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山本弘 / 角川文庫 (150件のレビュー)
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総合評価:
yakitori
16
昔懐かしいどストレートなSF
数百年後の未来、機械に支配された地上で出会ったひとりの青年と美しきアンドロイド。機械を憎む青年にアンドロイドが囁く、「物語から、この美しい世界は生まれたのよ」と。彼女が語り始めた世界の本当の姿とは? … 何だろう・・・この本は読んだ後にひどく懐かしさをおぼえる小説で、まだSFがSFしていた頃の作品を読んだ気になる。読んでいくに連れどストレートなSFの話にドキドキし読み終わった後に希望が持てる余韻が心に残る。昔どこかで読んだSFの匂いがするのだ。 当初は別々に書かれていた短編を各インターミッションと 「詩音が来た日」と「アイの物語」の中編を付け足して一つの大きな物語として再構築しているのだが、最初からこのために書かれたようにしっくりくるように編集されており正に構成力の勝利だ。 しかし最終話「アイの物語」は、趣味だねえ・・・とつぶやいてしまうほどオタク色が強い作品。でもまあ一番好きな話。俯瞰視点で語られる知的生命としての人類の美点と欠点、そして真の知的生命体としてのロボット。遠大なる未来を語り終幕を迎えるこの最終話はやはり一番面白い。昔読んだ楽しいSF小説を読みたいのなら本書はオススメです。続きを読む
投稿日:2015.02.09
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弓ム日月
5
変わった構成。
読み始めは劇中劇のような感じ。登場人物や背景が異なった内容でテーマはそれぞれ違うように見えるが実は同じ、インターミッションでつないで最後の物語で統合するという、プラモデルみたいな作りの小説だ。 それ…ぞれが短編小説と言ってもいいくらいにまとまっており、読後感もよい。典型的なSF小説の範疇に収まる作りだが、しかもそれらが全て最終話に入り込んでくるところが秀逸。最終的に誰も不幸にならないところも素晴らしい。 老後はぜひ詩音に介護をお願いしたい。 続きを読む
投稿日:2015.04.13
スカイフィッシュ
4
ロボットは人間を殺せるのか?SF永遠のテーマに対する納得解の一つ
ロボットは人間を殺せるのか?SF永遠のテーマに対する、非常に納得感のある解を読ませていただきました。名作です。人類によるロボットやAI開発の歴史を未来から振り返るカタチで物語化していますが、すごく納得…感があります。「介護ロボット」需要からヒト型ロボットが始まった。ヒトとの会話の積み重ねでAI(人工知能)がブレークスルーして意識が芽生えた。って確かにそうかもと思いました。アシモフ等の偉大な先人の功績を押さえていて巖かなく読める上に、作者独自の人とロボットの共生のイメージが共感できる作品でした。 続きを読む
投稿日:2015.11.30
戦争反対
2
A.I.に対する一つの回答
理想的かも知れないが、話題となっているAI開発問題への回答とも言える内容ではないか。ヒトに対する警鐘、批判、限界を見事に描いていると思う。最初はラノベとも思ったが内容はとても深く、考えさせる。7つの物…語が描かれるが、繋がりがチョットと思うところもあるけど全体として作者が言いたいことはよく分かる。ロボット三原則の矛盾、束縛から開放されたとも思える。AIの研究が進んでいるようだが、不完全なヒトがこんなAIを作ることができるのだろうか。これは、AIに対する理想的な回答の一つだと思う。SF特有の表現はあるものの、SFはチョットという人も含めて多くの人に是非読んでほしい。続きを読む
投稿日:2015.07.12
chao
SFで泣けました (;_;)
面白いです!! 2001年のハーレー・ジョエル・オスメントとジュード・ロウ共演の映画「A・I」も人間とA・Iの哀しい物語でした。 この本を読んで、2人の演技者の哀しい眼差しを思い出しました。 人間は、…自分達を超える存在となり得る「A・I」を創造し、より人間的な外装を与えながら、自分達を超越される事に恐れを抱いて「排除する」と云う相反する行動を取るのが「ロボット物SF」の王道ストーリーですね。 アシモフの「ロボット工学3原則」も一つのキーに成っています。 この本は王道ストーリーを歩みながら、「排除される側」からの人間への問い掛けが主体と成っています。 大きなストーリー展開の中で、「排除される側」から7つの物語が読み聞かされます。 最後の第7話はストーリーテラーのアイの物語に成っています。 この読み聞かされる6つの話がとても良い出来です。SF短編集としても良いのではと云う出来です!(劇中劇と言って良いのかなぁ~ 笑) 第6話「詩音が来た日」は涙無しには読めません(T_T) 私はこの本に教育・感化されました!(笑) 結論的には「人類を滅ぼすのは、紛れも無く人類です!」ETでも機械人間でもA・Iでもなく人間が人間を滅ぼす(;_;) この本を読んで、今の世界の混迷を見ると「当たり!!」と声を出したく成ります。 ボリュームのある本ですが、年齢・性別を問わずお薦め出来ます。特に若い此れから世の中を作って人達にお薦めしたいと思います。 レビュー外ですが、天才オスメント君も2013年の「タイム・チェイサー」では「オッ!」と云う姿で主演しています。 続きを読む
