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ジャレド・ダイアモンド, レベッカ・ステフォフ, 秋山勝 / 草思社 (22件のレビュー)
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総合評価:
ici
荒削りな第一作目
ジャレド・ダイアモンドの第一作目。『銃・病原菌・鉄』、『文明崩壊』、『昨日までの世界』、『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか』といった、その後の著作の内容が幅広く扱われている。ある意味ではお得な内容。 …ただ一作目というだけあり、議論が荒く、著者の執筆当時の価値観が前面に出ており、三部作で見られる中立的な視座を心がける自制的な論調に欠けているきらいがある。 『銃・病原菌・鉄』の名前は聞いたことがあるけれど、長そうだからちょっと抵抗があるという人向け。著者の他の本も読んでいるという人にとっては優先度は高くないと思います。続きを読む
投稿日:2016.12.14
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くっちゃね村のねむり姫
ジャレッド・ダイアモンドの入門書としては最適
私は、若い読者ではなく、60を超えたオッサンではありますが、私のような初心者には最適な本でありました。ジャレッド・ダイアモンド氏は、現代の知の巨人の一人であることは、間違いないでしょう。 読むき…っかけは、Eテレで放送していた連続講義ですが、この人の守備範囲の広さには、驚愕するばかりです。 ヒトを人たらしめているものは何か?これは究極の問いですが、ヒトと他の動物の違いの一つを博士はこう指摘してました。「目的を選択できること」さらっとしてますけど、これは重いワードです。本の後半部分で追求しているジェノサイドにも関係してくるでしょう。 また、巻末に掲載されている長谷川眞理子教授の解説も、この一冊を簡潔にまとめられていて、なかなかなものでありました。 タイトルの「若い読者」に惑わされず、若くない人も手に取って見て下さい。続きを読む
投稿日:2020.06.03
"powered by"
kohamatk
植物は、自家受粉種の方が栽培化に時間がかからず、野生種と交配しにくいため選別した純系を保ちやすい。 アメリカ南西部のプエブロと呼ばれる多層階の住居は、アナサジの人々によって900年頃に建設が始まった…。当時はマツやネズの森に囲まれ、建設資材や薪として使われた。伐採が進むと荒涼とした環境に変わり、表土の浸食によって用水路が削られ、灌漑ができなくなったため、12世紀に放棄された。 ヨルダンのペトラは、交易の中心として数百年にわたって栄えたが、かつて森林の中にあり、ヤギも飼育されていた。 最初に北米に進出したクローヴィス人の矢じりは、1万1000年前頃に小さく精巧につくられたフォルサムの矢じりに変わった。この矢じりはバイソンの骨とともに見つかるが、マンモスと同時に発掘されたことはないことから、その頃には大型の哺乳類が絶滅したと考えられる。続きを読む
投稿日:2022.09.24
しょーり
ジャレド・ダイアモンドの本は前から読みたかったが、この本が初めて。 「人間はどういう生き物なのか?」という問いに対して、科学的に深い考察がされていて、人間という種に対する理解が深まった。 タイトル…だけ見ると「いかに人間とチンパンジーが似ているか」という意味にもとれるが、98%以上遺伝子を共有しているチンパンジーと人間の違いにもフォーカスされていて面白い。 文章は専門用語もあって読みづらい部分があり、興味が無い人が読むと結構辛いかもしれない...。 個人的にとても興味深く読み進めたが、僕も読むのに結構時間がかかった。続きを読む
投稿日:2021.04.25
鴨田
ジャレド•ダイアモンドの本であることは間違いないのだけど、別の人『レベッカ•ステフォフさん)の編著なので、既刊本の総集編的な部分が結構ある。が、面白く読めた。モト本の「人間はどこまでチンパンジーか?」…が未読だったからだろう。 以下の箇所が一番印象に残った。 P223 言語が少なければ世界中の人びとが意思を交わしやすくなるので、消滅はむしろいいことなのではないのかとも考えられる。そうかもしれないが、ほかの面ではまったく望ましくはないのだ。言語はそれぞれ構造や語彙が異なっている。感情や因果関係や個人的な責任をどう表現するかという点でも異なる。人間の思考をどう形づくるのかという点でも言語によって異なる。だから、この言語こそ最善だというひとつの言語は存在しない。そのかわり、目的が異なればもっとそれにふさわしい言語が存在している。言語が死に絶えてしまうとは、かつてその言語を話していた人たちが抱いていた独自の世界観を知る手段さえ失ってしまうことになるのだ。続きを読む
投稿日:2020.11.14
koishi-2018
友人に、ジャレド ダイアモンドのTV番組を教えてもらい、見ています。 本書を途中までは読んだけれど、TVを繰り返してみたので、それで十分な気がします。 2018年1月8日〜 NHK Eテレ http…://www4.nhk.or.jp/diamond-hakushi/3/ 「ダイアモンド博士の“ヒトの秘密”」 ダイアモンド博士は、「銃・病原菌・鉄」でピュリッツァー賞を受賞した進化生物学者。 人間の進化によって現代社会を考察する博士の特別授業を12回にわたって放送する。 2018/01/05 予約 1/28 借りる。 2/1 読み始める。2/19 途中で返却 2018/02/20 再予約 3/20 再借り 読まずに返却 若い読者のための第三のチンパンジー: 人間という動物の進化と未来続きを読む
