ジオグラフィック
飼育日記ならぬ介護日記なのです。
0
クマムシの愛すべき、エクストリーム・ポイント
1.凍ったままでも30年間生きられる。
2.乾くと宇宙空間の真空や超低温にも耐えれる。
3.転ぶと自力で起き上がれない。
4.ヨコズナクマムシはメスしか…いないので、交尾をせずに子供を残せる。
5.培地の上で立ち上がる。すると、顕微鏡越しに目が合う。
6.高線量の放射線を浴びても絶えられる。
目次の前に、上のことを書いてます、おわり。
ではなく、今回のメインは観察日記ならぬ、介護日記がメインとなっています。
真面目な話、観察を続けるために環境整えるのに悪戦苦闘をしており、「3.転ぶと自力で起き上がれない」ことより、餌を食べることが出来なくなり、衰弱して死んでしまうのです。そんな介護日記の大変さが「32日目 悪夢」です。
「クマムシの飼育で一番大切なこと。それは、愛である。(中略)ついに愛の供給が限界に来てしまった。」
そんなことを呟いた著者は夢を見ます。体が溶けた強大なクマムシが部屋の壁や天井を歩いており、そのクマムシ達が顔の上にバタバタと落ちてくる夢を。
スプラッタですよー。精神的に疲れ、仕事に追い立てられてるとそういう夢見ますよねー。でも、この本ではそんな様子を挿絵にして載せてますが、キャラクターが可愛いので恐怖が伝わりませんよ、これ(笑)
可愛いといえば、クマムシのぬいぐるみも存在しており、お台場の未来科学館で売ってました。
「クマムシ ぬいぐるみ クロノス」検索すると某ラジオ番組がヒットしますが、そこでぬいぐるみの可愛さと大きさが分かります。
さて、飼育日記の最終日が「グッバイ人類」となかなか凄いタイトルであります。クマムシの数が増えたことで面倒をみきれないことから、乾燥させて眠らせます。これを乾眠状態というそうですが、この状態のクマムシは呼吸も代謝も無い状態、つまり老化をしないそうです。じゃあ、乾眠状態のクマムシは不老長寿なのか?とおもいきや長くても数年で死んでしまうそうです。その原因は酸素。体が酸化すると体が損傷していくそうです。
乾眠状態のクマムシが半永久的に生き続けていられる環境は、宇宙空間。そこは酸素がなく低温でないから、著者の手によって宇宙空間に放り出され、宇宙空間をさ迷い水のあふれる惑星で、再び目を覚ますクマムシ。その時は地球が消滅して人類が滅んだ後のはなしかもしれない。
なんとも、ロマンチックに日記を終わらせる著者であった。
さて、クマムシが最強であることがご理解できるよう懇切丁寧に説明されています。しかし、クマムシ最強説に異議を唱える人達もいたりします。その異議を唱えている微生物学者の一人、海洋研究開発機構の高井研博士の紹介をしています。高井博士は極限環境微生物こそ地上最強の生物であると提唱されているそうで、著書の中でクマムシを名指しで否定してたりします。
しかし、我らが著者は高井博士が所属する海洋研究開発機構の「しんかい6500」によって、海底に沈められるかもしれない危険性を覚悟しての反論を行っています。
『それだけではない。クマムシの愛らしいフォルムや歩行するさまは、見る者の心を打つ。クマムシは「かわいい生物ランキング」で常にトップに君臨しているのだ(筆者調べ)。それに対して、申し訳ないが細菌は、お世辞にもかわいいとは思えない(筆者の主観)。』
なんて記述もあったりしますから。これは、しんかい6500で海底に沈められるかも。 著者に向かって合掌。 続きを読む投稿日:2017.05.05
-
はじめての確定拠出年金投資
大江英樹 / 東洋経済新報社
入門編としてパーフェクトな本
1
本書は大まかに3つのことを教えてくれてます。
1つ、確定拠出年金とは何か? そのメリット。
1つ、確定拠出年金を利用するにはどうすれば良いのか?
1つ、確定拠出年金を運用するための考え方。
確定拠出…年金と言われてピンと来ない人の方が多いかもしれません。
かくゆう私も、勤めている会社の退職金がこの確定拠出年金に切り替わって、その存在を知った口であります。
乱暴な説明では、「退職金の元本は会社で出すが、あとは社員が運用してお金増やしてね。」
という制度です。
本当に乱暴な言い方ですが、税金の控除と勤めている会社が倒産しても退職金が無くならないのは大きなメリットというでしょう。
特に資産の運営において、税金の控除に関しては最強だと本著では言い切っています。
企業の退職制度なら自営業の俺には関係ないじゃんと思われた方、ご安心下さい。企業型の他にも個人型というものがありますので利用できます。
自営業の場合は月に6万8千円が上限で積み立てる事ができ、年額81万6千円が控除対象となり、20万近くが還ってくる計算となります。
次に運用に関してですが、根本的な考え方を示してくれており参考になります。
「多くの人は手っ取り早く、自分が購入する銘柄をどれにしようかということから考えはじめます。でも、実はこれが間違いなのです。」
では、何を最初に考えないといけないのか?