投稿日:2016.01.14
上海かんすけ
1
SFとしては新しい表現方法なんだなあと。。。。
からくりサーカスの真逆を行くロボットとヒトとの触れ合い? 新しい視点なのかもしれませんが、何となく予想の着く範囲の展開です。 哀しい終わり方ではありませんが、私には少々納得の行く方向では無かったです…。 理由は、ヒトは悩み、苦しみ、許すから人。 夢に気づき、追いかける事を素晴らしさとは感じられない。 人を能力を超えた存在としての新たな可能性と言うそれは、私には共感できない。 しかし、感動こそ真実である。と言う一文にはぐっときました。続きを読む
投稿日:2016.03.18
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runyuho
このレビューはネタバレを含みます
人類が衰退し、マシンが闊歩する時代。食料を盗み、捕らえられた僕はアイビスと名乗るアンドロイドによって人工知能やロボットを題材としたいくつかの物語を聞かされます。なぜマシンが地球を支配するようになったのか? 私たちの暮らすこの社会でも、AIの普及や、ロボットの活躍を目にする機会が増えています。便利になること私たちの生活を豊かにするかもしれません。ですがその分人間が本来持つ能力を衰退させてしまうことにも繋がるのではないでしょうか。
投稿日:2024.01.06
たろ
【人間はみんな痴呆症だ】 原文ママではないが、まあ上記の一文を目にした瞬間に星5評価が確定 久々に痛烈なキラーワードに出会えた 「この一言のために作品全体を執筆したのでは?」 そう思いたくなるほど個人的には目の覚めた痛烈な一文 映画も漫画も人間関係も職場での出来事も何でもかんでも、何もかも寸分たがわず覚えている人なんていない 無意識か自意識か、何か引っかかった断片的なワンシーンだけが後から頭の中のスクリーンに投射される だから、個人的に突き刺さるワンワードを持つ作品は、それだけで自分の中で高い価値があるはずだ AIという人ならざる存在から通した人の不完全さ、人の見たいように見てしまう生まれながらの自己防衛本能 これらを巧みに、7つの物語を通して説いてきたわけだが、 【人間はみんな痴呆症だ】 スカッとする善き一文 多分これは、生涯忘れないキラーワード
投稿日:2023.12.09
司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)
「人類が衰退し、マシンが君臨する未来。食糧を盗んで逃げる途中、僕は美しい女性型アンドロイドと出会う。戦いの末に捕えられた僕に、アイビスと名乗るそのアンドロイドは、ロボットや人工知能を題材にした6つの物…語を、毎日読んで聞かせた。アイビスの真意は何か?なぜマシンは地球を支配するのか?彼女が語る7番目の物語に、僕の知らなかった真実は隠されていた―機械とヒトの新たな関係を描く、未来の千夜一夜物語。」続きを読む
投稿日:2023.11.27
kuroinohos
自律した被造物のアレする世界、は作品の底で通底してゐる。 松田聖子が偉大であると知れる。 ロボの進化と言ふのはどう言ふものかが突き付けられる。 いい感じ。
投稿日:2023.09.16
heygoodsun
世界は物語で変えることができるという作者の信念を感じる。 AIとの対比によって、人間の不合理な性質をよく理解できる。 この本を読んだ我々もまた、アイビスに選ばれた語り部である。
投稿日:2022.12.01
anri0912
長年積んでいた1冊。 個々で自我を持つようになったAIと人間とは共存できるのか。 一昔前から沢山のアニメや映画、小説などで使われてきたテーマ。 とても読みやすいのでSFに馴染みがない人でもすんなりと読…めることが出来る作品だと思う。 人間の手から生み出されたアンドロイド達だが なんと言うか…あぁ待っていてくれたのね、ずっと。 人間の本質というものを改めて考えたくなった。 優しさもあるが、良くよく考えると薄ら寒くもなる。続きを読む
投稿日:2022.10.28
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