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恩田陸 / 幻冬舎文庫 (672件のレビュー)
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総合評価:
thutomu
1
直木賞と本屋大賞W受賞も納得の面白さ
結構なボリュームの作品で、しかもコンクール本番の描写が多いのに、全く飽きさせることなく、夢中にさせてしまうのは、さすが直木賞&本屋大賞W受賞作。 キャラの設定も見事だし、脇役も個性があるし、クラシッ…クはほとんど分からないのに、ちゃんと音楽が聞こえてくる。 映画になるみたいだけど、実際に音を出さなきゃいけないのは難しいんじゃないのかなぁ。続きを読む
投稿日:2019.08.27
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ずっと読んでいたい
電子書籍ですが物語の構造上、どの辺りまで読み進めているのかは良く分かります。終わりに近付くにつれ、終わって欲しくない、ずっと読み続けていたい。そういう思いが強まっていった稀有な作品。
投稿日:2021.01.15
くっちゃね村のねむり姫
自然は心の中に、音楽は自然の中に
確かこれは、シンセサイザー奏者の喜多郎の言葉だったと思います。 この小説の中にも、こんな記述がありました。「元々音楽はそこらじゅうにあって、それを聞き取って譜面にする。音楽家は、預言者である。」… 話の展開は、コンペティションに臨む様々な人の想いを描いた群像劇ですが、おそらくこれが、この物語の根底に流れる物なのでしょう。 話が話だけに、クラシックの楽曲は勿論、フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン等それ以外も数多く出てきます。私はとくにクラシックファンというわけではありませんが、それでもLPだけみれば、最も多いジャンルがクラシックです。しかし、全く知らない楽曲も数多くありました。この本はガイドブックとしても使えるかもしれませんね。 とは言え、やはり気になるのは「春と修羅」でしょう。どんな楽曲なのでしょうか。この曲の途中にアドリブ部分を設けたという設定がいいですよね。 音楽家の感性というものは、我々凡人とは全く異なります。以前テレビで辻井伸行氏の即興演奏を聞いたことがあります。勿論、彼の既成楽曲の演奏も言うまでもありませんが、彼の弾く自然の描写、小川のせせらぎ、鳥のさえずりを表現した音楽には驚愕いたしました。演奏よりも創作に力を入れた方が良いのではと思ったほどです。彼のような音楽家達が奏でる即興部分の演奏は、いったいどのようなものなのでしょうか。その一方で、それを余すことなく描写する恩田陸の力量たるやスゴイと思わざるを得ません。 巻末の解説で編集者の方が寄稿しておらせますが、綿密な取材と絞り出すような努力によって書かれた小説とのこと。そうなんでしょうね。 とくに楽器演奏をしたことのある人ならば、いやスポーツ等でも同じかもしれませんが、この小説で書かれているとおり、一生懸命練習していると、今まで全く弾けなかったフレーズがある日突然、スムーズに出来るようになったりするものです。また、オレって天才かも?なんて思ったり、ぜ~んぜんダメだ!と落ち込んだりするのも、小説に書かれているとおりです。 登場人物達はいずれも個性的な面々で、若者の熱情あふれる群像劇ですが、そこに家庭を持つコンテスタントを一人入れるという設定もいいですよね。物語に厚みが出ていました。彼が予選で落ちてしまって、ちょっと寂しいなと思っていたら、最後に嬉しい出来事がありましたね。ホント良かったと思います。 この物語は、音楽に魅せられた人々を描きつつ、作者のあふれ出る音楽に対する愛情が沢山詰まった傑作だと思います。 で、これが映画になり、もうすぐ公開とのこと。映像化は不可能だと言われていたのも、読み終えた今では、まったくその通りだと思います。どんな作品になっているか今から楽しみであります。続きを読む
投稿日:2019.09.09
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ぼん
クラシック音楽については全く知識がなくても、登場人物の魅力や、情景的な演奏描写に惹き込まれてさくさく読むことできました。 音楽を題材にしたエンタメ作品というと、のだめなど漫画のイメージを持っていました…が、小説はいくらでも想像できるという点で、相性がいいんだなと思いました。 あと、小説の利点だな思ったのは、映像化されたものを見てしまうと、その演奏に描写されてるほど感動できてない自分みたいな、自分の音楽的な感受性の限界にぶち当たることが多いので、それがないのがいいです。音楽のことホントは何もわからないけど、音楽を楽しんだ気分にさせてもらえました。続きを読む
投稿日:2024.05.20
まーみん
下巻に入ってから細かい描写が多くなり、読み進めるスピードが落ちてしまったけど、後半に向けてワクワクした気持ちで読むのが止まらなくなり、一気に読み進めている自分がいました。 いろんな人が今一度自分を振り…返り前を向こうと思える作品で、読み終わった時に心が開放されたような気分でした。続きを読む
投稿日:2024.05.19
すなっちBOOK
このレビューはネタバレを含みます
長編作だからか。ちょっと読み怠みがあったか。 心理的な描写に追いつけない部分はあったけど、それでも上巻に続いてドラマ感はたっぷり。 最終の順位・奏者評価の描写はなくて、それでも納得して終われるのは物語の筋がしっかりしていたからだと思う。 個人的に、自由・解放された部分には自分の背中も押されたような描写で印象的だった。 またつぎの作品も読んでみたい。 恩田さんの書く小説の物語性にはすごく惹かれる。 つぎ、つぎ、つぎ、ワクワクする感触!
