【感想】タイム・シップ〔新版〕

スティーヴン バクスター, 中原 尚哉 / ハヤカワ文庫SF
(4件のレビュー)

総合評価:

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  • 億の時を旅し、人類の果ての姿を見る

    私の陳腐な想像力の殻を2つも3つも突き破って展開する、果てしない未来の人類のカタチの描写。1800年代をオリジナルの時代とし、数十年~億の未来の人類とその進んできた道程をヴィジョナリーに見せてくれるこれぞ!SFという醍醐味あふれる作品。まるで数億年分の人類の変遷を自分が見ているよかのような。オリジナルのタイムマシンを読んだのはもう20年近く前ですが、読み返さなくてもこの作品の見せてくれるビジョン、十分楽しめました。続きを読む

    投稿日:2016.04.26

  • これぞオールタイムベストSF

    ウェルズのタイムマシンの遺族公認の続編という作品ですが、私がこれまで読んだSFの中でベスト級です。
    時間旅行家が未来世界で助けることのできなかったウィーナを救うために、再度タイムトラベルするという導入部から、過去に未来に時空を超えた壮大なスケールの旅が始まります。
    バクスターの描く小説は、クラークと同じく、人類に対する突き放した視点があるものの、科学とそれに取り組む生物(人類だろうがなんだろうが)への深い共感を底辺に湛えていると思います。このあたりが読者を選んでしまうかもしれませんが、バクスターのほかの作品に出てくる、(科学とは)「何を知っているかではなく、何を疑問に思うかだ。」という言葉に共感を覚える人は、本作品で描かれるスケールの大きな未来世界の描写や、時間の根源への旅といった物語にSFを読む醍醐味を味わい、深い感動を覚えるのではないでしょうか?
    長い小説ですが、科学が好き、SFが好きという人は読んで損は無いと思います。
    続きを読む

    投稿日:2015.08.03

  • 古典的だがハード

    古典的名作タイムマシンの続きとして物語が始まる。ところが急にガリバー旅行記のような社会諷刺的な展開となり、次にはロビンソン・クルーソになる。次には2001年宇宙の旅を遥かに超えたスケールの舞台で、時空間宇宙論を解り易く教えてくれる。しかし、最後は必然の輪を閉じて古典的に回帰することで、物語が終わる。
    古典の雰囲気と、主人公が19世紀の発明家なので、主人公を読者の投影とし、ほぼ通しで登場する奇妙なサブキャラが本作の作者の代わりに読者に解りよいようにハードな部分を説明する役割を担うように思う。終盤のスケールは圧倒的で自分も実際に観てみたいと熱望しだすが、私はそのうち無機質に感じ、知識の向上より人間性の方が魅力的に思えた。そういう意味では、終わり方は非常によかった。
    全般を通じて、ハードの部分が様々な時空の謎を教えてくれ、古典の部分が小説の面白さを醸し出している。優れた作品です。
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    投稿日:2015.07.13

ブクログレビュー

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  • bookmania1105

    bookmania1105

    このレビューはネタバレを含みます

    久し振りに読むのに時間が掛かった。哲学的な時間の解釈など、僕には分かりにくく、その上、物語の無理だと思われる設定に馴染めなかった。暗闇の中で暮らしているネボジプフェルが過去でも生きられる不自然さが気になったし、暁新世でのサバイバル生活が、いとも簡単に成り立っているのが納得出来ない。思慮深い部分と安易な部分の落差が激しく、読んでいてイライラした。暁新世の残された人々が、人類の祖先になれるとは、到底思えないし彼らは何故、そこに留まるのか?ともかく、突っ込みどころ満載の物語部分に呆れてしまい最後まで、僕にとっての小説の楽しみにであるのめりこんで夢中に読み込む事が出来なかった。
    僕に取っては、矛盾だらけの退屈な小説だった。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2018.11.29

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