「おじぎ」の日本文化
神崎宣武(著者)
/角川ソフィア文庫
作品情報
何気ない身振りやしぐさにも、文化に根差した意味があるはず。外国人にとってはいまだにやはり奇妙な動作にみえるという「おじぎ」。この「おじぎ」はどんな文化の脈絡ではじまり、いつどんな変容をとげてきたのか。「三三九度」をはじめ、日本人のしぐさに根付いている習俗儀礼や日本文化について、民俗学的な解明を行ってきた著者による、目からウロコの「おじぎ」文化発見。たとえば、時代劇の大名行列では「下に、下に」の掛け声とともに庶民は道端に額をつけて土下座して控えるシーンがみられるが、このような伏す姿は実際にはありえず、片膝をつき頭を下げる片膝礼であった。こんな誤解はいったいどこから来たのか。「型の日本文化」の代表例である、歌舞伎・相撲・柔道・茶道などで伝承される「おじぎ」の典型は座礼。この座礼の大元は真言密教の三礼(平伏・揖・釈)からきているとされ、神道儀礼の三礼(神前礼)も密教から派生したといわれ、のちの武家の礼法につながるが、では、いつ、どんな経緯でこのような礼法になったのか。そのことを、古くは絵巻物や絵解きの絵画史料、近世では幕府の公的な礼法の記録、近代ではモース、シーボルトの記録や修身・しつけなどの学校教育、軍隊の礼法などから解明。そのなかから、「おじぎ」は人間関係という制度系だけではなく、じつは着物や建物などの装置系、とりわけ畳の普及とのかかわりがターニングポイントであったと解く。たんなる挨拶や会釈ばかりではなく、「おじぎ」に込められた、日本文化との深い関係を鮮やかに読み解く。●本書は今は亡き司馬遼太郎が、著者に執筆のテーマとして「おじぎ」を書くことを強くすすめたことが端緒になっている。
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商品情報
- シリーズ
- 「おじぎ」の日本文化
- 著者
- 神崎宣武
- 出版社
- KADOKAWA
- 掲載誌・レーベル
- 角川ソフィア文庫
- 書籍発売日
- 2016.03.25
- Reader Store発売日
- 2016.03.25
- ファイルサイズ
- 9.4MB
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この作品のレビュー
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おじぎ。辞儀の丁寧語。辞儀とは辞を述べる儀。つまるところ挨拶である。
けれどみな、お辞儀を単なる挨拶としては認識していない。お辞儀は礼であり、頭を下げるのがきまりだ。
そのおじぎのルーツを探ってみ…る。
古事記にはおじぎに相当する言葉が出てこない。日本書紀もしかり。万葉集には少しそれっぽいものが出てくる。源氏物語には、拝むという行為は出てくるものの、おじぎらしいおじぎはない。というわけで、このころのおじぎの実態は不明である。以降、だんだん文献におじぎが登場してくる。礼法としていろんなことが記されていくが、おじぎというのはそういう中にもちゃんと書いてなかったりするらしい。
まあ、近年のおじぎは、スポーツのときの形式化したおじぎか、不祥事の記者会見での、背中が丸まっていたり両手が揃っていなかったりするおじぎぐらいしか目にしない。きちんとした礼のおじぎも、世の中には残っているのだろうけれど、僕のような庶民生活からは正当なおじぎは駆逐されているようでもある。少なくとも鎌倉時代から続くおじぎよ、お前も滅んでしまうのか。
なんていう妄想も楽しいが、本書は普通におじぎについて結構掘り下げているので、いと楽しからずや。
続きを読む投稿日:2016.11.12
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