うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった
藤川徳美(著)
/光文社新書
作品情報
めまいやふらつき、倦怠感、イライラ、朝起きられない、冷え性、頭痛・・・・・・あなたの不調は、「鉄・タンパク不足」の症状かもしれない――。日本女性の大半は、貯蔵鉄(フェリチン)が空っぽの状態で、深刻な鉄不足だが、多くの人が自分の鉄欠乏に気付いていない。近年、「高タンパク・低糖質食+鉄剤」療法によって多くのうつ・パニック患者を完治させている精神科医が、多数の症例を交えながら、鉄・タンパク摂取の重要性を伝える。
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商品情報
- シリーズ
- うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった
- 著者
- 藤川徳美
- 出版社
- 光文社
- 掲載誌・レーベル
- 光文社新書
- 書籍発売日
- 2017.07.20
- Reader Store発売日
- 2017.07.21
- ファイルサイズ
- 2.1MB
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フェリチン 内部に鉄を蓄えることができる蛋白
ヘモグロビンが正常でもフェリチンが低下していれば、鉄の貯金が減っていることになり、鉄不足の症状が出ます
ヘモグロビン正常 フェリチン低下 潜在性鉄欠乏症…
普段使うお金をヘモグロビン、貯金分をフェリチン
欧米を中心とした50カ国以上 小麦粉にあらかじめ鉄が添加されている 1940年代鉄欠乏性貧血が多く発症していた
赤血球の合成以外の鉄の役割
神経伝達物質であるセロトニン、ドーパミン作成の際の補因子
有毒の活性酸素から身を守るスカベンジャーであるカタラーゼには鉄が必須
ミトコンドリア膜にある電子伝達系には鉄が必須
フェリチン30以下MCV 90fm以下は顕著な鉄不足
フェリチンは月5-10ペースで上昇
フェリチンが極端に低すぎる場合には、はじめは鉄剤も抗うつ薬も効きにくい
フェロケル キレート鉄のサプリメント 鉄イオンをアミノ酸(グリシン2分子)が取り囲んでいる。ムカムカして飲めないということはない
フェリチン 10以下は鉄剤+フェロケル
子どもの場合はフェリチンは1ヶ月で10前後上昇するため、鉄剤の投与の目安は6ヶ月前後
清涼飲料水は飲まない、なるべくおかずを先に食べ、ご飯は後にする
ご飯のおかわりはなるべくやめて、おかずのおかわりをしよう
初診時に鉄が低い場合、鉄剤を投与し3ヶ月後に再検査 月経がない場合つき10フェリチンが上昇
25-50歳の場合は月5も上昇すればよいほう
あとは半年おき
目標はフェリチン100
ビタミンCを同時に摂取すると、鉄の吸収率は上がる
健康の人の体の中 鉄3-4g 2/3 ヘモグロビンと結合した状態のヘム鉄 残りの1/3 フェリチンなどの貯蔵鉄
食事中の鉄は三価鉄 多くは消化管で還元されて二価鉄となり 十二指腸から吸収されて、毛細血管に入り、そこでトランスフェリンというタンパク質と結合。トランスフェリンは血液中で鉄を運ぶためのタンパク質
一部の鉄はトランスフェリンに運ばれて赤芽球に取り込まれる
残りの鉄は肝臓や脾臓に運ばれて、フェリチンとして蓄えられる
鉄は反応性が高いので、二価鉄や三価鉄といった遊離イオンの状態では放置されていません。多くはトランスフェリンと結合
遊離鉄イオンそのものには毒性があるが、タンパク質と結合していれば毒性はない
鉄の過剰 遊離した鉄イオンの過剰とタンパク質と結合したフェリチンの異常高値にわけられる
フェジンの静注はタンパク質の結合していない遊離した鉄イオンをそのまま血中に投与
遊離鉄イオンが過剰になると、酸素と反応してフェントン反応を引き起こす ヒドロキシラジカル 猛毒
