さとみさんのレビュー
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聲の形(1)
大今良時 / 週刊少年マガジン
いじめられっ子と、いじめっ子に、救いはあるか。
3
好奇心のおもむくままに、日々を楽しくすごしていた主人公、将也。
それは、他人、例えば母が営む美容院に来客する大人から見れば、ただ小学生らしく遊んでいる子どもだ。しかし、その内実、友だちが嫌がる川の飛び…込みをしたり、ナメクジに塩をかけたり、遊び方はちょっと残酷。
それが耳の聞こえない転校生、西宮硝子が来たことで、遊びの対象が「西宮硝子」になってしまい、結果、いじめとなってしまう。いじめを擁護するわけではないが、きっと、「苦しめたい」と思ったわけではなかった。ただ、「これはどうだ!」「じゃぁこれは?」といった遊びが、人を苦しめ、いじめになっていた。彼には、自分がされたらどう思うか、という思いやりが欠けていたのだ。
先生は叱り、親による損額の実費支払い(将也は硝子の補聴器も壊した)、謝罪が行われる。そして、いじめの対象は自分自身になって返ってくる。小学生だって、ただ子どもじゃない。そこには、大人と同じように人間関係があり、闇がある。
ここまでは、当事者だったか、傍から見ていたかの違いはあれど、多くの人に経験がある「苦い思い出」(または現在進行系?)ではないか。主人公は以後、いじめっ子のレッテルを貼られたまま、高校生まで成長する。
いじめが返ってきた後、この物語では主人公が贖罪の生き方を選んでいる。バイトをして、母に損額金を返す。手話を勉強し、硝子に会いに行く。これが、この巻のラストシーンだが、私はここにきて初めて、この話の続きに興味を持った。
いじめがニュースとして日々取り上げられているが、いじめる側、いじめられる側との間で、一体どれだけ本当に和解がされているか。形式的な解決だけで終わっていないか。
そういった意味で、まだ続きは読んでいないのだが、この続きが重要だと思ったのだ。
ぜひ、続きも読んでみたい。 続きを読む投稿日:2016.09.25
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ふつつかな父娘ではありますが(1)
長神 / シルフコミックス
ツンデレな父(?)が胸キュンポイント?
1
親戚に邪険にされながらも暮らしていた主人公が、ある日突然、財閥の息子と養子縁組を組まれ、親子(父と娘)の関係になってしまった、という話。
父・桐生馨は、当初なかなか心を開いてくれず、つれない態度をと…りますが、徐々に主人公に心を許すようになります。彼は、財閥の中で親戚の権力争いに揉まれて生きてきたからか、親密な関係での人付き合いが下手なところがあり、ツンツンした態度を多々とってしまいます。
本当は、主人公のことを思った、愛情を伴った行動なのに、正しく伝わらない、馨……! そう、この話は、主人公を通して見る、馨さんの変化を楽しむ話だと思うのです。
また、表紙のとおり父と娘と言っていいのか、という二人の雰囲気。今後二人の関係がどう変化していくのかも、楽しみなところです。 続きを読む投稿日:2016.07.01
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世界の名言100選
金森誠也 / PHP文庫
人生で大切なことは、愛と勇気といくらかのお金だ(チャップリン)
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世界中の有名な人々、歴史の偉人たちの名言100選それぞれに、約2ページずつエピソードがついた内容だ。
例えば、チャップリンの「人生で大切なことは~……」という名言には、チャップリンが幼い頃から貧乏…であったというエピソード、人気が出た後は給料がアップ、しかし1940年代には国外追放になった、という話が添えられている。
名言を発した偉人たちについて、ざっくりと知るには良いのだが、もう少し何か無かったものか。という感じはした。期待していたのが、どういうシーンでその言葉が発せられたのか、という部分だったので物足りなかった。(←もちろん、難しい性質だとは思うのですが)
また、名言のチョイスについても、例えばアイザック=ニュートンは「天体の運動は計算できるが、人の気持ちはとても計算できるものではない」。もっと心に刺さる言葉があるのでは? 厳選が甘いと感じた。
以上を踏まえても、やはり言葉との出会いは一期一会のところはあると思う。目次で名言が一覧になっているので、気になる言葉があれば、ページを開いて確認すると良いだろう。
続きを読む投稿日:2016.03.02
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&(6)
おかざき真里 / フィールヤング
不穏な空気が揺れる恋模様
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恋愛面では、もわっと黒い空気が漂います。
矢飼先生のトラウマに関係しそうな人物、清水さんの登場です。
気持ちが近づいてはいるものの、なんだか煮え切らない薫ちゃんと矢飼先生に、焦れったさを感じつつ、シロ…ちゃんのトキメキに一緒にドキドキしつつ。もやもやします。
でも、不安定な恋愛がある一方で、一生懸命に仕事に取り組む薫ちゃんも描かれてるから、彼女には信頼を寄せれます。
しんどいと、仕事に潰される場面もあるのだろう。それでも、私たちは仕事をしようとするのだと思います。なんとか踏ん張ろうとしちゃうんですよね。分かります! 続きを読む投稿日:2015.06.09