投稿日:2019.01.12
YAJ
このレビューはネタバレを含みます
『マンモスのつくりかた』『Ank』『私たちはどこから来てどこへいくのか』、加え言葉にまつわる本関連の興味の続きで読んでみた(たぶん、どの本だかに引用されていたような気もする)。 類人猿と我々ヒトを分かち、人類の「大躍進」の大きなきっかけとなったものが、 「今日、私たちが知っている話し言葉が発達したことによるのだ ― 私はそう考えている。」 という、要は昨今の興味の後押し、補完となる一冊だった。 読みやすくはあったが、広く、深く、より専門的に語られるところも多く理解が進んだというより、ちょっと手こずったかな。 でも、分子時計、ザハヴィの理論など、興味深い話も多く、勉強になった。 人類の進化(それを進化と呼べるかどうかは別として)、すでに遺伝子の変化に捕らわれたものではなくなっているという事実は、創造主にとっては想定外のことだったのかもしれない。。。。
投稿日:2018.06.25
abba-rainbow
書店で平積みにされていたのと、タイトルになんとなく興味をそそられ購入した。興味はそそられたものの、このタイトルにはいくつかのクエスチョンがあった。そもそも「第三のチンパンジー」とはなんぞや?とか、どうして「若い読者のための」と前置きがあるのか?とか。とても好奇心がそそられるタイトルだ。 そして、その読者の好奇心に膨大な研究の裏付けをもって答えてくれるだけでなく、読者に啓発すら与えてくれる良書であったと思う。 そもそも、著者はこの研究に何十年もの歳月を費やし、ほぼ生涯をかけて本書を著しているようにも思える。そのような労苦の結晶を、数百円のお小遣いと数日間の読書で学ぶことができるなんて、読者というのは本当にありがたいと思う。 著者の肩書には、カリフォルニア大ロス校教授のほかに、進化生物学者、生理学者、生物地理学者とある。「人間という動物の進化と未来」という副題があるとおり、本書は進化生物学を基軸として著されたものと思うが、巻末で翻訳者(秋元勝氏)が語っているように、鳥類学や人類生態学、古環境学、古病理学、言語学などの関係から有機的に分析がされていて、しかも素人にも分かりやすく説明してくれているように思う。 本書は、著者の「人間はどこまでチンパンジーか?人類進化の栄光と翳り」の出版(1993年)以降の研究成果がアップデートされたものであり、しかも写真などを大幅に増やし、最新の研究成果に基づいて、より読者の理解を促進しようとした工夫がされているように思う。 その読者の理解の促進という意図が、この「若い読者のための」という言葉に表れていると思う。 哺乳類の中に、霊長類という分類があり、霊長類の分類の中には、サル、類人猿、ヒトという分類がある、、、ということすら正確に意識したことがなかった。 ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザルが、「サル」とは異なる「類人猿」という分類となるという、おそらく進化生物学の中では基本中の基本すらはっきりと知らなかった。そもそも霊長類の中では、ヒトとそれ以外という理解でいたというのが正直のところだ。 しかし、チンパンジー(コモンチンパンジー、ボノボチンパンジー)とヒトの遺伝子を比較してみると98.4%が同じで、違いはたったの1.6%であり、分類的にはむしろヒトとチンパンジーを別の分類とするには違和感があるという問題提起からスタートする。つまりは、ヒトは第三のチンパンジーだということだ。 では、たった1.6%の差異がどうして、どうしてこのような大きな違いを生み出したのか?そのことを順をおってジャレド・ダイヤモンド教授が語ってくれるのだ。 昔、世界史の教科書の冒頭のほうで学んだ、「言葉を使う」「直立歩行」「道具を使う」「火を使う」、そのようなことを単発で説明しているのではない。むしろ、こういう低レベルの教育しか行われていなかったことを嘆く声すらある。 地質などを調べていつの時代にどのようなことが起こったのかを分析していく過程、環境から生物が進化していく様子、生物が絶滅する理由、などなど教授の話すどの切り口もどの分析過程もとても興味深く読める。 例えば人類が「農業」というものを見つけたことは、人類の光であるとしか思っていなかった。本書では、光の部分と陰の部分について語られている。 ヒトを生物の一つとして客観的に見たとき、そして大きなスケールで生物の進化や人類が行ってきたことを振り返ってみ見たとき、現在の人類の存在が、絶滅と背中合わせであることに気付かされる。 ヒトが道具を使えるようになったということにも光と影がある。その影が膨張しつつあり一触触発の状況下にあることが、大きなスケールで過去の歴史を振り返った時、客観的に理解できる。 ヒトの最も特徴的な差異であるジェノサイドを引き起こす特性について詳しく述べられている。このことも、大きなスケールで、過去に繰り返された数々のジェノサイドを知ることにより、現在の我々もそのスケールの中に存在するのだという危機意識みたいなものを感じざるを得ない。 本書が「若い読者のための」とタイトルされている重要な理由が書かれていると思う。その理解によって、人類は背中合わせの危機から脱出する力ももっているという啓発が込められている。
投稿日:2018.05.05
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