鉄剤の経口投与による遊離鉄イオンの過剰は理論的にはありえない。
欧米ではフェリチンが100以下が鉄不足の診断
三価鉄は二価鉄に比べて水への溶解度が格段に小さいため、沈殿する
電子の受け渡しサイクルは、無限に繰り返すことが可能 酸素を運んで二酸化炭素を回収するという呼吸に役立つ
鉄がユニークなのは、鉄の原子価が二価でも三価でも、化合物はほとんど同じ立体構造をとうことです。
女性の糖質制限がうまくいかないことが多い理由 鉄蛋白が足りない
食品に多く含まれる鉄には、肉や魚介などの動物蛋白に含まれるヘム鉄と、野菜や穀類に含まれる非ヘム鉄がある
ヘム鉄は、肉魚などの動物性食品に含まれ、なかでもレバー、牛肉、カツオやマグロといった赤身の魚などに多く含まれています
非ヘム鉄は、ほうれん草や小松菜などの野菜、穀類、プルーンなどの果物、ひじきなどに含まれている
植物性の非ヘム鉄の吸収率は1-5%、動物性のヘム鉄の吸収率は10-20%
現代の質的な栄養失調 糖質過多+タンパク不足+ミネラル不足+
エネルギー代謝
解糖系(嫌気性解糖) グルコース一分子からATP2個
好気性代謝 ミトコンドリアにおけるクエン酸回路+電子伝達系
解糖系によって得られたピルビン酸は、ミトコンドリアに入り、アセチルCoAという化合物となりクエン酸回路に入る
ピルビン酸がアセチルCoAに代わるときに必要な補酵素が ビタミンB1、B2,ナイアシン(B3)、パントテン酸(B5)
クエン酸回路が一回転でATP2つ
電子伝達系 酸素を使う好気性代謝 鉄が必要 クエン酸回路と電子伝達系でATPが36個
脂肪酸からアセチルCoAが作られ、ミトコンドリアのクエン酸回路に入る
炭素数が16のパルミチン酸の場合、クエン酸回路+電子伝達系でATP129個できる
グルコースが枯渇していると、肝臓では脂肪酸からできたアセチルCoAの一部はケトン体の合成にまわる
糖質過多の場合、ピルビン酸をアセチルCoAにする際に必要なビタミンB群が不足で変換できない ATPができない
糖質過剰になり、ビタミン類が不足すると、クエン酸回路以降が回らなくなるため、代謝が嫌気性解糖に傾き、加速度的にATP不足になる
ビタミン不足や鉄不足などがあってATP不足になると、効率は悪くても何とか解糖系(嫌気性解糖)のほうだけでも回そうとしますから、甘いものがやめられなくなります。
鉄はほぼすべての生物に必須な元素ですが、とくにミトコンドリアの働きを活性化するためには不可欠です
ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体 ピルビン酸をアセチルCoAにかえる3つの酵素の複合体 このかたちは」ひとにより異なる
確率的親和力 親和力の低い人にはビタミンB1
ビタミンB1 ビタミンB50コンプレックス、ベンフォチアミン続きを読む投稿日:2017.07.31
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この本は精神系の病気はだいたい鉄分不足っていう本なんだけど、治療で抗不安薬とかSSRIとか処方されがちだけど実はその処方は間違ってて、鉄剤処方で回復するらしい。
私も抗不安薬もらってた時あ…るけどあれも鉄剤でよかったと思う。
日本食は鉄分が不足しやすいらしくて、私は経血量が人より多いし、人よりかなり汗かきでスポーツもかなりする方だから今までの精神トラブル全部鉄分不足だと思う。
この本にも具体的な患者さんをたくさん例に出してだいたいが鉄剤処方で良くなってるらしい。
どうしてこういう潜在的な鉄分不足が多いかというと、血液検査で貧血の基準がヘモグロビン値しか無いらしくてでも実はフェリチン値っていうのは血液検査の項目にはほとんどの病院ではないらしい。(実際調べてもフェリチン値調べてくれるところ東京にも少なかった。)
