つたもみじさんのレビュー
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マルタ・サギーは探偵ですか? I ~レド・ビァ事件~(富士見L文庫)
野梨原花南, 鈴木次郎 / 富士見L文庫
I’m Marta Saggy !
8
ミステリではなくファンタジー。事件を強制的に終結させる『名探偵』のカードを手に入れ「カード戦争」に巻き込まれた鷺井丸太が、マルタ・サギーとして異世界オスタスで名探偵として生きていくまでのストーリー。面…倒だからという理由で高校を辞めてしまう冒頭では何に対しても無気力だったのに、死にたくない、悪いことは悪い、助けたい…その心はどこまでも、幼い子供のように純粋。一人では何もできないと知っているのも良い。連続殺人事件やドラゴン誘拐事件。怪盗ドクトル・バーチとの関係とかどうなるのかな。サクッとテンポ良く面白かった。 続きを読む
投稿日:2015.08.26
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遺跡発掘師は笑わない ほうらいの海翡翠
桑原水菜 / 角川文庫
天才発掘師が掘り出した、緑色琥珀を巡るサスペンス
8
天才発掘師・西原無量が掘り出した緑色琥珀を巡る物語。遺跡や歴史の話を昨今の尖閣問題やエネルギー問題と絡めるのは面白い。軽いサスペンスで、トレジャーディガーだのオーガ・ハンドだの、派手な単語は登場するが…、発掘作業そのものはリアルに近い。うん、昔、ありましたねぇ…ゴットハンド捏造事件。全体的にはサラッと読了。
解説に、文章がストイックでそっけないほどあっさり…とあったのですが、例として抜粋されていた部分が、むしろ「ゴテゴテ装飾しすぎだよ。そんなにイケメンを強調したいのか…」とか私が思っていた場所で、なんかスッと覚めてしまって解説は途中放棄。 続きを読む投稿日:2015.06.17
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後巷説百物語
京極夏彦 / 角川文庫
シリーズ三作目。直木賞受賞作。
8
時代は江戸から御一新を経て、大きく変わった明治10年。おぎんの孫・小夜と共に、薬研堀の庵に住まう老いた百介こと一白翁の元に、奇妙な話を持ち込む四人組。与次郎、剣之進、正馬、惣兵衛。物語は百介が過去に又…市らと共に体験した巷説を語るという趣向で『赤えいの魚』『天火』『手負蛇』『山男』『五位の光』『風の神』の六篇。赤えいが妙に怖かった。物語全体的に漂う寂しさは、百介の感じる懐かしさやかつての仲間達への思い、哀愁なのでしょうか。百鬼夜行シリーズとのリンクも良かった。 続きを読む
投稿日:2015.01.02
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怪しい店
有栖川有栖 / 角川文庫
店をテーマにした短篇集
8
店をテーマにした短篇集。サクッと軽めだけれど面白かった。「古物の魔」「燈火堂の奇禍」「ショーウィンドウを砕く」「潮騒理髪店」「怪しい店」安楽椅子あり倒叙あり、バラエティに富んだ五篇。「古物の魔」骨董品…店の雰囲気が良かった。骨董に対する価値は人それぞれだけれど、それ故に許せない事もある…というかなんというかあの女性客が可哀想だなと思ったり。表題作は他人の悩み事を聴く「みみや」での殺人事件。なかなかゲスい…被害者が。個人的には、何気ない日常と、人とのやり取りがほのぼのとしていた「潮騒理髪店」が好み。 続きを読む
投稿日:2017.01.04
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ヴァンパイアハンター・リンカーン
セス・グレアム=スミス, 赤尾秀子 / 新書館海外ノヴェルス
真実は…
7
小説として読むと、淡々とし過ぎていて些か物足りなく感じるものの、リンカーンの生涯とアメリカ史という史実と、ヴァンパイアハンターとしての戦いという虚構との融合は絶妙で、本当に一つの説として説得感すら感じ…てしまう。最愛の母を吸血鬼に殺され復讐を誓った少年の頃から、南北戦争や奴隷解放運動に至るまで…その背後にヴァンパイアの影を感じない事の無い戦いの生涯。晩年は過酷に過ぎる。しかしラストの展開は絶対にヘンリーと一悶着あったんじゃなかろうか…と思うと、ちょっとだけ微笑ましい…ような気もする。 続きを読む
投稿日:2015.07.04
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トリックスターズL
久住四季 / メディアワークス文庫
うーん。
7
テンポよくサクッと読了。面白かったですけど、相変わらず煽りすぎ感。最初の実験段階からバレバレじゃないですか。というわけで「あっと驚く結末」という割に驚きませんでしたが、それでも佐杏先生の奇行とか、周の…トンデモ推理とか、『嵐の山荘』の定義とか、ツッコミ入れつつも楽しめました。Lの結末は悲しいなぁ。
周に関する(前作で明かされた)あれこれが今回のストーリーに全く出てこない…のは次作への布石かなんかですかね? 続きを読む投稿日:2016.06.13