kaznachさんのレビュー
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17
このユーザーのレビュー
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パインズ ―美しい地獄―
ブレイク・クラウチ, 東野さやか / ハヤカワ文庫NV
悪夢のような
4
悪夢を見ているようなストーリーで、もどかしく訳のわからない謎を追ううちに話に引き込まれていきます。謎の答えは・・・異次元とかオカルトとかいろいろな想像をみごとに裏切られる嬉しさを感じました。今は第3部…を読み始めていますが、ずっと高いテンションが続いて飽きさせません。FOXでこれを原作にドラマが始まっていたみたいで、読み終わったら映像のほうも見てみたいと思っています。 続きを読む
投稿日:2015.09.18
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航路(上)
コニー・ウィリス, 大森望 / ハヤカワ文庫SF
人間の弱さが切ない
4
臨死体験は何を語るのか?
死後の世界の存在を証明するものか、それとも死線をさ迷う昏睡の中の只の夢なのか?
主人公は、自ら実験台になりながら、その謎を論理的に解明しようとする。共に研究する仲間や友人、実…際に臨死体験をした様々な患者。中でも何度も死線をさ迷う経験をしている子供の患者はなんとも個性的で、コニー・ウィリスの別の作品でも子供が重要な役割をしていたが、最初は可愛いげのないワガママなガキだったがのが、最後は愛らしく、泣かせる存在となる。
物語の中盤の事件で、死後の世界を否定し、臨死体験を論理的に解明する立場で在りながら、そこでとる行動は人間の根底にある期待というか願いというか、作者は人間の弱さをさりげなく見せているように思う。
そして物語のエンディングは、非常に切ない。
色々なSF小説を読んできたが、コニー・ウィリスの作品はちょっと異質で、中でもこの作品は秀逸。出逢えて良かったと言えます。 続きを読む投稿日:2013.12.29
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スナイパー・エリート
スコット マキューエン, トマス コールネー, 公手 成幸 / ハヤカワ文庫NV
リアルに思える
3
アフガニスタンの現状や特殊部隊の現実など、平和な日本にいる自分には、ドキュメンタリー番組や小説の世界が全て。色々な軍事ミステリーなど読んで、色々なヒーローに出会っているが、スワガーのシリーズがお気に入…りです。この作品は訳者が公手さんで、公手さんの翻訳した小説は外れがないと感じており、スワガーシリーズも公手さんが訳者なので、期待して読むとやはり面白かった。この手のヒーローものは、終始ヒーロー中心に展開することが多いが、最初定番の主人公の能力の高さや家族との関係が描かれたあと、しばらくしてちょっと影が薄れ、女性パイロットと主人公が含まれない救出チームでストーリーが進む。しかし、これは終盤の救出劇を盛り上げる下地になっていて、とはいえ退屈でもなく、リアルに思わせるうまさがある。後半やっと舞台の中央に戻ってきたヒーローが、・・・。
最後まで盛り上がります。後は自分でお楽しみ下さい。私はこの作品はよかったです。次作はなさそう?なので、夏の夜の花火大会のように読み切ってください。 続きを読む投稿日:2015.07.04
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ラスト・タウン―神の怒り―
ブレイク クラウチ, 東野 さやか / ハヤカワ文庫NV
予想外でした
2
三部作ですが、一作品という感覚で第一部から第三部まで一気読みしました。実はあまり期待せずに読み始めた作品でしたが、最後の一行を読んだ時、思わず「オゥ」と声をあげていました。いろいろな要素が盛り込まれ、…いろんなストーリーの分岐を想像しましたがほとんどの予想を裏切ってくれたので、大満足です。 続きを読む
投稿日:2015.09.21
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犬は勘定に入れません(下) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎
コニー・ウィリス, 大森望 / ハヤカワ文庫SF
コニー・ウィリスらしい
1
最初から"何やら"分からない物を探しまくるお話。コニー・ウィリスが独特の時空理論で独自の世界を作り上げ、その中で歴史の齟齬を修正しようと主人公達がドタバタと走り回る。いつもは子供のところ、今回は犬と猫…がストーリーを盛り上げる。結局、時空は崩壊するのか、歴史は変わるのか、それとも・・・・。SFのような、推理小説のような、ともかく読むしかないね。とにかく、犬好き、猫好きなら飽きません。
続きを読む投稿日:2015.02.04
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レッド・ライジング 火星の簒奪者
ピアース・ブラウン, 内田昌之 / ハヤカワ文庫SF
いろいろな要素がからみあう物語のはじまり
1
身分を隠した復讐劇とか、どん底からの立身出世物語とか、ギリシャ神話みたいな神々と人間の物語とか、キングダムのような複雑に勢力が入り組んだ争いとか、ハンガーゲームのようなサバイバルとか、いろいろな切り口…で楽しめる。最初は主人公が復讐をすることになる経緯が語られ、そこから上流階級のエリートの中で頭脳と謀略で地位を上げていくのかと思いきや、血みどろのサバイバルの世界に投げ込まれる。支配階級もただではなれないと言うことか。このくだりからどんどん話にのめり込んでいきました。そして最後のページまで、主人公がどの道を選択するのかハラハラの展開でした。3部作の続編が今年の1月に出版されたとのことで、本書は火星を舞台にしながら、中世の物語のような雰囲気をかもしているが、続編は一気に宇宙空間を舞台にした艦隊戦になるのではと勝手に思い込んでいます。 続きを読む
投稿日:2015.06.11