で、ヘモグロビン値が異常なしでも実はフェリチン値が不足してることで潜在的鉄不足が多いらしい。有経の女性の8割は鉄分不足らしい。月経がなくなると、だんだんフェリチン値が回復してきて鬱傾向がなくなるらしい。元気なおばあちゃんが多いのはそういう理由もあるらしい。
どうしてこれをこの医師が気づいたかというと、医者って病気は勉強するけど健康とか栄養学を勉強しないかららしい。(実際医師免許の項目に栄養学が無い)この医師は栄養学を勉強してる人で、この現象を発見したらしい。
抗うつ薬とか抗不安薬を処方されがちだけど、鉄分とかフェリチン値(体内で鉄をためておく「貯蔵鉄」の役目をするタンパク質)不足のことが多いらしい。
産後鬱があるのは出産によって鉄不足になるかららしい。月経の出血量よりも多いだろうしそうだろうね。
フェリチンは、体内で鉄をためておく「貯蔵鉄」の役目をするタンパク質です。 血清フェリチンは、30-50(ng/ml)が必要で、およそ100-150(ng/ml)ですと安心です。
藤川徳美(ふじかわとくみ)
1960年、広島県生まれ。医学博士。1984年、広島大学医学部卒業。広島大学医学部附属病院精神神経科、県立広島病院精神神経科、国立病院機構賀茂精神医療センターなどに勤務。うつ病の薬理・画像研究や、MRIを用いた老年期うつ病研究を行い、老年発症のうつ病には微小脳梗塞が多いことを世界に先駆けて発見する。2008年に「ふじかわ心療内科クリニック」(広島県廿日市市)を開院。気分障害、不安障害、睡眠障害、ストレス性疾患、認知症に対して多面的な治療法を採用しながら治療にあたっている。
うつ・パニック障害の主な原因は「ストレス」であるとされていますが、実際のところ、心療内科や精神科を受診される女性患者の多くは、潜在的な鉄不足が原因で、うつ・パニック障害の症状が出ているケースが大半です。
月経が始まってから2~3年で鉄が枯渇 そもそも、人間は、生まれたときから鉄不足なのではありません。赤ちゃんは、たっぷりの鉄を持って生まれてきます。新生児のフェリチン値は 200 ~ 300 もあるのです。 その後、緩やかに減っていき、 12 歳まではフェリチン値は 100 ~ 300 で推移しますが、女子の場合には、中高生になると激減してしまいます。初潮を迎え、毎月の月経のたびに血液が体内から失われるからです。
また、第二次性徴によるホルモン合成が活発化してきますので、原料となるタンパク質、ミネラルが大量消費されることで、鉄の減少に拍車がかかります。月経が始まると、2、3年で、貯蔵された鉄が減少しはじめ、フェリチン値は 30 以下になり 枯渇 してしまうのです。 この年代に起こりがちな問題――不登校、すぐにキレる、自傷行為、過換気症候群なども、鉄の枯渇に由来していると私はみています。
本来なら、はつらつとした若さを発揮しているはずの若い女性が、頭痛やイライラ、月経前症候群、不定愁訴などに悩まされている一方で、 50 代以上の女性の元気な姿を見ることは多いと思いませんか。頼れる世話焼きおばさんの元気の源は、まぎれもなく鉄分。フェリチン値が 100 以上と満たされているからだと思います。
こうした中で、女性への注意として、一つお伝えしておきたいことがあります。それは、できれば 10 ~ 40 代までの女性は、献血はしない方がよいということです。 若い女性が1回献血をすると、その後、鉄剤を毎日服用したとしても、回復までに半年はかかるということを研究・主張されている方もいます(齋藤宏『鉄代謝異常の臨床』医薬ジャーナル社)。
さらに、現在の日本の食卓からは、鉄は急速に失われつつあります。 理由はいくつもありますが、素材から料理して食事を作ることが減り、加工食品に頼るようになったことが大きいのではないかと思います。 加工食品になると、素材の時点では含まれていたビタミンやミネラルがかなり削ぎ落とされた状態になってしまいます。肉は冷凍することでビタミンはどんどん減っていってしまいますし、穀物も、精製することで、マグネシウムや亜鉛、鉄も、はぎとられてしまいます。
