新しい労働社会-雇用システムの再構築へ
濱口桂一郎(著)
/岩波新書
作品情報
正規労働者であることが要件の,現在の日本型雇用システム.その不合理と綻びはもはや覆うべくもない.正規,非正規の別をこえ,合意形成の礎をいかに築き直すか.問われているのは民主主義の本分だ.独自の労働政策論で注目される著者が,混迷する雇用論議に一石を投じる.
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 新しい労働社会-雇用システムの再構築へ
- 著者
- 濱口桂一郎
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波新書
- 書籍発売日
- 2009.07.22
- Reader Store発売日
- 2018.08.16
- ファイルサイズ
- 0.5MB
- ページ数
- 222ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.8 (28件のレビュー)
-
濱口圭一郎さんは、今や世の中に一般用語として受け入れられた「メンバーシップ型雇用」「ジョブ型雇用」という用語を初めて使われた方で、キャリア官僚、大学教授などを経て、今は独立行政法人労働政策研究・研修機…構の研究員。
本書は、2009年発行であり、私の記憶が間違っていなければ、濱口さんが、「メンバーシップ型」「ジョブ型」という用語を使われるようになる前の著作だ。
職務を特定しないまま労働契約を締結することが、日本型雇用の本質である、と筆者はまず主張されている。数十年前、大学を卒業し入社した会社では、入社研修が終わり、「配属式」と呼ばれる式で配属先の発表を受けるまで、自分はどこで、どんな仕事をするのか分からなかった。今でも、新卒として比較的規模の大きな会社に入るとそういう状態のはずだ。説明の詳細は省くが、この日本型雇用システムにより、ある意味で、労働者がしわ寄せを受けているのではないか、というのが、本書の主張のメインの部分だ。
それは、色々ある。
日本的な長期雇用(終身雇用)を社会の仕組みとしてキープするために、労働者は、会社の決定により勤務場所や職務が決められる。それは、望まない転勤を招いたりする。特に家族持ちの場合には生活に対しての影響は大きい。しかし、判例では、相当な部分まで、労働者は会社の命じる転勤に従うべきであるという判断がくだされたりしている。そのようなことは数多い。
本書は、どちらかと言えば、そういった問題を、労働「行政」「法制」「政策」の視点で論じたものであり、割合と実際的・実務的な話が多い。人事管理の仕事等に関係している人にとっては、頭の整理にもなる。続きを読む投稿日:2024.04.26
「正社員と非正規労働者、中高年労働者と若年労働者、男性労働者と女性労働者など、さまざまな労働者内部の利害対立」においては、利益配分問題よりも不利益配分問題が問われており、「様々な利害関係者の代表者が…参加して、その利益と不利益を明示して堂々と交渉を行い、その政治的妥協として公共的な意志を決定するというステークスホルダー民主主義」の必要性を説く。その場合、不利益な側(弱者)が堂々と意見を明確に示し、それが配慮されなければいけない。不利益を分かちあい、あとは、公的保証にゆだねるなりのセーフティネットが必要となるだろう。
この方向へと進んでゆくのに、日本的パートナーシップ型雇用形態(同氏による『ジョブ型雇用社会とは何か』によると、日本以外はジョブ型であるという)は、適切な形態ではない。なぜなのか。
日本では「雇用契約で職務が決まって」おらず、「ある職務に必要な人員が減少しても、別の職務で人員が足りなければ、その職務に移動させて契約を維持することができ」る。つまりジョブ型では職務によって雇用されるが、パートナーシップ型では、文字どおり、企業のパートナー(?)として雇用される。そして、前者では、職務と技能水準で賃金が決められるのに対して、後者においては、「企業のメンバーとしての忠誠心が求められる」という観点から、人事査定が行われている。これでは、労使関係の力関係で、「使」側が優位であることは、明白である。
そして、非正規労働者は「ジョブ型」の雇用形態であるから、パートナーシップ型雇用形態では、正規労働者との「同一労働、同一賃金」への道のりは困難であろう。
また、パートナーシップ型では、あらかじめ技能をそなえておく必要はなく、技能習得は企業が担っている。そして、さまざまな職種を経験した中高年労働者は、忠誠心が人事査定で評価される、ということになり、生活・年齢給として給付される。ここに日本独自の企業別労働組合の優位があり、職務・職種別労働組合の根付かなさがある。
ステークスホルダーとは「利害関係者」のことであるが、「会社は株主、労働者、取引先、顧客などの利害関係者の利害を調整しつつ経営される」という「ステークスホルダー的資本主義」が提唱されている。では、労働者内での正規と非正規の利害対立は?続きを読む投稿日:2023.04.01
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。