【感想】山ぎは少し明かりて

辻堂ゆめ / 小学館
(38件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
10
23
5
0
0

ブクログレビュー

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  • くく

    くく

    三世代にわたる女性の軌跡。特に戦前から平成にかけ時代に翻弄された佳代の心情の移ろいには圧巻。胸が押しつぶされるような苦しさや怒りを覚えた。はるか昔から故郷を生み、守り、つないでくれている事実の重みを感じた。久々に読書で泣いた。
    2024.5.18
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    投稿日:2024.05.18

  • なみよい

    なみよい

    ダム湖に沈むということがどういうことなのか。現代の話も混ぜつつ、祖母・母・娘の想いを掬い取る。少し淋しい。

    投稿日:2024.05.17

  • guri

    guri

     都、雅枝、佳代、千代、三代。
    この物語に登場する女性たちの名は、どこか雅だ。
    各章につけられているタイトルは、枕草子からの言葉である。
     これらが無意識に日本人の心とは何か、あなたにとって故郷とは、と問われているような気がしてくる。
     一方で、時代の生き方を否定することなく、選んだ道で暮らしていく強さを描いており、共感できる場面が多くある。
     第三章のラストでは、プロローグとエピローグに繋がるようになっているが、私は第一章のラストの場面を思い起こしながら読んだ。
    そう、未来へ続く景色として。
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    投稿日:2024.05.10

  • ロマンスカー読書人

    ロマンスカー読書人

    著者の作品は読後感の良いミステリーですが、これはミステリーではありません。
    孫娘→母親→祖母と女性3代の話を読み進めていくと色々と伏線が回収されていく、登場人物への愛情が注がれるのはいつもの作品と同じです。
    ”瑞ノ瀬”は”宮ケ瀬”ですね。私は孫娘・母親の時代のロケーションは目に浮かび、祖母の時代はこんなだったのかと思いながら読みました。
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    投稿日:2024.05.04

  • Masahiro Sera

    Masahiro Sera

    読んで良かった。
    故郷という大きさを改めて感じさせてくれ、切なさや愛おしさが心に広がる。

    現在のシーンから話は始まるが、それは伏線で、太平洋戦争直前、後にダムに沈む瑞ノ瀬と言う場所での話に移る。

    瀬川佳代、千代、三代の三姉妹と佳代の幼馴染みの瀬川孝光は、自然とその恩恵を受けて恵みが豊かな瑞ノ瀬で元気に暮らす。佳代と孝光は次第に意識をする仲となるが、そこに戦争召集令状が届き、佳代は孝光の無事を祈り待つ。諦めるしかないと思っていた矢先の再会。
    二人は結婚をし、ようやく一人娘雅枝を授かる。
    そんな中持ち上がったのが、ダム建設による瑞ノ瀬村全体の立ち退き。
    孝光と佳代を始め、故郷を愛する人々による反対運動が行われるが、国や村の中の賛成者による懐柔策が次第に効果を表し、ついに二人だけの闘争となる。そして孝光の不可解な失踪。
    佳代にとって、孝光との想い出の詰まった故郷はかけがえのないものだ。ましてやここで立ち退いては孝光の帰る場所がなくなってしまう。
    ダム建設により水位が次第に上がってきても、小屋を移動させながらひたすら夫を待つ。その姿を故郷の自然は優しく包む。

    故郷ということば響きは、どうしてこんなにも優しく哀愁に満ちているのかと思う。
    余韻がいつまでも残る作品だと感じた。
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    投稿日:2024.04.26

  • アールグレイ

    アールグレイ

    村を流れる小川の水で遊んだ。魚が、アメンボが、蛍を採り家へ持ち帰り、蚊帳の中に放って寝た。
    秋には小学校で、村人総出で集落対抗の
    運動会で楽しんだ!
    やがて、佳代の想い人の孝光は戦争へ。
    それから・・・茶褐色の国民服を着た、青年が現れた時は泣きながら飛びついた。
    その先には萌黄色の裏山、一生忘れないと思った光景だった。そして結婚して―

    ある日の朝刊に「建設省がダム構想発表」
    瑞谷村の瑞ノ瀬に・・・・とあった。
    今自分がいるここが、水底になる!
    皆反対運動を始めた。それなりのものを
    国はくれると言う。反対運動は、賛成へと鞍替えるものがでてきて・・・・

    私にそのようなことが起きたら、どんな
    気持ちになるのだろう?
    子供時代から愛している、この地が水底に沈む。それは、耐え難いのではない
    だろうか?

    日本に、ダムは幾つもある。
    そのダムができる時に、この本のように
    故郷に別れを告げた人々は、きっと沢山居る!そのことに気付かなかった訳ではないが、これほど考えたのは初めてだった。引っ越しを余儀なくされた皆様は
    大変な思いをしていることに気付いた
    本だった。

    他に孫のこと。
    娘のこと。
    沢山の家族などの、中味の詰まった
    一冊だった。

    2024、4、25 読了
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    投稿日:2024.04.25

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