つたもみじさんのレビュー
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オペラ・エテルニタ 世界は永遠を歌う
栗原ちひろ, THORES柴本 / 角川ビーンズ文庫
ごってごてのファンタジー。シリーズ第一巻。
8
著者さんデビュー作。剣と魔法と、呪いと魔物。世界の王と、不死者と、鳥の神。ごってごてのファンタジー。魔物の呪いを受けた、剣士にして薬師の青年・主人公カナギは、呪いのせいで喀血癖があるが病弱と言われるの…が嫌い。相方は、不自然なまでに整った容貌だが、得体のしれない詩人・ソラ…明らかに胡散臭い。ヒロインの少女ミリアンは元・主人公を狙う暗殺者…可愛い。大災害で一度滅び、鳥の神によって復活した世界で、彼等の旅が始まる。シリーズ1巻。まだ序盤だけれど、カナギとソラの会話は軽妙で、あれこれテンコ盛りで楽しかった。 続きを読む
投稿日:2016.03.18
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霧越邸殺人事件(下)<完全改訂版>
綾辻行人 / 角川文庫
少々肩透かし…かも。
8
本格ミステリ+幻想小説。語り手にも探偵役にも、少々冗長さを感じた。
止まぬ吹雪に孤立した「霧越邸」で、次々に起きる見立て殺人。ちょっとした(古典的とも思える)言動で真犯人はわかってしまったけれども、邸…内に潜む何者か…が、かなり後半にならないと登場しないので、あれこれ考えずに素直に読んだ。が、その何者か…も予想通り。不可思議な現象は不可思議なまま。幻想的な雰囲気は良かったけれど、傑作という前評判に期待し過ぎると肩透かしを食らう感じかも。 続きを読む投稿日:2016.02.02
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クラーク巴里探偵録
三木笙子 / 幻冬舎文庫
連作短篇集
8
欧羅巴を巡業中の曲芸一座「那須一座」敏腕番頭の孝介と、料理上手な新入り・晴彦。二人は贔屓筋から頼まれる厄介事を解決する日々を送っているのですが。それにしても「那須一座」という名前のチートさよw
二人…の間には信頼があって、とても良い関係なのですが。ハルには孝介には言えない裏の事情があって…。ストーリーにべったりとハルの罪悪感が塗り込められている気がして、何度も読む手が止まってしまった。ラストもなんとか纏めた感じでしたが、個人的に、後味はあまり宜しくありませんねぇ… 続きを読む投稿日:2015.09.13
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神様の御用人
浅葉なつ / メディアワークス文庫
ほっこり
8
連作短篇集。ほっこり。人々からの敬いや感謝が減り、力を落とした神様たちの御用を聞いて回る人間・御用人。訳あって現在フリーターな良彦は、亡き祖父も勤めた御用人となり、神様たちに振り回されて右往左往。登場…する神様たちが個性的で、人間くさい一面もあり、どの神様も魅力的。あー、方位神をモフりたい。神様にお願いをして叶えて貰ったら、今度はお礼参りに行くのよ…と、幼い頃から母が言ってたが、お礼参りに行く人はあまりいないのかな。古事記などを読んでいれば、より楽しめる一冊。 続きを読む
投稿日:2015.09.17
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血界戦線 オンリー・ア・ペイパームーン
内藤泰弘, 秋田禎信 / ジャンプジェイブックスDIGITAL
原作の雰囲気そのままのノベライズ
8
レオとザップの前に現れた少女。未来から来たザップの娘だと言う彼女・バレリーとザップを中心にしたストーリー。原作の雰囲気を損なう事のない、良いノベライズでした。世界観もそのままにサクッと読みやすく、純粋…に楽しめた。
子供相手でも全力で卑怯を貫くのも、なんだかんだでパパやってる姿も、いざって時にはキッチリ締めるのも、笑えるし情けないし可愛いしカッコイイしで、ザップ好きには堪らない一冊。 続きを読む投稿日:2016.03.18
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ジャイロスコープ
伊坂幸太郎 / 新潮文庫
多様な世界観。
8
全7本の短篇集+著者インタビュー。相談屋の稲垣さんとバイトの浜田青年「浜田青年ホントスカ」緩さの中にあるサスペンス性が好き。「一人では無理がある」松田くんのうっかりミスすらプラスに変えてしまう謎の人事…部。新幹線の清掃員チーム「彗星さんたち」ほっこり。鶴田主任が引用するパウエル国務長官の言葉が良い。全体的に好みの作品が多かったです。ラスト「後ろの声がうるさい」それぞれのストーリーに登場した人物が交錯する。偶然に隣り合わせで座った二人(互いに相手を認識して、それを表に出さず)の会話も良かった。心地よい読了感。 続きを読む
投稿日:2016.02.10