【感想】ゲームの王国 上

小川哲 / ハヤカワ文庫JA
(61件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
22
24
9
0
0
  • あまりに悲惨で

    全人口に占める虐殺された人の比率が史上最悪といわれる、あまりに悲惨なカンボジア.ポルポト時代を舞台とした作品である。少しはSFっぽい設定もあるようだが、主体は身近な住人同士による相互監視 親子兄弟同士の密告 秘密警察 強制収容所 そして虐殺である。同じ様な例が、ナチス時代のドイツ スターリン時代のソ連にもあったようだが、カンボジアのほうが時代が近いためによりいっそう悲惨さが実感される。読み進めるのが辛いほどである。続きを読む

    投稿日:2023.01.24

ブクログレビュー

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  • しゅうへい

    しゅうへい

    全編にわたって著者の初期衝動が爆ぜまくっていて、一気に読みました。

    昔、仕事でポルポトやクメールルージュのことをかなり調べました。

    資料的な理解が進めば進むほど、理解の本質からは遠のく違和感がずっとあった。こういう時代だったとは頭でわかる。けれど、人々の息遣いや、緊張感や、死は、どうしても質量を伴って身体に落ちてこなかった。

    あのとき、この本が世の中にあったら良かった。

    いつだって、胸を刺すのは誰かの人生の物語。

    多くの生きる喜び、死への痛みに刺され続けた上巻でした。

    下巻も楽しみです。
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    投稿日:2024.05.08

  • オガ

    オガ

    2024年25冊目
    山本周五郎賞を受賞された本作の上巻。それぞれのキャラを覚えるのに苦戦したが、共産主義の世界を理解するのに非常に良い一冊。まだ話の途中なので、トータルの評価は下巻で。

    投稿日:2024.05.04

  • urayu

    urayu

    カンボジアで起きた、社会主義による革命の群像劇。タイトルにある通り、まるでゲームのように各人の物語が結びついていく。そして命が奪われていく。
    上巻は壮大な序章という感じ。最重要人物と思われるムイタックの目的が、初めて上巻の最後で示された。下巻での活躍に期待している。

    随所に登場する特殊能力にはじめは戸惑ったが、上巻を読み終える頃には世界観を支えるスパイスとして受け入れられた。時代小説と思って読み始めたのに徐々にその様態が変わっていったのは、面白い体験だった。
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    投稿日:2024.05.01

  • tomk59

    tomk59

    舞台は1956年〜1978年のカンボジア。ポル・ポト率いるクメール・ルージュの誕生から支配までを背景に、一市民や秘密警察官、クメール・ルージュ幹部など視点を変えながら、その時代を描く。

    クメール・ルージュのことは概要しか知らなかったものの、著者がまるでこの土地、この時代を生き自身の目で見たのではないかと思うほど情景が精緻に描かれており、殺戮や拷問などのおぞましいシーンがありつつも(とはいえそれほど長くもない)、引き込まれるように読んだ。

    中には、輪ゴムで未来を予知する村人や、泥を操れる村人など特殊能力を持った人物も出てくるが、さほど物語に重大な影響を及ぼすのでもなく、個人的には余計に感じてしまった。本の紹介にSFとはあるものの、SFと呼べそうな要素は上巻を読んだ限りではこれくらいで、歴史小説という方が近い。

    一方で、下巻は少し開いて見た限りではだいぶ雰囲気が変わりそうな感じもする。引き続き期待。
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    投稿日:2024.04.19

  • キムチ27

    キムチ27

    山本周五郎賞というか手の香りをよく理解していないから、この作品が合致していることを極めるために取り組んだ。
    しかもSFは好みじゃないというハンデもおまけで。

    ポルポトは世界有数のジェノサイドの現場・・キリングフィールドを観た記憶が長い時間を経ても離れない悍ましい出来事。

    SF作品とうたっているものの、情感を終えた時点ではその匂いは薄く、むしろ、子供を取り巻く世界の惨さと聡明な子供らが浮上する絵図がゲーム感覚のように映るイメージ。ムイタックは水浴び、プックは泥、クワンは輪ゴム、綱引きで運命が切り開けていったマットレスという大人も登場し、どんどん世界観を掴めなくなっていく。
    その合間で虫けらのようにあっという間に殺されて行く人間の存在。
    時代は1956~1978  世界的に再貧困の層に属するといわれてきたカンボジアが宗主国 フランスから独立し 独裁君主シアヌーク~アメリべったりの腐敗政権ロンノル~そして中国から教示を受けたポルポトへ猫の目の様にトップが変貌していった時間。

    クメール・ルージュ・・時間的に世界が共産主義哲学、思想に染まって行ったエリアが増えた時間である。
    名を隠し、愛称ポルポトで終始し、最後までなぞと言われた彼・・作品ではサロト・サルで登場。
    思想 哲学 倫理 ヒューマニズム 正義 腐敗 …通常頭にあるそれらの語彙が本来の意を持っているか否かすら揺れ動く場面が連続し、結局 下巻への展開に繋ぐ。
    ただ、リアとムイタックは目指す方向は同じながら相克の関係に流れていきそうな感じ。
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    投稿日:2024.03.30

  • やさしい犬

    やさしい犬

    カンボジア独裁政権下を知略・運・不思議な才能等持てる力を駆使して生きた人々の物語。前編。

    平和な日本にいる身にはファンタジーに感じられるほど個人の権利、生命が脅かされる様子が淡々と描かれている。さっきまで笑ったり将来を憂いていた人物がほんとうにあっけなく死ぬ。たった一手間違えたがために局面が悪くなって死ぬ。真実のデスゲーム。続きを読む

    投稿日:2024.03.09

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