日本の医学教育では、欧米から取り入れた考え方を基本としているため、(鉄不足に対する対策が行われていないのにもかかわらず)日本人女性の栄養状態が鉄不足であるという前提が共有されていません。 反対に、鉄の摂りすぎからくる鉄過剰症の懸念ばかりを教えられているので、「鉄=危険」という考え方を、みんなが刷り込まれてしまっているのです。
30 代前半の女性です。友人の結婚式でパニック発作を生じ、以後も発作や予期不安(また発作がくるかもしれないという不安)が続いていました。 バスやタクシー、飛行機の中や、狭い場所にいると、恐怖感に襲われてしまうため、乗り物に乗ることができないだけでなく、人ごみに出かけることすら避けるような生活を続けていました。当院にかかる前には、内科で抗不安薬を処方されていました。 当院での初診は、平成 21 年7月。このときはまだ、当院で鉄・タンパクによる治療は行っていない時期です。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に属する抗うつ薬ジェイゾロフトの服用を開始して改善し、予期不安も軽減しましたが、時々苦しくなるということで、ジェイゾロフトに加え、抗不安薬ソラナックスも頓用薬として使用していました。 平成 24 年4月に、当院がフェリチン値を測るようになり、測定してみたところ、フェリチン4未満という極度の鉄不足が判明。鉄剤のフェロミアの服用を開始しました。
30 代後半の女性です。初診は平成 25 年 12 月でした。突然息が苦しくなり、呼吸が止まるのではないかという恐怖感に襲われ、救急病院を受診されました。吐き気があるとのことで、そこでプリンペラン(制吐剤)の点滴を受けたのですが、点滴の途中で脚のムズムズが出現し、じっとしておられず、歩き回る状態になってしまいました。
サプリメントは高いと思っている方もいるかもしれませんが、フェロケルであれば、これだけ飲んでも、月千円未満と安価です。この方法で、あまりの鉄不足に対応できなかった患者さんも、救うことができるようになりました。
産後は、女性の生涯において最もうつ病になりやすい時期です。第1章でも述べましたが、1回の妊娠・出産で、フェリチン値 50 相当の鉄が母体から失われます。フェリチン値 30 以下の女性が出産すると、フェリチンはほぼゼロになってしまいます。
初診時よりさかのぼること5年前の、平成 21 年に、すでに第1子を出産していましたが、産後、イライラして、自傷行為や器物破損行為を繰り返していたといいます。当時は他県にお住まいで、近くの精神科クリニックに通院され、かなり高用量の抗精神病薬と気分安定薬の投与を受けていました。
先ほども書きましたが、子どもの正常フェリチン値は、 100 ~ 300 です。女子のフェリチン値 30 以下は、重篤な鉄不足であるといえます。男子は鉄不足に耐性がないので、フェリチン値 50 以下でも重篤な鉄不足で、発達障害などの臨床症状と関係している可能性が高いと思います。
女子中高生の不登校のかなりの場合に、鉄・タンパク不足が隠れていると思っています。
この例もそうですが、多くの 10 代、 20 代女性では、偏食がないと自分(や家族)では思っているのに、鉄不足が起きています。つまり、現代の食生活では、よほど意識して「高タンパク・低糖質食」を続けないことには、炭水化物ばかりが過剰になり、鉄・タンパク不足に陥ってしまうのです。鉄・タンパク不足では、セロトニン、ドーパミン不足となりますから、精神症状を生じたり、ストレスに対する脆弱性が出てきます。