それは自分の「リスク許容度」だと言います。
このリスク許容度と資産の配分を得てはじめて購入する銘柄を選ぶという手順となります。
ちなみにこの資産の配分とは、「貯蓄」「国債」「株式」への資産の振り分けです。
ここ資産運用配分(アセット・アロケーション)が運用成績の9割を決めるのだそうです。
また、この資産配分は「確定拠出年金」無いだけで考えてはいけないそうです。例えば貯金や土地を持っていれば、確定拠出年金では攻め行くべきであると。理由はいくつかありますが、大きく儲けても税金が掛からないというのが一番の理由です。
さて、この制度の要は運用もさることながら「お金を受け取る」ことも非常に大切です。
「一時金」として受け取ると退職所得扱いになって税制上得をしますが、年金のように分割して受け取るとことも可能だそうです。この場合は運営時の運営益に税金が掛からないので得ではありますが、振り込み時にかかる手数料を忘れないように注意喚起しています。
なんにせよ、資産運用の手段を多く持つことは悪い事ではないと思います。自分は企業型の確定拠出年金を運用してるので、個人型は利用出来ませんが、こんなものがあるんだと知って貰えれば僥倖です。 続きを読む投稿日:2017.03.25
-
やさしい人(愛蔵版)
加藤諦三 / PHP研究所
本の後半は、「人類愛を口にする人」が、なぜ残酷な理由を述べています。
0
加藤諦三氏を知ったのは、建設業の業界紙にコラムを読んだ時の話でした。
自分はそれまで、言動は嘘をつくけれども行動は嘘はつかない。と、盲目的に信じていました。
本書でも書かれていますが、「犯罪を犯した少…年」を扱った記事では、「あんな優しい子がこんなことをするなんて・・・」
犯罪を犯す前の「少年の優しさ」は、他人の為だったのか、それとも周囲に受け入れて貰うために自分を偽って優しく振る舞っていたのか。
同じ行動でも、「心を見れば」違いが明らかになる。
心を偽っている人、自分を受け入れられない人は、けして「やさしい人」にはなれない。
アンデルセン童話に出てくるヒナギクは、人間の目からみるとキレイな花壇からあぶれて、雑草の中に埋もれている存在。
でも、ヒナギクは太陽の光を浴びて幸せなのです。ヒバリの歌声を聞けて幸せなのです。 ヒナギクは他の花と比べて色艶やかでないことを知ってる。ヒナギクのように歌えないし、飛べもしないことも知ってる。にもかかわらず、ヒナギクは自分に価値があることを知っている。
ヒナギクは自分に価値があることを知ってるから、他者の優れた部分を素直に褒めることができる。他者を受け入れることができる。
だから、ヒバリは他の花のところにいかないで、ヒナギクがいる場所で歌を歌う。
人が本当の幸せになるためには、ヒナギクのように生きて、本当のやさしさを手に入れなければならない。 続きを読む投稿日:2017.02.04
-
心を動かす話し方
堀紘一 / SB新書
テクニックより大事なもの。話下手を免罪符にしてないか?
0
話をする上での最終目的は、「説得」ではなく「納得」してもらうこと。テクニックはあった方がよいが、それよりも大切なことは「相互尊敬」と「相互信頼」を構築すること。
貴方は「話し下手」を免罪符にしてないか…? 自分は「話し下手」であると、言い訳している人ほど自分本位で相手のことなど微塵も考えてないと切り捨てています。
そして、「話下手」な人ほど相手の話を聞かない傾向にあるとのこと。
まっこと、耳が痛い思いをしました。 続きを読む投稿日:2016.12.31
-
プレゼンに勝つ!「魅せ方」の技術
佐藤綾子 / ダイヤモンド社
人間の本質へのアプローチだから、古さは感じられない。
0
最近、電子書籍化(2016年)されたので購入。出版そのものは2006年と10年前の本ですが、人間の本質について書かれているためか、古さは感じられません。逆にいえば、時代の流れやトレンドを取り入れていた…なら、陳腐化が激しく見るに堪えないものになっていたかもしれませんね。
とは言っても、プレゼンが上手い人の例で「小泉純一郎元首相」が登場しますので、それなりに時代は感じます。
タイトルから分かるとおり、プレゼンテーションを「見せる」のではなく「魅せる」方法として。プレゼンテーションの準備は「パワーポイントによる資料作り」ではない、ということです。
プレゼンテーションは、「説得」ではなく「納得」させることですから、相手側の意思表示を如何にキャッチできるか。そして相手が複数いたら、誰が決定権を持っているのか。非常に大切だと力説されておられています。
頭では理解できていても、本著のことを実際に実行できているのか? と、聞かれたならば、「出来ていなかった」と答えざる得ないです。そのくらい、細かく実施しなければならないことが書かれています。
本著では一切このような資料を作れという話しはされてません。では、何の話しをしてるかというと、相手に「納得」してもらうのにスピーカーである我々が身に付けるべき、「考え方」「話術」「身だしなみ」に関わる「技術」的な話しです。
技術的な話しですから、センスではなく練習で能力が向上するものばかりとなります。
さて、小泉純一郎元首相ですが、当時はともかく今はそれ程評価を高く上げる人はいないかと思います。これは逆説的に「プレゼン」の大切さを示しているのではないでしょうか。
「説得」ではなく、「納得」して貰うためには相手に受け入れてもらう必要があります。そのためには自分をどう魅せるかを体系的に書かれたのが本著です。 続きを読む投稿日:2016.12.23