moko*
2024/5/13 そりゃ直木賞取るよなぁ。 始めからそれはそれは熱く、情熱的でどんどん読み進められた。 登場人物たちもとても魅力的で、私が特に好きだったのは明石。 自分の年齢や境遇も影響したのかもし…れない。 作品の最後。 とても静かで、とても優しい。 それはまるで一つの曲がそっと終わる瞬間のような幕切れ。 素晴らしい作品でした!続きを読む
投稿日:2024.05.13
あひる
2017本屋大賞 どう感想を書けばいいのか分からないが本音 たぶん初めて音楽を体験?したのだと思う クラシックもとより音楽のことを知らなくても読み続けてた、ほんの少しの間のレッスンを毎回涙流しながらや…らされ音楽を嫌いにさせられたこんな自分でさえ読み続けてた 恐らく恩田陸氏は偉大な音楽家なのだと思われる(違う) 物語は切れる事ない緊張の糸が常にあり演奏する側聴く側 共に19世紀、外国の景色、宇宙、ロマンス、などを感じる音楽で満たしていた そして現代音楽じゃなく耳を澄ませ自然の生きた音楽を聴いてみろよとメッセージが込められてると感じた 映画は見てないが調べると演奏した曲が小説と違うらしい…通りでコメントが変だと 印象的だったのは第3次予選のマサルの演奏、こんなイメージでピアノを聴いた事がなかったしクラシックとはこんな物語の世界なのかと思わせてくれた 好きなフレーズ引用 明るい野山を群れ飛ぶ無数の蜜蜂は世界を祝福する音符であると。そして、世界とはいつもなんという至上の音楽に満たされていたことだろう まるで雨のしずくがおのれの重みに耐えかねて一粒一粒垂れているような 世界中にたった1人しかいなくなっても野原にピアノが転がっていたら、いつまでも弾き続けていたいくらい好きだなあ 人生の最期にはすっと息を引き取る。最期には吸うのだ 世界は音楽に満ちている 続きを読む
投稿日:2024.05.08
こっとん
上巻を読んで流れでそのまま読み耽った下巻。 上下巻を通じて、クラシック音楽の魅力が伝わるとても良い物語だった。 私はクラシックは正直興味がない、現代音楽ばかり聴いている典型的なミーハーだが、そんな私にもクラシックの魅力が伝わる話だった。 是非一度コンクールや演奏会に顔を出してみたいと思った。このような小説を書くには大変な取材と知識が必要であると思い、感服する。 今回は課題曲「春と修羅」のカデンツァが重要視されており、それぞれの登場人物の個性が出ていて非常に面白かった。言葉の表現がとても巧みで、曲を知らないのに頭の中でその曲が再生されるようだった。 上巻を通じても各人物の特徴はすでに認識しており、その特徴がはっきり出ている場面だったと思う。 この話は誰か1人に焦点を当てるわけではなく、それぞれの人物の良さをしっかり出しているところがとても良かった。 個人的に少し残念だったのは、優勝までの流れである。 瑛伝亜矢か風間塵が優勝すると想像していたが、才能がないと自分で言っていたマサルが優勝するのは意外だった。勿論素晴らしい演奏であることは描写から伝わってきたが。 この優勝した人物にとやかく言うことは無いが、最後の亜矢ちゃんの演奏に関する描写がなかったことが少し残念に感じた。 また、マサルが亜矢ちゃんに恋心を抱いているという描写があったものの、コンクール後のことは描かれていなかった。 その後については読者の想像次第ということもあるだろうが、個人的にはその後の活躍も見てみたかったと思った。
投稿日:2024.05.07
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