とくに、鉄・タンパク需要が増大する第二次性徴期には、鉄・タンパク不足となりやすく、不登校、ひきこもり、家庭内暴力、器物破損行為などの原因となります。 しかし、児童思春期を専門とする精神科医は、このことに気付いていませんから、薬物療法、カウンセリング、生活指導のみを行っています。今では私は「これでは治療になっていない」と言わざるを得なくなりました。
51 歳以降発症の女性のうつ病でも、約 20% に鉄不足の所見があると考えています。この症例では、約4カ月間の鉄剤投与で、フェリチンが 93 まで増加しています。しっかりタンパク質も摂取できており、BUNも増加しています。 この世代の女性は、消耗性疾患(胃潰瘍やがんによる出血など)の合併などがない限り、当院での治療によりフェリチンは順調に増加します。
一方、若い世代の女性では、月経で鉄が失われるので、なかなかフェリチンが上昇しません。いずれの年代においても、鉄不足がある患者さんでは、鉄剤による治療を行わないと、抗うつ薬がいつまでも終了できないことになります。
心因性が疑われる 30 代の看護師のうつ病も、鉄不足が原因だった
夫との折り合いが悪く、入院治療を要するほどの重度のうつ病を発症した症例です。発症時、4人目の子どもを出産して、明らかに鉄不足の状態でした。鉄剤のおかげで、フェリチンは半年で7から 77 まで上昇しています。 この症例のうつ病の原因として、確かに夫との不仲という心因は大きいのですが、鉄不足も大きく関与しているものと思われます。
月経のある女性の大多数が、鉄不足に陥っており、とくに出産後に悪化する傾向があります。これは前にも書きましたが、妊娠中を通じて子どもに鉄が移行するためです。
菜食主義者、炭水化物依存症の場合、とくに鉄不足が顕著であり、多くの症例ではタンパク質不足も併せ持っています。タンパク質不足は、BUN(尿素窒素)が 10 以下の場合です。
大多数の医師はそんなことは思っていませんから、論文は読んでも、本は読みません。栄養療法、糖質制限、湿潤治療などの新しいパラダイムの治療をまったくご存じないですし、知ろうともしない医師が多いと思います。 反対に、医師ではなく、意識の高い一般の方は、医学論文は読みませんが、本はたくさん読んでいます。医療や健康に関心がある方、ご自分や家族が病気で苦しんでいる方はなおのこと、他のジャンルの読書は少なかったとしても、健康や医療に関する一般書は熱心に読まれます。すると、一般人の方が医師よりも、最新の科学的事実に詳しくなります。
もちろん、一般書にはいろいろな本があり、内容もレベルも玉石混淆 ですので、その中のどれが正しくてどれが誤っているか、各自が自分の頭で判断する必要があります。 ところが、じつはこうした「判断すること」が苦手な医師は少なくありません。自分の頭で判断するということを回避していますので、一般人に負けてしまいます。
先にも書きましたが、この女性はふくよかで、とても栄養不足には見えませんでしたが、むしろ、太っている人ほど栄養失調となりやすいのです。なぜなら、過剰な炭水化物摂取が高インスリン血症を引き起こし、過剰なグルコースが脂肪に変換され、肥満を生じさせるからです。 現代は、痩せているから栄養失調なのではなく、太っているからこそ栄養失調なのです。
医学教育で「分子栄養学」を教えないのが諸悪の根源 私は医学部で、本当に栄養学をほとんど習いませんでした。医師は栄養学を知らないのに、高血圧患者に減塩指導をしています。糖尿病患者にカロリー制限を指導しています。その指導を、患者さんはまじめに聞いて、辛くても頑張って実行しようとしています。
これから先の新しい医療、真に患者のためを考えた医療に必要なのは、理論に基づいた「分子栄養学」であると私は考えます。分子栄養学とは、身体と栄養素との関係を、生化学的、分子生物学的に研究するもので、栄養素の不足が身体の不調を引き起こすと考えます。多くの医師は分子栄養学を知りませんから、現在の飽食日本において、栄養障害がある、ということには考えがいたりません。あるのは栄養過多だけだというのが多くの見解です。しかし、実態は栄養失調、質的な栄養失調に陥っている人が大勢いるのです。
