【感想】神々の歩法-Sogen SF Short Story Prize Edition-

宮澤伊織 / 東京創元社
(17件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
3
5
7
1
0
  • 神降臨

    多次元人ですね。
    無敵、無敵、無敵。敵には物理的作用は効かぬし、偶然多次元人のセキュリティが憑依した女の子がいい人だったから良いものを、神に近い高次元人は全く、なんというか即物的ですね。何か宇宙の神秘とかそういうのが入る前に戦いだという予定調和な展開。
    それでも、主役の女の子は可愛そうですね。
    短編ゆえにどこか心に残らないですが、まあ、面白かったです。
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    投稿日:2015.07.20

  • 神VS神

    オール戦闘描写で一気に引き込まれる快作。スーパーヘビー級の超能力バトルが見たい人には是非。

    投稿日:2015.09.07

  • SFは詳しくないですが

    私はTRPGが趣味のため、別名でよくお目にかかっておりました(しかしその別名すらもなんて読むのか最初わからず、脳内で「さかなさん」って呼んでいたのは懐かしい思い出です)。
    小説の方は、ライトノベルで書かれたものを見て、その文体にモンニョリした記憶があり、以降「小説のほうは」敬遠していたという次第です(TRPGリプレイのほうは問題なく楽しめています)。

    そんな折、この賞を受賞した際の記念エッセイ(http://www.webmysteries.jp/sf/miyazawa1508.html)を見て、買ってみた次第でした(そう。書評も読みたかったのだ!)。
    お話は、高次元生命体に憑依された人間が、地球の都市を無造作に消し去っていくのをなんとかして止めるという近未来ものです。
    出だしは、かつて栄え、そしてそのたった1人に滅ぼされた、砂の都北京。
    USAのエリート軍人チームがターゲットめがけて滑走するところから始まります。
    SFには詳しくありませんが、どこか知らない星ではなく、地球上の知っている地名で、それが様変わりしているところが話に引き込まれていきますね。
    疾走感がある戦闘、小物やら台詞のしっくりくるネーミングセンス、なんていうか「こなれている」なという感じ。
    ラノベ時とは打って変わった硬質な文体がマッチしていて読みやすい(幻想文学好きなので文体にこだわってしまうのだ!)。
    途中、少女と出会い、話はぐるっと収束へと向かっていき、大団円となります。
    少女の行く末や、「ナイスガイな」軍人さんがたの今後が気になるような、「続く感じ」があり、読後が爽快。
    私のようなSFに詳しくない人間でもさらっと読むことができます。

    良いところばかり言うのはフェアでないので、ちょっとアレだなと思うところも。
    本を何冊か出しているプロの人が書いているからか、「こなれてる感」が全面に出てしまっているところ。よく言えばきれいにまとまっている、悪く言えば賞を取りにいっていると思われてもおかしくないくらい、こじんまりしてると思いました。

    次はもうちょっと冒険した(はっちゃけた)SF作品を、同じような硬質な文体で読みたいです。ハイ。
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    投稿日:2015.09.26

  • 安心して読める。

    展開に無理く憑依の設定が面白い。ただ伊藤計劃「虐殺器官」のフォーマットを利用した雰囲気があり、どうしても比較してしまう。
    (本棚5冊 既読3冊 コメントナンバー2)

    投稿日:2020.01.03

ブクログレビュー

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  • sukato

    sukato

    長谷敏司「10万人のテリー」
    下永聖高「猿が出る」
    星野之宣「雷鳴」
    理山貞二「折り紙衛星の伝説」
    草上仁「スピアボーイ」
    円城塔「∅」
    堀晃「再生」
    田丸雅智「ホーム列車」
    宮内悠介「薄ければ薄いほど」
    矢部嵩「教室」
    伴名練「一蓮托掌(R・×・ラ×ァ×ィ)」
    三崎亜記「緊急自爆装置」
    諸星大二郎「加奈の失踪」
    遠藤慎一「『恐怖の谷』から『恍惚の峰』へ~その政策的応用」
    高島雄哉「わたしを数える」
    オキシタケヒコ「イージー・エスケープ」
    酉島伝法「環刑錮」
    宮澤伊織「神々の歩法」(第6回創元SF短編賞受賞作)

    SF?とは言い難い気がしますが「再生」は面白かったかな。「わたしを数える」も電脳空間でお菊さんが皿を数えるイメージがなんか好きです。
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    投稿日:2023.09.04

  • isutabi

    isutabi

    豊穣な年だったようですが個人的には期待値ほどではありませんでした。やっぱり国産SFと相性がわるいのかもしれません?

