地政学だけではわからない シン・国際関係論
天野修司(著)
/イースト・プレス
作品情報
地政学は、日本以外ではオワコン? 今日からあなたが「グローバル・スタンダード」だ!
国際社会での緊張が急速に高まっており、近い将来、「日本も戦争に巻き込まれてしまうのではないか……?」と不安に思っている方もいるでしょう。世界は、これから、どうなっていくのか。そのような疑問に答えを出すことができるのが、「国際関係論」なのです。本書を読み終わる頃には、読者のみなさんが自分たち自身で国際情勢を分析できるようになっています。
●国際関係論は、日本では、あまり知られていません。あるいは、誤った形で教えられていることが多いです。本書は、グローバル・スタンダードな国際関係論を、誰もが分かりやすく学ぶための入門書です。
●みなさんのなかには、「地政学」という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。地政学は、国家の行動や他国との関係性を、地理的な条件のみで理解しようとする考え方です。誤解を恐れずに申しますと、はっきり言って、地政学は日本以外の国では完全にオワコン(終わったコンテンツ)になっています。現在、グローバル・スタンダードな学問としての地位を確立しているのは、間違いなく国際関係論です。
●国家という存在は、軍事力や経済力を増大したり、他の国家と仲良くしたり、あるいは対立したりと、さまざまな動きをします。予想するなんて不可能だと思う方が、ほとんどでしょう。しかし、何百年、あるいは何千年にもおよぶ、人類の歴史を調べてみると、国家の動きには、ある一定のパターンが、あることが分かります。
●本書は、まず、古代ギリシア時代から現代に至るまで、国家が、同じようなパターンで動いているというのを確認するところからはじまります。そのような歴史の見方を示している書物は、日本では、他に存在しません。読者にとっては、まったく新しい考え方だといます。
本書を通じて、多くの方が、グローバル・スタンダードな国際関係論の知識を身につけてくださることを心より願っています。
【目次】
第1章 国際社会のなかで、くり返し起きる現象とは何か?
第1節 紀元前5世紀のギリシア世界
第2節 国際戦争のはじまりとバランス・オブ・パワー
第3節 フランス革命とナポレオン戦争
第4節 ドイツ帝国の樹立と第一次世界大戦の勃発
第5節 危機の20年と現在の世界
第2章 世界の動きが手に取るように分かる! 5つの理論
第1節 バランス・オブ・パワー理論
第2節 核抑止の理論
第3節 デモクラティック・ピース論
第4節 相互依存論
第5節 国際レジーム論
第3章 5つの理論を使って、世界の「今」と「未来」を分析する
第1節 中国のパワー増大 日本、台湾はどうなる?
第2節 北朝鮮が核実験やミサイル実験をくり返す理由
第3節 日韓関係悪化の原因を解明する
第4節 アフガニスタンで、何が起こったのか
第5節 ロシアによるウクライナ侵攻は予測できた
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この作品のレビュー
平均 4.0 (1件のレビュー)
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国際関係論の解説書である。日本では地政学が話題であるが、世界的には地政学はオワコンである。地政学は地理的な条件から国家の関係性を説明する考え方であるが、「地理的な条件だけで国家の行動を理解しようとする…考え方は応用性に乏しく、また、その内容も偏見に満ちたものだった」(5頁)。
地政学がオワコンとの主張に共感できるが、逆に地政学の駄目なところが日本で地政学がもてはやされる要因になる。地政学的な説明では「日本が大陸に進出するためには朝鮮半島を押さえる必要がある」「朝鮮半島を抑えれば日本を侵略できるために日本が侵略されないために先に朝鮮半島を押さえなければならない」となる。これは日本の植民地支配や侵略の責任を誤魔化し、軽くする方向に働いてしまう。
このような議論は韓国にいる人々にとってはとんでもない話である。朝鮮半島という地理的条件にあるから周辺の大国から侵略されることはやむを得ないことを認めろという話になってしまう。焼け野原から経済大国にするような悲惨な条件の下でも頑張ることを美徳とする前に進むだけの国民性でもなければ受け入れられないだろう。
逆に国際関係論では朝鮮半島の国々は主体的なアクターとして活躍する。北朝鮮が核兵器開発に邁進することは自国の独立を維持するために合理性があると説明できる。北朝鮮は軍事国家に見えるが、その国防予算は韓国よりも少ない(136頁以下)。
また、日本では韓国の「反日」傾向が批判されるが、これも韓国が中国への貿易依存を高める中での経済合理性のある行動になる(144頁以下)。韓国の「反日」を批判する日本の嫌韓派はイデオロギー的偏向と考えがちであるが、それは自分達がイデオロギー的に偏向しているから相手も同じという愚になる。
地政学の害悪は2022年のロシア連邦によるウクライナ侵攻にもある。地政学中心の発想ではロシア連邦が黒海に出るためにウクライナを影響下に置こうとすることは必然と考えてしまい、ロシアの侵略に対して思考停止になってしまう。しかし、ウクライナ侵攻は反帝国主義という国際規範に真っ向から逆らうものであり、それ故に国際社会が強烈に非難した(115頁)。やはり地政学は古臭い発想になる。
この結果、ロシア連邦はグローバル経済から締め出されることになった。「今後、ロシアの経済力は急速に低下するでしょう。その姿を見て、今後、力による現状変更を行おうとする国が減っていく可能性があります」。このように述べた上で、それは「これからの世界がより良くなっていくことを示す数少ないエビデンス」であると本書は締める(178頁)。ウクライナ侵略に対して消費者レベルでもBoycott Russiaの声が出た。それは正しいアプローチになる。続きを読む投稿日:2022.08.30
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