grimonaさんのレビュー
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宇宙に外側はあるか
松原隆彦 / 光文社新書
宇宙の謎が解明される日は来るのか
8
本書は、最新の宇宙論を紹介した本です。
科学的に解明されたことと、仮説にとどまっていることが整理されており、一般書として非常に読みやすい本です。
標準宇宙論で解明できていることは、宇宙が誕生して1…兆分の1秒以降のことで、それ以前はまだ解明できていないとのこと。
宇宙が誕生して138億年ですが、宇宙の始まりの謎はこの1兆分の1秒という本当に短い時間に凝縮されているそうです。
その謎を解くべく、「インフレーション理論」、「超弦理論」、「エクピロティック宇宙論」などなど、様々な仮説が上げられています。
それらが描く世界観は、我々の常識をはるかに超えたものばかりで、例えば、親宇宙から無数の子宇宙、孫宇宙がつくられるというマルチバースの考えなどは、凡人の私はただただ驚くばかりです。
今、観測技術の向上で、宇宙について新しい事実が分かり、宇宙論も修正が迫られているようです。
『それまでには予想されていなかった宇宙の大規模な構造が発見されたり、宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎが観測衛星COBEにより初めて見つけられたりと、観測的にも大きな進展がありました。それまで定量性に乏しかった宇宙論は、一気に定量科学へと変貌を遂げていくことになります。
すると、それまでの理論主導の宇宙論にも変化が起こります。理論的に望ましいと思われていた宇宙の姿と、現実の宇宙の姿の間にギャップがあることが明らかになってきたからです
宇宙は、人間がそうあってほしいと思うようにはなっていませんでした』
宇宙の謎が一歩ずつでも解明され、我々に新しい知的刺激を与えてくれることを期待したいと思います。
続きを読む投稿日:2013.10.12
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家族という病
下重暁子 / 幻冬舎新書
個人を蔑ろにしている家族観に違和感を唱えた本
8
今年ももうすぐお盆の帰省ラッシュが始まります。
この時期のニュースの定番は、新幹線のホームや空港のロビーで、帰省した家族を出迎え、孫との再会を喜ぶおじいさん、おばあさんの光景。
昔は何とも思ってい…ませんでしたが、今は、あまり好きではなく、このようなニュースが始まると、すぐにTVのチャンネルを変えます。
同じような気持ちは、家族写真付きの年賀状をいただいた時にもあります。
私の心がせまいのかも知れませんが、これは偽りのない気持ちです。
この本の著者、下重暁子氏は言います。
『私は、家族写真の年賀状があまり好きではない。善意であることは間違いないし、たくさんいただくので差し障りはあるのだが。
幸せの押し売りのように思えるからだ。家族が前面に出てきて、個人が見えない。感じられない。お互いの家族をもともと知っている場合は別として、私はよその家族を見たいと思っているわけではない。へそ曲がりといわれるかもしれないが、頼んでもいないのに子供の写真を見せられるのに似ている。』
上記は一例ですが、本書は、個人を蔑ろにしている家族観に違和感を唱えた本です。
家族という重みに自分が押しつぶされそうに感じたら、この本を読んでみてはいかがでしょうか。
続きを読む投稿日:2015.08.02
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「原因」と「結果」の法則
ジェームズ・アレン / サンマーク出版
人生に理想を持つことが自分の人生を創り上げることにつながる
7
本書は、私自身もそうですが、人生の目標をつかめずにいる人にとって、自己啓発のバイブルとなる本です。
私は本書を読んで、人生に理想を持つことが自分の人生を創り上げることにつながる、ということだと理解し…ました。
今の自分の人生は、自分でコントロールできないまわりの環境のせいではなく、今までの自分の思いと行いの結果です。
だから、自分の人生を創り上げるためには、自分の人生に理想を持ち続けることが大切であり、それが、自分の行いを変え、自分の周りの環境を変え、やがて理想を現実化することにつながる事になります。
『私たちは、自分を環境の産物だと信じているかぎり、環境によって打ちのめされる運命にあります。しかし、「自分は創造のパワーそのものであり、環境を育むための土壌と種(心と思い)を自由に管理できる」ということを認識したときから、自分自身の賢い主人として生きられるようになります』
『気高い理想を掲げ、そのビジョンを見つづけている人間は、いつの日にか、それを現実のものにします』
『人間が達成するあらゆる成功が努力の結果です。そして、努力の大きさによって結果の大小が決定します。そこにはいかなる偶然も介在しません。物質的、知的、精神的達成のすべてが、努力の果実なのです。それらは、成就した思いであり、達成された目標であり、現実化されたビジョンです』
このように、本書は、自分こそが人生の創り手であるための原則的なことが書かれています。
迷いが生じた時など、折を見て、バイブルのように何度でも読み返しても良いと思います。
続きを読む投稿日:2013.11.17
