ブレイクアウト・ネーションズ 大停滞を打ち破る新興諸国
ルチル・シャルマ(著)
,鈴木立哉(訳)
/単行本
作品情報
新興国の急成長の時代が終わり、各国の成長スピードは次第に鈍化している。では、そうした状況において、競合国の中で突出した成長を成し遂げられる国々=「ブレイクアウト・ネーションズ」はどこなのか? モルガン・スタンレーで250億ドルを運用する投資のプロが、20カ国を超える新興諸国をつぶさに歩き、次に急伸する国々を徹底予想。今後ますます繁栄する国、あるいは没落する国はどこか? そして、日本をはじめとする先進国が、これらの国から学ぶべきこととは? 話題のベストセラー、待望の電子書籍版!
もっとみる
商品情報
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.1 (17件のレビュー)
-
次の10年でブレイクする国家を、候補国ごとに概説・分析
結論としては、チェコ、韓国、トルコ、ポーランド、タイ、インドネシア、フィリピン、スリランカ、ナイジェリアなどが、必要な成長率をクリアできそうな国として挙げられる。
著者が投資会社の責任者であるためか、…まるで投資セミナーに参加しているようで、脇道なしで次の有望な投資先はどこかと真剣に探る。
評価は、日本だけでなく、出身国のインドに対しても厳しく容赦なしだ。
閉鎖的で硬直的と思われがちな計画経済や同族企業経営があながち負の面ばかりではないとの指摘も面白かったし、輸出が堅調なアジアの新興国家が必ずしも順調に国民所得が伸びてくれないのは輸出依存度が高すぎるためで、日本のようにバランスの取れた発展が必要という指摘は意外だった。
自民党政権下の農村への手厚いばら撒きも有効だったということか。
アジアの金融危機で徹底的に経済が破綻してその後急成長を遂げた国と、バブル崩壊でエベレストから転落したにもかかわらず骨折もせず痛みも感じようとしなかった日本とを対比させて、ハードランディングの重要性を説く。
中国の成長率の鈍化とアメリカの低金利政策の見直しによって打撃を受けるのは、ブラジルやロシア、中東などの資源輸出国で、生き残るのは逆にコモディティ輸入国となる。
どこかの市場が暴落したり、成長が止まったからといってそれですべてが失われるわけではなく、新たな成長や市場というように質的に変化するだけという指摘も心に残った。続きを読む投稿日:2013.12.11
-
風がなければ自ら漕ぎ出せ
モルガン・スタンレーで250億ドルを運用するルチル・シャルマが世界経済の脈を測りたい時にチェックするのは、ロンドンでも、フランクフルトでも、東京でもない。ソウルだ。過去50年の平均経済成長率が5%を上…回ったのは韓国と台湾のみで世界の経済レースにおける金メダリストだ。韓国の一人当たりGDPは28千ドルを超え、アベノミクスで円安になった日本の33千ドル(2011年比で3割ダウン)に並びかけようとしている。金融危機の後創造的破壊から生まれ変わった韓国をシャルマはブレイクアウト・ネーション(現状を突破できる国)の筆頭候補に挙げている。一方で日本に対する評価は厳しく、ブレイクアウトを忘れた方がいい国だ。
中国に対する幻想
賃金が上がり組み立て産業としての国際競争力を無くしつつある中国だが内需の拡大で質的転換を図り経済成長を続けるというのが中国政府の方針だ。しかし、この30年間中国の消費支出は年平均9%近いペースで伸びてきた。高度成長期の日本より1ポイント高く絶好調時の台湾に匹敵する。GDPに占める消費の割合は40%とまだ低めだが、それは単に投資の伸びが大きすぎるだけだ。中国の成長が減速しても製造セクターは他国にシェアが奪われるだけで世界経済が地殻変動を起こすことはない。
インドの魔術
インドの富裕層の純資産の対GDP比率は17%、ロシアの29%ほでではないが中国の4%を大きく超える。縁故主義がはびこりビジネスにおける決定的な要因が政府との正しいコネの有無になっている。しかもチャーチルがかつて言ったようにインドは国というより地域と捉える方が実態に近い。インド合衆国では州ごとの地方政府の影響が強いのだ。またインドでは州ごとに売れ筋が違う。どうやらインドと言うマーケットはないらしい。人口ボーナスを享受するためには農村から都市への人口の移動と農業から工業への転換がつきものだが政府の福祉政策のために村から離れたがらない。それでも出発点の低いインドはこれからも発展する。
ブラジルはあまりにもインフラ投資がなくGDPの僅か2%。需要はあるのにインフラが整備されていないために供給が追いつかずインフレに苦しむことになる。天然資源のコモディティー頼りの経済では投機的な資金が流れ込み、投資に回らない。フォーシーズンズの宿泊費を比べるとモスクワが924ドル、サンパウロが720ドルイスタンブールが659ドルと続く。同じく資源国のジャカルタは230ドルで、KLは160ドルだ。ロシアとともにコモディティー価格が下がり始めこれからは苦難が待っている。
ブレイクアウト・ネーションの候補は韓国を始めとしヨーロッパのスイートスポットであるポーランドとチェコ、イスラム教とうまく折り合ったトルコ、コモディティーから得られた金をしっかり国内投資にまわしたインドネシアなどだが忘れてはいけないのが製造業に回帰しつつあるアメリカだ。
ルチル・シャルマは机上の投資家ではなく、毎月1週間を新興国で暮らし、現場の話を聞いている。過去10年は多くの国が追い風に乗って反映してきた。しかしこれからは違う。「風がなければ、自ら漕ぎ出せ」投資家のルチルからすればそれを実践してきた韓国の評価が高く、できるだけ現状を守ろうとしてきた日本の評価は低い。続きを読む投稿日:2015.05.10
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です
続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能です