分子栄養学は決して難しいものではありません。むしろ、これまで習ってきた医学よりずっとシンプルで簡潔な内容です。こうした「分子栄養学」の基本的な情報は、書籍やインターネット上にもありますが、ほとんどの医師は論文しか読まないので、いつまでたってもそういう知識が得られないということになります。 これは不勉強な医師に問題があるのは確かではありますが、医学教育で「分子栄養学」を教えないことが諸悪の根源だと思います。患者さんを治癒に導く、意味のある授業なら、これからでも学んで損はないと思いますし、素晴らしい講師がいれば私も受けたいと思います。
でも自分が発見した科学的真実はどうにか世に出したいとは考えています。であるなら、頭の固い専門医相手ではなく、柔軟な思考を持つ、勉強熱心な一般人向けや、そうした情報に敏感な一部の医師向けに本を書こうと思うのは自然な流れだと思います。つまり、最新の科学的真実は論文にはならず、書籍として出版されるのです。論文ばかり読んで、本を読まない専門医は、どんどん遅れていくのではないかと感じています。
私は論文を書くのをやめただけでなく、5年前からは論文を読むことをやめました。 30 年以上、精神科医として精神医学界を見てきましたが、本気で治す研究をほとんど見たことがありません。毎年毎年山のような数の論文が書かれているのに、治せない論文、治さない論文ばかり。学会でも、治せない発表ばかりです。 その代わりに、翻訳されていない本も含めて、週に2~3冊のペースで本を読んでいます。論文を読まなくても、患者さんを治す上で何の不都合もなく、一般書のおかげで視野が広がり、新しい治療のヒントを得ることができています。とくに、分野横断の視点で、医師ではない科学者からの医学への提言、精神科医でない医師からの精神科への提言を読むことは、とても勉強になります。
なぜかといえば、医師は「病気」を勉強しているのであって、「健康」について勉強しているのではないからです。つまり医師は、患者さんに対して「どうすれば健康でいられるか」ということを指導するための教育は受けていない、ということです。 医師を信頼している患者さんは、医師の指示がなければ、生活習慣を変える気を起こさないことが多いでしょう。患者さんは、「もしビタミンがそんなに重要で、自分に足りていないなら、医師からビタミン剤を飲むよう指示が出るはずだ」と思うからです。 ところが、栄養学は医学的学問分野ですらありません。私が医大に通っていた1970年代もそうでしたし、現在でもそうです。栄養学は医師の専門外なのです。
20 代の女性は、月経で鉄分を失うので、フェリチンはこのペースでしか増えない人が多いものです。高タンパク食を指示しても、女性の場合には太ることを気にして(低糖質・高タンパクの食事は実際には太らないのですが)、野菜に偏った食事内容になってしまうことがしばしばで、タンパク不足がなかなか改善しないのが残念です。この方の場合も、タンパクの摂取不足がフェリチン上昇の鈍さにも関係しています。その後もBUN 10、フェリチン 50 を目標に、食事指導を進めていきました。
アルコールを飲むなら糖質はやめて、ビタミンB1やナイアシンの多い食材を食べればよいのです。具体的には、アルコールが代謝される8時間後までは、糖質を摂ってはいけません。飲んだ後にシメのラーメンを食べるのはご法度です。 糖質の多いビール、日本酒などの醸造酒は避け、飲むなら糖質のない焼酎やウイスキーなどの蒸留酒、糖質オフビールなどにします。水割りの水や氷はコントレックス(カリウムやマグネシウムが多く含まれています)、クエン酸割り(梅、レモンでOK)がお勧めです。続きを読む投稿日:2024.03.07
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