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メモと記録だけでストレスフリーな毎日を続ける仕事術
とゆ / impress QuickBooks
行動を記録し振り返ることがストレスフリーの仕事術
7
本書は、メモを活用した仕事術を紹介した本です。
そのポイントは、行動を記録し振り返ることがストレスフリーの仕事術、ということです。
自分の仕事のマネジメントに悩んでいるサラリーマンの方にはおすすめ…の本だと思います。
かくいう私もその一人で、計画を立てて仕事を進めていても、
・想定外のトラブルがあったり
・割り込みの仕事があったり
・そもそも業務量の見積もりが甘かったり
で、ずっと続く繁忙感を前に、ストレスはたまるばかりで、もっとスマートな仕事のやり方があるのでは、と悩んでいました。
本書著者の「とゆ」さんも同じような悩みを抱えられていて、たどり着いた結論が
・行動を記録し振り返る(=処理・整理)ことがストレスフリーの仕事術
ということです。
一般的に、計画を立て、実行し、結果やプロセスを評価し、改善につなげる、というPDCAサイクルは広く知られた業務手法です。
「とゆ」さんの話は、これを個人レベルの仕事術に応用したものだと言ってもよいと思います。
ただ、ちょっと違う点は、初めに計画ありきでなく、行動してみて、それをフィードバックする形で計画を立てるという点でしょう。
「とゆ」さんは言います。
『俗に言う計画倒れです。そこで計画を立ててから行動するのではなく、行動してから記録をつけることを始めたところ、実際に自由に使える時間や所要時間が可視化できて、身の丈に合った現実的なスケジュールが組めるようになり、収集・処理・整理がうまく流れるようになりました』
『何をやっていたか、それにどれくらいの時間をかけていたかという記録をとっていて、仕事がいきなり順調にこなせるようになったわけではありません。しかし、視界は開けました。今までは通ってきた道がすぐにかき消えて、どういう道のりをどれくらいの時間で通ってきたかは記憶に頼っていましたが、記録をとるとそれが目に見えるようになります』
「とゆ」さんの指摘は、体験に基づいた実用的なものであり、今からでもすぐに実践できる仕事術だと思います。
続きを読む投稿日:2014.02.05
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海街diary 1 蝉時雨のやむ頃(1)
吉田 秋生 / 月刊flowers
鎌倉を舞台にした異母4姉妹の家族の絆の物語
5
『海街diary』は、鎌倉を舞台にした、異母4姉妹の家族の絆の物語です。
私はまだ電子版の出ている3巻までしか読んでいないですが、 早く続巻を読みたいと思っています。
まじめでしっかり者の長女、香…田幸、酒好きでちょっと奔放の次女、香田佳乃、天然系でユニークなキャラの三女、香田千佳、中学生ながら責任感のある四女、浅野すず。
そんな異母4姉妹が、父の死をきっかけに、鎌倉で一緒に暮らすことになるところから物語が始まります。
母と娘の複雑な感情、仕事や学校、恋の悩みも織り交ぜながら、この4姉妹が織りなす家族の絆が描かれており、良質の大人のコミックに仕上がっていると思います。
また、大仏、鶴岡八幡宮、御霊神社、七里ヶ浜の海、江の島、鎌倉の花火大会、切通し、谷戸(やつ)、路地の佇まい、梅や桜などの四季折々の花など、そんな鎌倉の歴史、風景、自然がこの物語に溶け込んでいて、作品に深みが出ていると思います。 続きを読む投稿日:2013.12.02
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「7つの習慣」 第一の習慣:主体性を発揮する 選択する力
フランクリン・コヴィー・ジャパン / キングベアー出版
主体的に自分の人生を切り開きたいと考える人におすすめ
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「7つの習慣」は、人生で成功するための原理原則についてまとめた本です。
主体的に自分の人生を切り開きたい、と考える人におすすめの本です。
私がこの本を信頼できると考えた理由は、人格主義をその基礎に…置いているからです。
というのは、「7つの習慣」は、スティーブン・R・コヴィー博士が、「成功に至る原則」を研究したことがきっかけですが、テクニックやスキル、戦略的アプローチといった「個性主義」よりも、誠意、謙虚、誠実、勇気、正義、勤勉、節制などの「人格主義」的要素が重要だとしているのです。
『重要なことは、土台がないところでいくらテクニックを使っても長期的に機能することはない』
テクニックやスキルに重点を置きがちな、ビジネス書やハウツー本とは、明らかに趣を異にしています。
「人格主義」という土台をつくるところから始めるのは、効果がすぐ見えず一見遠回りかもしれませんが、しかし長期的には成果が出るのだと思います。
その証拠に、発売から10年以上たってもロングセラーでありつづけているのが、一つの証左でしょう。
「7つの習慣」を表すモデルは、「成長の連続体」というものです。
それは、依存から自立、自立から相互依存へと人が成長していくまでのモデルです。
その成長の過程で必要な習慣が7つにまとめられています。
本書では、一番の基礎である、主体性を発揮することで、「選択する力」を学ぶことになります。
続きを読む投稿日:2013.11.06