【感想】下町ロケット

池井戸潤 / 小学館文庫
(894件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
460
266
86
8
2
  • 公共の場で少し涙が漏れてしまった

    しまったやられた止まらなかった.モノづくり技術者の魂がここにある.

    投稿日:2017.01.16

  • 実に痛快!

    モノづくりのお仕事されてる方なら、より楽しめると思いました。面白かったです。

    投稿日:2016.09.22

  • 中小企業の逆襲だ

     第145回直木賞受賞作品である。主人公の佃航平は、ロケット実験に失敗し、研究者の道を諦め家業の町工場『佃製作所』を継ぎ製品開発で業績を伸ばしていた。そんなある日、商売敵の大手メーカー・ナカシマ工業から、理不尽な特許侵害で訴えられ、そのお蔭で主要取引先を失ってしまう。顧問弁護士は特許に弱く、ナカシマ工業の優秀な弁護団には全く歯が立たず、裁判中もオロオロするばかりだった。
     裁判が長引きそうになり、中小企業である佃製作所の体力は削がれ資金繰りに窮してくる。そこでメインバンクの白水銀行に追加融資の相談に行くのだが、当然の如くに良い返事を貰えない。それどころか無駄な研究開発費を削減しろと迫られてしまうのだった。仕方なく別の金融機関へ行くのだが、どこもメインバンクが渋るのではと、なかなか相手にしてくれない。

     全く打つ手がない、佃製作所創業以来の最大のピンチである。このまま倒産してしまうのだろうか。だがそのとき救世主が現れるのである。別れた妻が紹介してくれた神谷弁護士である。彼は優秀で特許関係にも強く、やり方の汚いナカシマ工業にも反感を持っていたのだ。そしてさらに佃製作所の持っている特許申請の甘さを指摘し、他社に侵略されないような申請方法を伝授しガチガチに武装した追加申請を行わせる。なんとこれが、後に国産ロケットを開発する巨大企業・帝国重工が申請しようとしていた特許に先行したため、佃製作所に優位に働くことになるのである。

     元銀行マンだった著者の小説には必ず銀行が登場する。あの倍返しの『半沢直樹』も著者の原作であり、銀行の内幕、非情さ、強きを助け弱きをくじく体質、などなど銀行マンのいやらしさを書いたら彼の右に出るものはないであろう。本作でも前半はそのいやらしさに塗りたくられていたのだが、後半になってからは、巨大企業・帝国重工との技術的なやりとりが中心になってくる。そのあたりの技術的描写については、文科系と思われる著者が良くここまで調べ上げたものだと感心してしまった。
     
     文庫本で480頁の長編小説であり、銀行、大企業に対する批判が中心的なテーマかもしれないが、佃製作所内の従業員の反乱や主人公の家庭崩壊などミクロな部分にもスポットを当てた幅広い人間ドラマとも言えよう。だから読み始める止まらず、ことに終盤はノンストップで一気読みしてしまうだろう。
     本作はまさに男のドラマである。大企業は安定していて生涯賃金も高いが、上司への服従と部下の管理と出世競争ばかりで夢がない。逆に中小企業は不安定で賃金は低いが、仕事が充実していて楽しいし人間関係も豊かである。そのどちらを選ぶかは、男がはじめて遭遇する重大決断なのではないだろうか。
     この物語は、世知辛い現代の世の中で、ひたすら現実だけを追う人たちと、夢と誠実さを失わずに走り続けている人たちの戦いの記録である。そして諦めずに前向きに生きてゆけば夢は実現し、最後は必ず報われるという、現代版のお伽話なのかもしれない。
    続きを読む

    投稿日:2016.08.24

  • 夢と希望に満ちた男のロマンス

    男の夢、それに向かって信念を貫き通す男のロマン。一度自分の夢は崩れるが、底から這い上がり再び自分の夢に向かっていくストーリー。人生は自分が思った様に行かないがそれでも決して自分の夢を諦めず、また周りの人々に助けられ自分の人生を満喫している主人公が羨ましい。ドラマも見るとそのシーンが目の前に広がります。続きを読む

    投稿日:2016.07.06

  • 主人公の名言にも注目!見逃すことはできない今ウワサ本!


    中小企業(善)vs大企業(悪)という著者得意のパターンです。先が読みやすく意外性としては薄めのストーリーなのですが、詠む進めて行くうちに感情移入してしまい、いくどとなく目頭が熱くなる思いをしました。中小企業がもつ夢や希望、情熱みたいなものを描かせたら池井戸氏は天下一品です!ちなみにドラマも見ましたとてもおもしろい寺ドラマでした。イメージと違うキャストが多くて面白かったです。下町ロケット2はまだ未読なのですが近々読みたいと思います!




