何かが道をやってくる
レイ・ブラッドベリ(著)
,中村融(訳)
/創元SF文庫
作品情報
その年のハロウィーンはいつもより早く訪れ、ジムとウィル、ふたりの13歳の少年は、一夜のうちに永久に子供ではなくなった──。深夜3時に町に現れた古びた列車で、カーニヴァルは運ばれてきて設営された。その喧騒のなか、回転木馬の進行につれて、人の姿は現在から過去へ、過去から未来へ変わりゆき、〈全身を彩った男(イラストレイテッド・マン)〉や〈塵の魔女〉が徘徊する悪夢の世界が、少年たちの前に現出する。SFの叙情詩人を代表する一大ファンタジー。著者自身のあとがきを付す。
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商品情報
- シリーズ
- 何かが道をやってくる
- 出版社
- 東京創元社
- 掲載誌・レーベル
- 創元SF文庫
- 書籍発売日
- 2023.07.28
- Reader Store発売日
- 2023.07.28
- ファイルサイズ
- 1.1MB
- ページ数
- 412ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (2件のレビュー)
-
レイ・ブラッドベリの1962年発表のダークファンタジー。著者は短篇のイメージが強いですが、これは長篇。1983年にディズニーで実写映画化(映画自体は凡作との評価)。
10月のある夜、田舎町に突然現れ…たカーニバル。親友同士の少年2人は、そのカーニバルの奇怪で異常な様子を覗き見てしまいます。やがて2人は、そのカーニバルの邪悪な秘密を知ってしまい、その魔の手から逃れようと苦闘して、父親も巻き込みながら物語は佳境に突き進んで行きます…という話し。
人々の弱点である人生における若さや老いを巧みについてくる、カーニバル座長のミスター・ダークと、少年2人や父親の心の動きの描き方が素晴らしく、物語に引き込まれました。また、この手の冒険譚は、子供だけで解決することが多いのですが、この物語は父親がとてもいい役割りをしていたのが印象深かったです。特に、28節にある父と子の会話が秀逸ですね。ラストもいい終わり方だと思いました。
追記:
訳者あとがきによると、スティーブン・キングがブラッドベリの最高傑作と思っているとの発言を引用していました。続きを読む投稿日:2024.03.10
このレビューはネタバレを含みます
とにかくめちゃ怖かった!
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ハロウィンに古びた列車で街にやってきたカーニバルは、人々の負の感情を糧に永遠に続く悪夢のような存在。ターゲットにされた人間は時を巻き戻すメリーゴーランドにのせられ、何十歳も年…を取り(または若返り)、日常での居場所が無くなり、カーニバルの一員になるしかなくなる。もう2度と戻れない日常に絶望する人間の感情はカーニバルを運ぶ列車の燃料となる。
仲良しな13歳の2人の少年がそのカーニバルに捕らえられそうになる話。
メリーゴーランドに乗ってぐるぐる回ることがこんなに怖い話になるとは…。鏡の迷路で、突然何十年も年を取った自分の姿を見る羽目になるのはこわい。
少年たち2人とも仲良しでやんちゃで悪戯好きで優しくて愛しいので、この2人が不幸になったらどうしようとハラハラしたけど。ハッピーエンドでよかった。やはり親の愛は偉大。
レイ・ブラッドベリの作品初めてだった。けっこう純文学的な表現が多めな印象。ちょっと読みづらいところもあったけど、普段そっけなかったパパが一生懸命息子に語るところは美しい表現だった。
自分がくたびれてる様子でも日々妻と息子を思って善い事をしようとしてるからであって、けして不幸だとは思っていないこと。
息子から見た親は善だけで出来ているように見えるだろうけどそんなことはなくて、父も母も善と悪で出来ているんだよと。でもそんな父と母の善を半分ずつ受け取ってすべてが善の存在がおまえなんだよ。
ってシーンがすごく好き。散々世の中の人間みんな悪があるとか言ってたのに、でも息子だけはキラキラした純粋な善だけで出来てるって心の底から思ってるという。これが親心ってやつなのかな。
続きを読む投稿日:2024.05.06
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