図書館のお夜食
原田ひ香(著)
,花松あゆみ(イラスト)
/ポプラ社
作品情報
東北の書店に勤めるもののうまく行かず、書店の仕事を辞めようかと思っていた樋口乙葉は、SNSで知った、東京の郊外にある「夜の図書館」で働くことになる。そこは普通の図書館と異なり、開館時間が夕方7時~12時までで、亡くなった作家の蔵書が集められた、いわば本の博物館のような図書館だった――。 「三千円の使いかた」「ランチ酒」の原田ひ香が描く、本×ご飯×仕事を味わう、心に染みる長編小説。
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この作品のレビュー
平均 3.3 (204件のレビュー)
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私立で午後7時から12時まで開いている夜の図書館。
その図書館で起こった話。
そこの図書館に新入社員としてオーナーの面接をスカイプで受けた樋口乙葉。
図書館には寮があり、乙葉は東北の書店を退職して入…社して寮に入ります。
図書館には食堂があり、本にちなんだ賄いが出されます。
第一話 しろばんばのカレーでは、おぬいばあさんのライスカレー。
第二話 「ままや」の人参ご飯
「ままや」とは向田邦子が妹にやらせたお料理屋。
ままやのコンセプトは女が一人でおかずで一杯飲んで仕上げに一口ライスカレーが食べられる。
第三話 赤毛のあんのパンとバタときゅうりではサンドイッチ。
第四話 田辺聖子の鰯のたいたんとおからのたいたん。
最終話 森瑤子の缶詰料理ではオイルサーディン丼。
職員の篠井弓弦の伯母の話は嘘みたいな信じられない話でした。
出てくる料理は確かに美味しそうでしたが、ストーリーには惹かれませんでした。
乙葉が抱いた最大のこの本の謎の答えは面白かったです。
でも、一体何の物語だったのかよくわかりませんでした。続きを読む投稿日:2023.07.27
夜にだけ開く、故人となった作家の蔵書だけを置く図書館。
「図書館のお夜食」とは、図書館で働く人のための、まかないのことだ。
本に出て来るメニューが再現されている。
井上靖「しろばんば」のカレー、向田邦…子が妹にやらせていた料理屋「ままや」のにんじんご飯、「赤毛のアン」のパンとバタときゅうり、田辺聖子の鰯のたいたんとおからのたいたん、森瑤子の缶詰料理。
こんな図書館があったら出かけてみたいし、働いてみたい。こんなコンセプトのカフェがあったら絶対行く。
夜の図書館で働いている人たちはそれぞれ何か事情を抱えていて、そもそも夜の図書館自体が謎に満ちている。
茨城県から東京郊外の田舎にあるこの図書館に就職した元書店員の乙葉の語り中心に、本を巡るささやかな事件が起きたりして物語は展開していくが、終盤になると登場人物それぞれの語りも出て来る。
中でも一番のお気に入りは、図書館オーナーの物語だ。
覆面作家の高城瑞樹の件も興味深い。
謎が全て解明されてないままなのも良い。
驚きだったのは、戦前は、本の万引きは花泥棒と一緒で罪にならない、と一部の人の間で通っていたこと。昔の小説にも堂々とエリート学生たちが万引きする様子が書かれていたそうだ。
時代とともに価値観が変わるのは当然だが、本の万引きは昔もダメだろう。。と呆れてしまった。その部分だけ繰り返し読んだほどだ。
登場人物たちのその後、図書館のその後が気になる。
続編、望む。続きを読む投稿日:2024.04.13
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