    [○]長谷敏司「10万人のテリー」/カードゲームのレアカードのデータに人格を分割コピーしたオーバーマンが世界大会でデータが集まり甦った。世界の命運を賭けたゲームがいま始まる。《ゲームみたいな悪役がいれば、世界がゲームみたいになると思わない?》p.26。シンプルで三十分アニメにしたら楽しそうです。

    [△]下永聖高「猿が出る」視覚に猿があらわれしだいに進化していくのと同時に恋人との仲が進展し結婚、娘が生まれる。

    [○]星野之宣「雷鳴」恐竜があの巨体でなぜつぶれなかったのかというのは昔から疑問に思っていましたがそのひとつの案ですね。『星を継ぐもの』では月がまだ衛星でなく地球の自転がめっちゃ速かったからという説で面白かったのですがそれより現実的かも。

    [△]理山貞二「折り紙衛星の伝説」《それなら自分は、と彼は思う。墜ちない機体を作ろう。金星の空をいつまでも飛び続けられる飛行機を作ろう。》p.119。しずかに淡々と。

    [△]草上仁「スピアボーイ」名を馳せたロートルカウボーイが自信満々な若者の挑戦を受けて・・・という構図の西部劇。馬ではなくジェット推進で飛翔する回遊魚のような生物スピアを駆るスピアボーイですが。

    [△]円城塔「Φ」宇宙、言葉、自己、一文字ずつ。

    [△]堀晃「再生」不整脈の手術、宇宙の構造。

    [△]田丸雅智「ホーム列車」大阪環状線を利用しているとときおりホームの方が走ってもええんとちゃう? とか思うことがあります。あと、駅のホームがひとつなががりになってたり、あるいは全部の列車がひとつながりになって動いてもええかも(それはムービングウォークか)とか考えることがあります。そんなお話。

    [△]宮内悠介「薄ければ薄いほど」《自己存在を限りなく薄めたその最果てに、自己の不滅があるのだと》p.271

    [▽]矢部嵩「教室」とある日の教室の風景。

    [▽]伴名練「一蓮托生(R・×・ラ×ァ×イ)」双子はなんでもまっぷたつにしちゃう。

    [△]三崎亜記「緊急自爆装置」市民には自爆する権利があるがお役所的にはなかなかたいへん。《業務を円滑に遂行する上では、抜本的な解決能力ではなく、調整能力の方が重要である。》p.327。このくらいのナンセンス度が読者の現実感を喪失させるのにちょうどいい感じですね。星新一さんっぽい読後感も。

    [△]諸星大二郎「加奈の失踪」なんか不自然なセリフと思っていたら・・・びっくり。

    [△]遠藤慎一「『恐怖の谷』から『恍惚の峰』へ~その政策的応用」論文っぽい形の小説。純文学系では評論っぽい小説はときおり見かけますがSFと科学論文は相性よさそうでほんとうにありそうな気がしてきますね、恐怖の谷と恍惚の峰。そしてそれを利用しようとするあるいは利用してきた何ものかも。

    [○]高島雄哉「わたしを数える」人間が数えるという機能を失った後もお菊さんは数え続けていた。《数えることは確認することなんだ。》p.378

    [○]オキシタケヒコ「イージー・エスケープ」ガンダムSEEDのコーディネーターと地球のような関係の中で亡命を成功させる逃がし屋。SFはまず特異なあるいは興味惹かれる設定が重要で基本的に馴染みのない世界なのでやはりストレートな物語性があり魅力的なキャラクタが出るといいですね。あと思いがけない展開と。尖ってるだけでは読みにくい。「トリノホシ」は持ってるはずですがPS2が壊れたのでまったくプレイできてない・・・

    [▽]西島伝法「環刑錮」うにゅうにゅうにゅ。《自身の脳もまた牢獄なのだ。》p.468

    [△]宮澤伊織「神々の歩法」既視感がありました。いろいろ考えて、ウルトラマン? と思ったときかつてこの続編のような話を読んだことを思い出しました。調べたら「草原のサンタ・ムエルテ」という作品でした。そこで触れられていたかつての事件を読めたということでしょう。ニーナと船長は『ケロロ軍曹』のアリサとネブラの感じ。最後に出てきた兵器は「鉄血のオルフェンズ」でバルバトスを貫いたヤツや他でも似たようなのを知ってるような気がするという感じでどこかで見たような設定ではありますが普通に楽しめました。
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    投稿日:2023.07.26

  • 東雲

    東雲

     わたしには人間の気持ちがわからない。覚えることも考えることも、それから数えることも、わたしはずっと一人でやっていて、これを誰かに譲り渡すなんて想像もできない。
    (P.373)

     成長したあの子だと言われればきっと信じるだろう。そう思ってしまうくらい青年はあのときの少年の面影を引き継いでいる。しかし他ならぬその彼が、大人びた声で、あの子がもういないことをわたしに告げている。
    (P.391)

    (「私を数える」/高島雄哉)
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    投稿日:2019.07.03

  • 風博士

    風博士

    20190427-0503_座間味ダイビングツアー中に。
    アンソロジーであるため、作風は多彩。
    アイディアも多彩。
    気分を変えつつ読了。
    作者の言葉や解説も興味深い。
    お気に入りの作家や作品を深読みする手がかりにもなるかな。続きを読む

    投稿日:2019.05.05

  • bukuroguidkodama

    bukuroguidkodama

    長谷敏司『10万人のテリー』★*3
    さすがシンギュラリティ世界だからか対人対戦ゲームを5年間運営で調整2回で済む
    凄すぎる
    人間の想像力につきあってあげなければならないのは大変だ
    単体としては文章の癖が印象悪いかも

