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徳岡孝夫 / 文春文庫 (6件のレビュー)
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総合評価:
ABAKAHEMP
1
なぜ彼は決起し、死なねばならなかったのか?
三島由紀夫が信頼し、最後の「檄」を託されたジャーナリストの手による評伝で、発表時ずいぶん各紙で取り上げられたが、いまなおその評価は揺るがない。 著者は、三島の自衛隊体験をこう解説している。 「一口…でいえば、命令と規律によって行動が縛られる不自由な秩序の中に、三島さんはかえって自由を実感した。枠をはめられた制約によって曲げられることにより、それを跳ね返そうとするバネのたわみを、筋肉だけでなく胸の内に感じたのではないだろうか」 自衛隊の決起を呼びかけた後に割腹自殺をした事件の真相については、 「私は、三島さんと励まし励まされ合い、引きずり引きずられつつ、のっぴきならぬ結果に到達した原動力の一半は森田氏にあったという印象を、今も捨てきれない」 と、森田必勝氏の主導権を指摘し、当時おおいに驚かされた。続きを読む
投稿日:2015.07.17
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grimona
三島由紀夫氏への理解が行き届いた作品
本書は、ジャーナリストの徳岡孝夫氏が、三島由紀夫氏が自決するまでの三年半に渡る交友と、自決後の様々な出来事について、史実を辿りながら、まとめた三島由紀夫私記です。 この本以外にも、私は好んで徳岡孝夫…氏のエッセーやコラムを読みますが、思うのは、徳岡孝夫氏は職業のプロ意識と誠実な人間性を兼ね備えた人だということです。 だから、三島由紀夫氏は、1970年11月25日、自決する前に、 『同封の檄及び同志の写真は、警察の没収をおそれて、差上げるものですから、何卒うまく隠匿された上、自由に御発表下さい。檄は何卒、何卒、ノーカットで御発表いただきたく存じます。』 と書いた手紙と共に「檄文」を、信頼できる徳岡孝夫氏に託したのではないかと思っています。 三島由紀夫氏をテーマにする本は、文学的業績と自決があまりに抜きん出た印象があるためか、文学、政治、思想に偏りがちで、読んでいても消化不良感があることが多いです。 しかし、本書は、文学、政治、思想に溺れることはなく、徳岡孝夫氏の三島由紀夫氏への理解が行き届いた文章にいくつも触れることができ、納得感があり、安心して読むことができます。 続きを読む
投稿日:2015.11.28
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marinnotousan
三島由紀夫から直接、あの日の「大役」を依頼された記者の一人。 『豊饒の海』の中でも難解だった『暁の寺』に関わる記載にも感謝。
投稿日:2024.04.05
もおりい
三島由紀夫が自刃する前、交流のあったジャーナリストの徳岡孝夫氏による三島由紀夫との回顧録。 三島由紀夫本人が心を許した人とのやりとりからその人間らしさが感じられる。 「精神の存在証明には行為が伴わなく…てはならず、行為を行うのは肉体である」という三島由紀夫の信念。 「無効性に徹することによつてはじめて有効性が生ずるといふところに、純粋行動の本質があり、そこに正義運動の反政治性があり、『政治』との真の断絶があるべきだ、と私は考えへる』…。 人の生涯は死に方によって決まり、犬死こそ純粋行動の正しい姿だ、と言っているのである。続きを読む
投稿日:2018.11.04
masahiroarai
三島由紀夫の著書(小説、エッセイ、評論、戯曲)については、多数読んでいる。 それから、三島由紀夫の死について書かれたものも、数多く読んできた。 その中で、この本が、最も、的を得ていて、優れていると感じ…た。 反論することが不可能になっている亡き友に対して、フェアな文章であると思った。 それでも、尚、謎の部分が残されているのは、仕方がない事に思う。 主人公は、生前から、超然とした存在で、常人には理解できない存在であったのだから。続きを読む
投稿日:2012.09.07
谷中チカ
三島由紀夫を見る目が変わった。 意外と常識的な視点を持った人だったんだなぁー、と。 読んだ後様々な事を考えてしまった。
投稿日:2005.05.18
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