【感想】絶滅の人類史 なぜ「私たち」が生き延びたのか

更科功 / NHK出版
(70件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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2
1
  • 我々は子作り力で生き延びた。

    4万年前までは共存していた我々ホモサピエンスとネアンデルタール人のうち、なぜホモサピエンスだけが生き延びたのか、という考察がとりわけ面白かった。一般的通説は「ホモサピエンスのほうが賢かったから」であるが、実はネアンデルタール人のほうが相対的にも絶対的にも大きな脳を持っていたそうだ。現代人の脳はむしろ縮小しているそうだ。著者は「ホモサピエンスのほうが多産だから。」との仮説を立てている。少子化の現代日本のことを思うと考えさせられる。著者の自戒を込めた「仮説」についての態度も印象的である。続きを読む

    投稿日:2023.10.20

ブクログレビュー

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  • Masahiro Sera

    Masahiro Sera

    700万年前にチンパンジーとの共通の祖先から枝分かれした人類。人類の系統において最初に進化した特徴は、直立二足歩行と犬歯の縮小とのこと。

    30万年前のホモサピエンスの登場まで、多くの人類が登場し、そして絶滅していったが、ホモサピエンス登場後は加速的な感じを受ける。

    ホモサピエンスとほぼ同じ頃に登場し、いち早くヨーロッパに移ったネアンデルタール人は、後にアフリカを出たホモサピエンスとの交雑を経て4万年前に絶滅した。同じ頃デニソワも絶滅。
    ホモフロレシエンスは、インドネシアのフローレス島に95万年暮らしてきたが、5万年前ホモサピエンスが上陸してまもなく絶滅。
    ホモサピエンスがオーストラリア大陸に進出したのが65,000年前で45,000年前には、多くの動物が絶滅しているらしい。

    意図的ではないとは思うけど、考えさせる生き物だ。
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    投稿日:2023.11.14

  • なおき

    なおき

    現在地球上にいる人類はホモサピエンスのみ。ただ地球の歴史からすると約20種類の人類がいたらしい。なぜ霊長類から人類は生まれたのか。そしてなぜホモサピエンスのみ生き残り、今現在も増加している種なのか。とても知的好奇心をくすぐる内容でかつ平易な文章で書かれてあって読みやすかったです。続きを読む

    投稿日:2023.10.19

  • kohamatk

    kohamatk

    人類進化の歴史が丁寧にまとめられている。ネアンデルタール人やホモ・フローレシエンシスが絶滅した年代も更新されている。

    最初に進化した人類の特徴は、直立二足歩行と犬歯の縮小の2つ。オスが子育てに協力して一夫一婦制かそれに近い社会を作るようになり、メスや子に食物を手で持って運ぶために直立二足歩行をした。同種内で争うことがほとんどなくなったので、犬歯が小さくなったというシナリオが考えられる。

    初期人類は足の親指を大きく広げられ、樹上生活もしていたが、アウストラロピテクスでは足の親指は他の指と並行になり、かなりすぐれた直立二足歩行をしていた。主に草原の食物を食べていたが、草食動物も食べていた。石器も使っていたかもしれない。

    ホモ・エレクトゥスは走ることができるようになり、汗をかいて体温を下げるために体毛を失った可能性がある。ホモ・エレクトゥスは、アシュール石器を用い、火も使った可能性がある。

    ホモ・エレクトゥスでは前頭葉にブローカ野ができ、ホモ・ハイデルベルゲンシスでは舌骨の形が変わり、ネアンデルタール人では脊椎骨の穴が広がって、FOXP2遺伝子が変化したことから、言葉は段階的に発展したと考えられる。

    ネアンデルタール人との交雑によって、ホモ・サピエンスは寒い環境に適応する体色や体毛に関する遺伝子を受け継いだ。
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    投稿日:2023.04.10

  • 居間石34

    居間石34

    ざっくりとした人類史の概要が分かりやすくまとめられていると思う。サピエンスやネアンデルタール以前の人類史はあまり触れてこなかったから新鮮で興味深かった。「サピエンスはネアンデルタール人よりも優れていたから生き残った」訳ではないということは、進化生物学や他の歴史学について考える上で忘れてはならないことだと思った。続きを読む

    投稿日:2022.10.22

  • teeego

    teeego

     2018年の本で、今はさらに人類史は発達していようが、成程というところが多々あった。
     ホモ・サピエンスがなぜ生き延びたか、体格も脳の容量(1550cc)も大きいネアンデルタール人を結果的に絶滅に至らしめたのは、ホモ・サピエンスの人口の増加、集団的社会力、他種からのDNAを受け継いだ適応力などなど、勿論言い切れないことがあろうが、そういったことが複雑に絡みあっているのは確実なのであろう。
     人類の起源を探索するというのは、個人的でなく多くの人が興味をそそられるテーマであり、時たまこういった本を読み返してみたくなる。
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    投稿日:2022.08.13

  • Go Extreme

    Go Extreme

    私たちは本当に特別な存在なのか
    第1部 人類進化の謎に迫る
    欠点だらけの進化
    初期人類たちは何を語るか
    人類は平和な生物
    森林から追い出されてどう生き延びたか
    こうして人類は誕生した

    第2部 絶滅していった人類たち
    食べられても産めばいい
    人類に起きた奇跡とは
    ホモ属は仕方なく世界に広がった
    なぜ脳は大きくなり続けたのか

    第3部 ホモ・サピエンスはどこに行くのか
    ネアンデルタール人の繁栄
    ホモ・サピエンスの出現
    認知能力に差はあったのか
    ネアンデルタール人との別れ
    最近まで生きていた人類

    人類最後の1種
    続きを読む

    投稿日:2022.06.28

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