    続きを読む

    投稿日:2016.03.06

  • 改めて面白い

    ドラマから久しぶりに読みましたが、原作とほぼ同じようにドラマが作成され、ドラマを観てから読むと内容が映像とリンクします。
    やはり、池井戸さんの作品は読みごたえ有りますね❗

    投稿日:2016.02.27

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ブクログレビュー

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  • ろこ

    ろこ

    続きがあるだと・・?というのをレビューで知った一冊。同名のドラマがあるのは知っていたのですが、なんとすでに続巻もドラマ化しているそう。つまり、本書を読んだだけでは「下町ロケット」を読んだとは言えなさそうです。確かにキャラが個性的なので、その先の成長や関係性も見たいと思わされました。また、本書は2010年発売ですがおもしろいことに2024年のロケット業界は本書の世界に似てきていて、むしろ中小企業(ベンチャー企業)が大企業から出資されてロケットをあげようとしたりしている状況です。だから、今読むと、フィクション感というよりむしろ勉強になった印象を受けました。

    ■知財の大切さ
    前半に出てくる神谷弁護士。この方がいなかったら前半で話が終わっています。中小企業における知財戦略の大切さを感じずにはいられないエピソードでした。ただ、本書でも、長年の顧問弁護士が知財訴訟は得意でなかったりするというのが出てきており、弁護士だからなんでも任せられるいうのでもないんだなと感じました。
    近年では、オープンアンドクローズ戦略という言葉もあり、高度になる知財戦略に対応できない中小企業は大企業や海外企業に飲み込まれてしまう可能性もあると感じました。

    ■会社をまとめることの難しさ
    社長の夢だけを追いかけても社員は食っていけない。でも、社員が安泰になることを考えていてはその仕事はおもしろくない。そして、社員は両方の考えに賛同する人がそれぞれいる。バランスを取らなくてはいけない。なんて難しいんだろう。社長=金持ちなんて思っていましたが、金持ちだけの社長だとうまくいかないでしょうね。

    ■町工場の技術力
    と言われますが、見る人が見ないとわからないんですよね。。派手な宣伝や広報ができないからこそ、ひょんなことでわかる。それに対して公平な評価をすることの難しさを感じました。(なんとか潰せないか考えてしまうのは本書でもでてきました。そうなってしまうのもわかる気がする) 
    続きを読む

    投稿日:2024.05.13

  • yuki

    yuki

    技術の話もリアリティがあるが小難しくなく最後まで勢いよく読める。社会人になった今、色々と刺さる部分がある。トノ、好き。

    投稿日:2024.05.11

  • 梅

    おもしろかったです。すらすら読めます。他に読んだことのある池井戸さんの作品の中では波乱万丈の度合いがマイルドに感じました。

    投稿日:2024.05.08

  • イクロツィル番目の読書家

    イクロツィル番目の読書家

    こういう本に出会えるから本を読むのはやめられない。
    こんな現実的で情熱的で胸激アツのストーリー、共に心燃やさずにはいられない。

    何を大切にすべきか、何を優先すべきかわからなくなることは往々にある。しかし選択した答えを正解にするのはなぜこんなにもかっこいい。

    「正しいかどうかは、今分かることではない」
    この言葉が1番重くずっしりと響いた。
    それで良いんだよな。
    今、自分を肯定できなくても、何年後かの自分が肯定できるようにしよう。

    生き様を教えてくれる、
    この本に出会えて良かった。
    続きを読む

    投稿日:2024.05.05

  • 凛

    このレビューはネタバレを含みます

    池井戸さんの作品を初めて手に取りましたが、全作品読み切りたいと思えるほど惹かれる内容でした。
    堅実真面目に仕事と向き合ってきた職人さん達の生き様、悪役側で登場したものの確かな知識と適切な評価力を持つ財前氏の生き様、どちらも格好良く爽快です!
    自分の目の前のことをひたすら突き詰めていく彼らを見ていると、こんな仕事をしたいと思ってしまいます…!

    これはヒットするのも頷けますね

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.05.05

  • ひかり

    ひかり

    池井戸さんの最初に読んだ作品ですが、本当に面白かったです。
    最初から最後まで主人公の志がブレずにあってずっと応援していました。かっこいい!

    投稿日:2024.05.04

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