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君の膵臓をたべたい
住野よる / 双葉文庫
人生に偶然はない、それは日々の自分の判断の結果
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不治の病にかかり、余命1年となった時、人はどう生きるか?
これをテーマにした物語です。
膵臓の病気になり家族以外には親しい人には誰にも打ち明けず、死ぬ瞬間まで日常を守っていきたいと少女が、ふいに日…記をほとんで接点のないクラスメイトの男子に見られてから、物語が動き出します。
ちなみに、その日記の名前は「共病文庫」。闘病でなく共病なのは「病と闘う」のではなく「病と一緒に生きていく」こと選んだからです。
主人公からは、病気で死ぬことが確定したことで、改めて人生設計をするヒロインの気丈な姿をみて、自分とは正反対な生き方に尊敬の念を抱いていくのです。
ヒロインの方は、親友や友達には病気を秘密にして日常を謳歌しつつ、好きでもない男の子とイケナイことをするという欲望に主人公を巻き込んでいきます。
クラスメイト達は、今まで接点のなかったこの二人が急接近している様子を訝しみます。
特にヒロインの親友は、主人公に対して敵意をむき出しにしていくのですが、彼女は要所要所で物語にアクセント付けていってくれます。
主人公とヒロインは、腹の内を余すこと無く話せる仲になっていくのですが、そんなおりヒロインは亡くなります。
主人公は、ヒロインが自分に対して本当はどう思っていたのか気になり出します。そこで、「共病文庫」の存在を思い出します。
ヒロインは家族に、「共病文庫」の存在を知ってるクラスメイトに渡すよう遺言を残しているのでした。
この作品に第2部があるとしたら、「共病文庫」を読みながら過去を振り返えるところでしょう。
そこには、主人公が知らないヒロインの姿がありました。
なぜ、ヒロインはあの時あんな行動をとっていたのか?
なぜ、ヒロインは主人公に心を許したのか?
性格はまさしく正反対の二人なのだけども、似たもの同士の二人。
そして、本の題名である「君の膵臓をたべたい」は、主人公がヒロインへ送った言葉であり、ヒロインが主人公へ送った言葉でもあります。送ったタイミングは別々ではありましたが、その言葉に込めた気持ちは・・・・
読後は心が洗われた気持ちになりました。理由を考えると、人は必ず死ぬ。
これを大前提に考えれば、この作品はまさしくハッピーエンドだからだと気付かされました。 続きを読む投稿日:2017.11.05
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データを正しく見るための数学的思考 数学の言葉で世界を見る
ジョーダン・エレンバーグ, 松浦俊輔 / 日経BP
目に見えるモノだけが真実ではありません。
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ジョーダン・エレンバーグ著の「データを正しく見るための数学的思考」を読みました。世の中に出回っている数字やデータは加工されたものです。そこには、集計者のなんらかの意図が含まれている場合があります。した…がって、生データが同じでも、集計者が異なると集計結果や分析結果が真逆いなる場合があります。でも、それらはどちらかが間違っているとはいえないのです。
どちらも間違っていないのなら、自分にとって都合が良い方を選ぶというのも正しい思考方法でしょう。しかし、待ってください。自分にとって都合がいいものが、本当に継ごうがよいのか? そう、思い込まされているのではないか?
この時の使用する思考が、数学的思考です。
本著のプロローグでは、学生が教師に対して、「数学がなんの役に立つというのです?」と疑問を投げかけます。
数学が役に立つ具体例が、この本に詰め込まれています。
実例の中で自分が気に入ったのは、確実に儲かる宝くじの話と、世論は存在しない話でした。(残念ながら、日本の宝くじには当てはまりませんが)
続きを読む投稿日:2017.09.25
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欧米の侵略を日本だけが撃破した
ヘンリー・S・ストークス / 悟空出版
奇蹟とは日本列島という環境そのもの。
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東京裁判を信じ切っていて、第二次大戦後は日本が一方的に「悪い国」と疑っていなかった方が書かれた本です。
かなりご高齢の方で、三島由紀夫氏や映画の「海賊と呼ばれた男」のモデルになった、出光佐三氏ともさ…れており、かなりビックリしました。
さて、この本の出版の目的は2点あり、あらましに掲げられています。
一つは、第二次世界大戦における日本が世界に与えた意味について。
一つは、反日の源である「従軍慰安婦問題」や「南京大虐殺」はプロパガンダだということ。
この二つを証明するために、日本という国の成り立ちや中国(中華人民共和国にあらず)と朝鮮の国の成り立ちから、説明がなされています。
中国では基本、滅ぼし滅ぼされる歴史であるため、民族を超えて手を結ぶには「外敵」の存在が不可欠なことと、基本外国人に支配されることになれていることです。秦の始皇帝から淸、そして中華人民共和国の支配層はみんな外国人であるのですが、日本では「中国」と片付けてしまい、特に日本は建国から現在まで「同一の国」であることから、「中国」も同じだと考えてしまい、本質から目を反らしてしまっている問題点があります。
また、「日本最古の文化」は縄文時代だと思われてきましたが、縄文時代よりも前に土器や磨製石器が出土の話や、青森では15mの建造物が発見された話が振られており、新発見の昂揚が伝わってきました。
また、「道徳」と「モラル」の違いについては目から鱗が落ちました。「人に迷惑をかけても、法令遵守であれば、それはモラルのある人」という事実に衝撃を受けました。この事実は、「モラル」を持っていても「道徳」がない社会は荒んだ社会になるということです。前述の出光佐三氏との対談で「モラル」と「道徳」の違いを語っておられます。
