パドラッパさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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都市と野生の思考(インターナショナル新書)
鷲田清一, 山極寿一 / 集英社インターナショナル
射程の長い話は古びない
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2015年に行われた対談録。シジュウカラの鈴木俊貴氏と山極氏の共著が2023年8月に出るにあたって検索していて引き寄せられた。
1980年代には「成熟社会」や「少子高齢化」は悪いことではないと考えて…いたが、グローバリゼーションにあって貧困と格差に覆われているとの現状認識。地域社会の小商いは大資本の流通に勝てないと、錦市場の目線で語られる。人類が類人猿との共通祖先から別れて700万年の特質とも絡めて、資本主義の不自然さが浮き上がってくる。
また、liberalの本意は気前が良く大らか、そして豊富であるためにとらわれない自由。これが政治的な自由や自分勝手のlibertyとしばしば混同されているという指摘も興味深かった。 続きを読む投稿日:2023.07.28
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人を動かすナラティブ
大治朋子 / 毎日新聞出版
表紙と試し読みで持った自分のナラティブは安易でした
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表紙絵とコメントから「安易なお話に引き寄せられる心性の解明」がテーマかと思いきや(それもあるのだが)、正解を求める論理科学モードの認知的スキルと発散的思考のナラティブモードの社会情動スキルを各種の場面…で丁寧に追った上で、ナラティブとアルゴリズムを駆使する心理操作がなぜ可能でどう活用されているかが解き明かされており、それが表紙の意味だと気付いて私自身が安易なナラティブに乗っていたことに愕然とした。
今年ここまで読んだ本で、有数の面白さでした。 続きを読む投稿日:2023.07.11
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おいしいベランダ。 亜潟家のアラカルト【電子特典付き】
竹岡葉月, おかざきおか / 富士見L文庫
通知してくれたらいいのに〜
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「おいしいベランダ。」全10巻(+1)のシリーズ後を描いた短編3本と、こぼれ話的な印刷書籍の特典SS12本がとても楽しかったです。お話と食レポの両面でごちそうさまでした。あぁ、海南鶏飯食べたい。
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2021年6月に完結するまで発売即読みしていたシリーズの続編が2022年6月に出ていたことに、2023年6月に遅ればせながら気が付きました。購入した本の続巻をwebの本棚から見る機能がついたおかげですが、他書店には普通にあるシリーズ続刊通知機能が無いのは困りものですね。毎日のように送られてくる割にハズレが多いリコメンドをあらためて検索しましたが、そちらには入っていませんでした。 続きを読む投稿日:2023.07.04
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原発再稼働 葬られた過酷事故の教訓
日野行介 / 集英社新書
規制庁や行政のロジックを見事に腑分け
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毎日新聞での調査報道を再構成し再考した一冊。例えば避難計画に実効性が無いばかりか虚構の積み上げになっていることが顕わになっていく。何故こうなるかというと、事故に備える構えのはずが、再稼働のため作ってお…くものに転倒しているから。その他リアタイでは理解しがたい展開が「彼ら」それぞれのナラティブでは普通の物事であるというギャップが丁寧に分析されていて、興味深くも暗澹とした。 続きを読む
投稿日:2023.06.28
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氷原・非情のブリザード
新田次郎 / 新潮社
非持続的な人間活動への数々の警鐘
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自然と人間の関係について書き続けた氏の急死後すぐ、1980年4月に出た短編集。「孤高の人」や「八甲田山〜」などの影に隠れるマイナーな作品が淡々と並ぶのを読むうちに、戦争や開発その他のエゴが自然ひいては…人間を蝕んでいることが60年ほど前に言語化されていることの凄みが迫ってきました。
収録作と初出年のメモ:
「氷原」1956
「非情のブリザード」1962
「火山群」1957
「虹の人」1958
「三つの石の物語」1958
「神通川」1968
「風の墓場」1975(全集に収載)
「春紫苑物語」1975(全集に収載)
「高原の憂鬱」1975(全集に収載) 続きを読む投稿日:2023.06.18
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自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言
鈴木エイト / 小学館
7月8日、安倍元首相暗殺から間もなく1年
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逸早く情報共有すべく緊急出版された前著には「ごった煮」感があったが、本書は情報の氾濫や教会と自民らのダメージコントロールなどで拡散しズレた論点を整理し直すことに主眼があり、読みやすくまとまっていた。同…時に事件後の動きに詳しく、現状が一層クリアに見えてくる。これを踏まえて前著を読み直すのがいいかも知れない。 続きを読む
投稿日:2023.06.12