山ぎは少し明かりて
辻堂ゆめ(著)
/小学館
作品情報
祖母が守りたかったもの、それは?
瑞ノ瀬村に暮らす佳代、千代、三代の三姉妹は、美しい自然の中をかけまわり元気に暮らしていた。大切な人が戦地から帰ってくる日も、村中から祝われながら結婚式を挙げた日も、家で子を産んだ日も、豊かな自然を讃えた山々の景色が、佳代たちを包み込み、見守ってくれていた。あるときそんな瑞ノ瀬村に、ダム建設計画の話が浮上する。佳代たちの愛する村が、湖の底に沈んでしまうという。佳代は夫の孝光とともに懸命に反対運動に励むが──。
定年退職まで営業部で忙しく働く佳代の娘・雅枝と、海外留学先であるイタリアで「適応障害」になり、1ヶ月と少しで実家に帰ってきてしまった孫・都。湖の底に沈んだ瑞ノ瀬への想いはそれぞれにまったく異なっていた。
大藪春彦賞受賞、吉川英治文学新人賞ノミネートなど、いま最注目の若手作家・辻堂ゆめの最新刊! 都市開発や自然災害で、瞬く間に変わりゆく日本の古き良き故郷(ふるさと)の姿。私たちが得たものと失ったものは、一体何なのか。若き作家が三世代の親子の目を通じ、変わりゆく日本の「故郷」を壮大なスケールで描いた感動作。
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この作品のレビュー
平均 4.1 (34件のレビュー)
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ダム建設で瑞ノ瀬村が、湖の底に沈んでしまった。
その村で育った三姉妹とその長女・佳代の三世代の母娘を描いた大河小説である。
第一章 雨など降るも
孫の都は、個性も特技も肩書きも何もないからと就活を…有利に進めるために海外留学するものの、環境の変化についていけずに帰国する。
適応障害と診断された都は、友人にも彼氏にも言えずに引き篭もりの日々が続いていたある日、台風の被害で彼氏の実家が大変なことになってるのでは…と後先考えずに家を飛び出して…。
第二章 夕日のさして山の端
娘の雅恵は、瑞ノ瀬の母親の実家の土地を売り、都会に出ることを選択したからには立派に幸福に生きる義務があるという思いもあって、脇目も振らずにがむしゃらに働いた。
管理職になり、もう定年間近になっていたときに自宅にいる夫から白骨発見の電話を受けて…。
第三章 山ぎは少し明かりて
瑞ノ瀬村に暮らす佳代、千代、三代の三姉妹は美しい自然のなかで駆け回りながら成長していく、佳代は同級の孝光が戦後しばらくして帰ってきてから夫婦になり、一人娘の雅恵を授かる。
だが、二人にとって幼い頃からの思い出のある村にダム建設の話が出て…。
それぞれの時代の流れとその状況で、三世代の心の内に抱えているものをとても丁寧に表現している。
特に佳代の時代は、戦前から戦後にかけての厳しくて苦しい時代であり、その上にダム建設という変化が凄いうえに当事者の気持ちも揺れ動き、絶望感が伝わってくる。
その親から反発するかのように都会の生活に憧れる雅恵の気持ちもわからなくはない。
最後まで佳代と雅恵に通じるものを感じとれなかったが、それを補うかのようにそばで寄り添っていたのは夫であり、叔母の三代だったように思う。
プロローグとエピローグが繋がり、思い出と優しさが湖面に漂っていった。
続きを読む投稿日:2024.01.23
読んで良かった。
故郷という大きさを改めて感じさせてくれ、切なさや愛おしさが心に広がる。
現在のシーンから話は始まるが、それは伏線で、太平洋戦争直前、後にダムに沈む瑞ノ瀬と言う場所での話に移る。
…瀬川佳代、千代、三代の三姉妹と佳代の幼馴染みの瀬川孝光は、自然とその恩恵を受けて恵みが豊かな瑞ノ瀬で元気に暮らす。佳代と孝光は次第に意識をする仲となるが、そこに戦争召集令状が届き、佳代は孝光の無事を祈り待つ。諦めるしかないと思っていた矢先の再会。
二人は結婚をし、ようやく一人娘雅枝を授かる。
そんな中持ち上がったのが、ダム建設による瑞ノ瀬村全体の立ち退き。
孝光と佳代を始め、故郷を愛する人々による反対運動が行われるが、国や村の中の賛成者による懐柔策が次第に効果を表し、ついに二人だけの闘争となる。そして孝光の不可解な失踪。
佳代にとって、孝光との想い出の詰まった故郷はかけがえのないものだ。ましてやここで立ち退いては孝光の帰る場所がなくなってしまう。
ダム建設により水位が次第に上がってきても、小屋を移動させながらひたすら夫を待つ。その姿を故郷の自然は優しく包む。
故郷ということば響きは、どうしてこんなにも優しく哀愁に満ちているのかと思う。
余韻がいつまでも残る作品だと感じた。続きを読む投稿日:2024.04.26
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