出光氏は、哲学者の鈴木大拙氏より「モラルは支配者が制定した規則や法律であり、道徳は皆が上手くやっていくための決まり事」といったことを教わったことです。端的にいうと、「モラルはルールさえ守っていれば他人の迷惑まで言及しない。道徳は人に迷惑をかけないための決まり事。根本的な違い」があるのです。この道徳とモラルが違いは、まさに日本の皇室と世界の征服者の違いでもあるのです。そして、この違いこそが日本建国から21世紀の現在まで現存している理由でもあるのです。
神道にも触れられています。これからは神道が世界の信仰となる。と、予言めいた書き出しで始まるのですが、ちゃんと根拠を示して説明されています。
従来、神道はアニミズムという原始的な宗教に分類されてきました。アニミズムは「高等宗教」とされる「英知を持つ人格神である創造主の解き明かす世界観」と比べるとレベルの低い教えだとされてきましたが、人格神の説く教義は人間が頭で考えたような諭しさがあり、大自然が教えてくれるような叡智が感じられない。と、訴えています。
敬虔なクリスチャンの一人である、サンマリノ共和国のマンリオ・カデロ駐日特命全権大使がこう語ったそうです。
「大自然こそが、神ですよ」
まあ、この人もかなりの親日家ではありますが、大の皇室好きでありますが、本音だと思われます。
キリスト教では創造主が、人間のために自然や他の動植物を創造したことになっているが果たしてそうだろうか? 神道では神々や自然でさえ大宇宙の中で生かされている。これは、古事記の世界創世の中で神々が生まれていく姿を描いており、それは物理学者の間で定説になっている「ビック・バン理論」と近似していることに、著者は驚いています。
「古代日本人はどうやって、このような宇宙創成の物語を思い描くことができたのだろうか。想像力によるのか、それとも霊感によるものだったのか」
と、感慨に耽っていますが、本当にどうやってご先祖様はこれらのことを思いついたのでしょうね。 続きを読む投稿日:2017.09.10
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天才数学者たちの超・発想法
柳谷晃 / 大和書房
学問とは違う、数学の顔
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タイトルを見て皆さんは、どのように感じましたか。
世間一般では学問である数学は一部の天才達が造りあげてきて、一般人には縁がないもの・・・・・と、思ってないでしょうか。
本著では、この考え方を真っ向…から否定しており、現在、そのような考えが蔓延しているのは数学者の怠慢だと手厳しく批判しています。
また、数学の一般への応用について「機械を使えば簡単」という考えは、現代人のうぬぼれとだと、数学者以外に対して手厳しくもあります。
この本は、数学の歴史を紹介していますが、生活にどのように役にたってきたかに焦点を当てています。
「0」を発明したのはインド人ではあるが、それより遙か昔、バビロニア人は「ゼロの概念」を使って計算をしていた。という話を、小学生向けの講演で行うと、「混乱する」とクレームを入れる親。子供が理解できればいいのだからと思っていると、同じ教育関係者からもクレームが入るそうです。大丈夫か日本?
小学生向けの授業は「簡単」だから行っているのではなく、「学問の基本」を小学生に教えている事実に気付いていない人が多すぎるとのこと。
このことで思い出したのが、「小学生がかけ算を使って回答した問題に、教師が「×」に対して「これなに?」とコメントをつけて不正解」した話です。
この投稿に対して閲覧者のほとんどが教師を批判していましたが、誰も「テストの目的が足し算を理解を計るもの」ではないのか?と、誰も言及していないことに恐怖を覚えました。
テストとは行った授業に対してのフィードバックの一つです。いくら正解だからといって、答えを導く過程が授業となんの関連性もなければ、授業を理解できていないと見なして不正解にしたことは批判される謂われはないと思うのですが。
ネットの声を後押しされて、学校にクレームを入れる親御さんがいたとしたら、他人事ながら恐怖を感じてしまいました。
話を元に戻して、論理思考についても語られていました。「数学の論理」と「スピーチの論理」は、全くの別物であるから、数学を一生懸命にやっても、論理的に話せるようにはならないそうです。「数学を勉強すれば、論理的思考が身につく」という発想は短絡的なのだそうで、皆様気をつけましょう。
本著では、「歴代の数学者達が、頭を抱えて込む発言だ」と表現をしており、それはあんまりだと読んだ瞬間はそう感じましたが。よく考えれば、「論理的思考」と「相手に理解できるように話す」技術は別物ですね。
この本を読んで、数学の歴史を学びつつ著者のボケ・ツッコミを堪能していくと、今まであった数学のイメージが粉々になっていく感が、読んでいて楽しかったです。 続きを読む投稿日:2017.08.27
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7日間勉強法
鈴木秀明 / ダイヤモンド社
試験対策のテクニックを学ぶ本です。
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試験や資格取得の為に特化した勉強法です。著者である鈴木秀明氏が、自身の受験勉強と趣味と化している500資格の勉強方法を1冊にまとめたものとなっています。
著者自身が言っていますが、思考力を高めるため…の勉強法ではないので、ご注意を(笑)
社会人であれば、試験勉強をとる時間をとれないことを考えれば、戦略としてテクニックを磨くことも大事なことだと思うのです。 続きを読む投稿日:2017.08.12
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加藤諦三の文章の書き方・考え方
加藤諦三 / PHP研究所
精神論的なアプローチで掘り下げた一冊
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本著は技術的な話は皆無です。著者は心理学者なので、ある意味根性論に近いものを感じるでしょう。しかし、人間の本質に基づく観点から文章を書くために必要なものをあげますので、役に立つと思います。少なくても、…文章が書けなくなった人にとっては、反省点を見つかるかと思います。
こういう性格の本ですので、誰もが読んで良かったと思えない本かもしれませんが、加藤諦三さんの本が好きならば、どんな風に文書を書いてるか感じてみたい方には手にとってもらいたいです。 続きを読む投稿日:2017.06.17