    下永聖高『猿が出る』★*3
    普通に対決してあっさり倒せてしまうところが独自後味
    長さのわりにはすっきりせずもうひとひねり欲しい感じ

    星野之宣『雷鳴』★*4
    硬式飛行船が行けるんだからまして地上専用ならばみたいな
    タイムマシンが実用化されてもそういうことが問題になるという落ちが秀逸
    作者らしい佳品

    理山貞二『折紙衛星の伝説』★*3
    郷愁雰囲気夏のロケット
    ブラッドベリもSF
    いまひとつ感興弱い

    草上仁『スピアボーイ』★*4
    カウボーイものというのが意外と目新しく良い感じ
    西部劇も時代劇のひとつだと思うけど
    娯楽活劇としては広がりが弱い

    円城塔『Φ』★*3
    泡坂妻夫作品風とでもいうべきか
    形式先立ち過ぎで
    この作者作品としては普通

    堀晃『再生』★*5
    外科手術を体験風に余談なく描いただけでありながら
    しみじみ感が良くできた一作
    短編小説かくあるべき

    田丸雅智『ホーム列車』★*5
    ショートショートとして過不足なく収まり良い一篇
    隅々上出来

    宮内悠介『薄ければ薄いほど』★*4
    希釈するほど薬として良いという
    理性に反するが納得させられる雰囲気を持つ事柄は面白いが
    まとまりはもうひとつ

    矢部嵩『教室』★-
    SFというか雰囲気ホラー
    ホラーはよくわからない
    悪趣味なら偉いのか

    伴名練『一蓮托生(R・x・ラxァxィ)』★*4
    R・A・ラファティ作品の変奏
    元がありきだが味わい再現度が上手
    もうすこし短くまとめて良かったのでは

    三崎亜記『緊急自爆装置』★*4
    題材どうこうより職場ものとして嫌々しく良くできている
    世界よこれが日本の職場だ
    他の国もこうかもしれないけど
    SFというかブラックコメディなのだがそこは弱め

    諸星大二郎『加奈の失踪』★-
    星野之宣と両御大を並べたい気持ちはわかる
    題材の「魚籠に加奈の首」というのも確かに前例が思いつかないお題ではある
    でもこの作品がそれはともかく面白いかというとどうか
    それはともかくというのが違うのか

    遠藤慎一『「恐怖の谷」から「恍惚の峰」へ-その政策的応用』★*4
    論文形式にしっかり合致した内容で高い評価も頷ける佳作
    「薬は薄いほど効果的」が理性と間隔の乖離を思い起こさせるように
    「不気味の谷」「恐怖の谷」「恍惚の峰」も想像されて面白いが
    『ビートレス』世界ほどひねらなくとも
    シンギュラリティ環境下ならではの落ちがあってよかったのでは

    高島雄哉『わたしを数える』★*4
    表題作と同じような感じだが
    核となる登場人物とそれが数えるという意義でSFに転回する設定が面白い
    秀作

    オキシタケヒコ『イージー・エスケープ』★*4
    娯楽活劇その2
    作成された背景上の必然か設定描写が多いが
    上手く収まっているのは他作品でもある良いところ
    登場人物が普通すぎて話の展開が狭いのが欠点か

    酉島伝法『環刑錮』★*4
    ファンタジー作家としての高い力量を感じさせる凡百にない独創
    自覚的に使いこなせていて偉い
    広く受けはしないにせよ狭く高く評価される作風

    宮澤伊織『神々の歩法』★*4
    『僕の魔剣が~』の一巻感想に書いたように
    良くできているけれどあまりこの作者ならではというのがない
    テンプレセリフ喋ってるだけでなく
    決めるところは決めるから幻蔵せんせいは良いキャラなんですよ
    作者もわかってるだろうけれども
    とりあえず選評にある「歩法の影薄」がその通りだと思う
    他の娯楽活劇『スピアボーイ』『イージー・エスケープ』と比べても
    一長一短に達しているので
    長所を磨いて頑張って頂きたいところ

    SFマガジンが隔月化して発表の場がますます減っているけれど
    電子書籍や私家版などでSFの勢いはまだまだあるぜな解説が
    時代を感じさせる2015年
    いや2014年の選集か
    今回これはと思ったのは堀晃『再生』次点で『ホーム列車』くらいで
    突き抜けた傑作というのがなかったのは残念
    来年でなくあと20日ないが今年に期待
    続きを読む

    投稿日:2018.10.20

  • 69hach

    69hach

    読むものに迷ったらつい手を伸ばすSF短編集いつもお世話になっています。なので『Φ』『薄ければ薄いほど』『ホーむ列車』は既読でした。高島雄哉さん『わたしを数える』が一番良かった!他の作品も読んでみたいと思いました。草上仁さん『スピアボーイ』好みの話過ぎて先が読めてしまいましたがそれでも良かった!御馳走様でした。続きを読む

    投稿日:2017.11.03

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