【感想】辞めない理由

碧野圭 / 実業之日本社文庫
(27件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
3
12
8
0
0
  • 読み終えて思う。いいタイトルだ。

    うん、面白かった。爽快。主人公が理不尽な目にあって駄目社員の吹きだまり部署に異動、しかし‥というお約束ストーリー、加えてご都合主義もなかなかのもの。でもそれがそんなにいやじゃない。作者の巧さで、気にならない。
    例えば登場人物の造形や本筋からそれた部分での、あるある感やいるいる感。こうした部分は大事。
    そして、作中での主人公の成長。最初はその不運な情況に同情はしても、「自分に非は無い」ぶりが引っかかっていた主人公だったが、仕事や家庭や、色々な出来事を経て成長し、最終的には全面的に応援させられていた。こうなればどんなお約束な出来事も気にならない、まんまとやられてしまった。
    そうなればもうあとはとことんやってくれた方がいい。お約束がドミノ倒しのように次々発動していく様を楽しみたい。その点で本作は申し分ないといえる。もう大満足。
    とはいえ、あまりにお約束が過ぎる、と感じる人もいるとは思う。現実はそんなに甘くないですよ、と。そういう意味では「全ての働く女性必読」とはいかないかもしれない。が、作中で触れられている「辞めない理由」は所詮小説、としても多くの人はぐっと来るんじゃないかな。ちょっと誤解を招いたかもしれないけど、単にスカッとストレス解消するだけの作品ではないことを述べておきます。
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    投稿日:2015.09.27

  • 1+1を3にしよう

    仕事がばりばり「できる」と思い、自社初の女性編集長を目指している雑誌副編集長の和美。
    部下に指示を出し、それをチェックし、だめ出しをする。
    残業を厭わず、仕事優先で周囲にもそのような仕事の仕方を求める
    そのような状況で、いつしか周囲から疎んじられ、はめられて左遷者専用の新雑誌準備など手がけていない「新雑誌準備室」へと異動となる。
    しかし、そこでくじけず、家庭、仕事、仲間とうまく折り合いをつけやっていく方法があることに気づいていき、やがて・・・といったストーリー。

    最初の和美は、私たちが陥りがちな「仕事ができる」を勘違いしている人の典型だといえる。
    それは、与えられた仕事をばりばりこなせても、それが「仕事ができる」という評価につながらないということにだ。
    時が経ち、部下ができてきて、「自分の背中を見て育て!」では、時代について行けなくことにも、人を育てるということにも、取り残されていく可能性がある。
    しかも、人の短所を指摘し、ここがダメあそこがダメとやっていると、人を伸ばすこともできず、いつまで経っても残業残業の毎日で、自分がちっとも楽にならないのだ。

    だからこそ、会社には複数の人たちが雇われている。一人では処理できないことを複数で処理することによって、より大きな力が発揮できる仕組みだ。
    なにも、いがみ合うために複数の人々が雇われているわけではない。自分との違いは「個性」としてとらえ、それを伸ばしつつ、自分も高められていければいいのだ。
    和美も最後は、そのような状態になっていく。仕事に求められているものは、明らかに年代ごとに違うのだ。とはいえ、人間関係は難しいけど。

    もし、和美と同じように毎日へとへとになっている管理職手前の人には、「課長になれない人の特徴 今の上司には何が求められているのか」(PHP新書) もおすすめ。
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    投稿日:2015.10.17

ブクログレビュー

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  • ヒイラギ

    ヒイラギ

    碧野圭さんは、働く女性を描くのが本当に上手い。働くことの辛さと楽しさを巧みに表現する。
    さらに本作品では、ワーキングマザーの視点が色濃く描かれていて、他人事とは思えずに物語の世界にグイグイ引き込まれた

    『書店ガール』シリーズよりは、単発モノだけあって若干さらりとまとめられている感はあるが、安定の面白さ。

    働く女性におすすめの一冊。
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    投稿日:2024.02.13

  • 甘いパンよりしょっぱいパン

    甘いパンよりしょっぱいパン

    このレビューはネタバレを含みます

    七瀬和美
    人気女性誌「Fame」の副編集。三十七歳。新雑誌準備室に異動。

    馬場孝之
    三十歳。半年前に営業部から異動。目立つ記事や、自分の手柄になりそうな仕事は頑張るが、それ以外のページは手を抜きがち。真野のお気に入り。

    岸本秀三
    もう一人の副編集長。三十五歳。細かい処理能力に欠ける。

    真野勝久
    雑誌三課課長。編集長と兼任。四十二歳。勝田は営業部にいたことがある。馬場とはその頃から麻雀仲間だった。

    絵里
    和美の小学校一年の娘。

    田原恭子
    ハウスキーパー。

    七瀬治彦
    和美の夫。和美と同じ会社の管理部門。

    黒木麻美
    和美の部下。「Fame」のただひとりのの女性の正社員。

    長崎聡子
    雑誌三課の「レア」副編集長。

    森本拓也
    和美の部下。馬場と同期。温厚な性格。

    鈴木玲奈
    契約社員。

    宮野
    契約社員。

    浅賀
    部長。四十代半ば。

    水沢圭吾
    絵里の担任。

    深町健吾
    和美さん以前の上司。宣伝部次長。

    三宅いずみ
    以前雑誌三課で「レア」の副編集長をしていた。二年前に移動して、今は営業部に在籍している。社内三美人のひとりともいわれる美貌の持ち主。

    田村清司
    新雑誌準備室室長。

    静香
    絵里が夏休みに参加したサマー・キャンプで同じ班だった。

    田所
    営業部。

    岡田俊治
    新雑誌準備室の最年長。かつては俳句雑誌の編集長だった。

    樋上秋恵
    新雑誌準備室。五十代前半。書籍事業部に長く在籍したいた。

    澤田慎吾
    新雑誌準備室。二十代。雑誌一課にいたが、有名作家の名前を別の作家と取り違えて掲載してしまった。その責任を取らされる形で左遷された。

    久木乃利子
    新雑誌準備室。ベリーショートでよく日に焼けた、活動的な印象。二十代前半。半年前まで『スポーツ・ライフ』の編集部にいたが、突然新雑誌準備室に異動辞令が出た。

    小田真奈美
    広告部。課長。四十代後半。

    藤田昭雄
    クロス・フィルムの宣伝マン。

    木田優樹菜の母
    和美と同じマンションに住む二年生の母親。

    葛西真知子
    ライター。和美が学生時代にあるバイト先で出会って以来、十五.六年のつきあい。

    戸川
    雑誌一課の『ヴィンテージ』の編集長。


    桂デザイン事務所。

    永井巧人
    デザイン事務所パラレル・ワークス社長。


    パラレル・ワークスの有望な新人女性。

    田中
    広告部部長。気難しいことで知られている。

    真行寺清人
    人物写真を撮らせたら右に出るものはいないといわらる人気カメラマン。

    MIMOZA
    三十代の女性には圧倒的に人気があるシンガーソングライター。

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    投稿日:2024.01.02

  • masajichan

    masajichan

    このレビューはネタバレを含みます

    評価は3.

    内容(BOOKデーターベース)
    共働きで小学生の娘を育てながら、人気女性誌の副編集長を務める七瀬和美、37歳。男社会で肩肘張って奮闘するが、突然理不尽な降格を命じられ、閑職に追いやられる。学校では娘をめぐるトラブルも発生。苦境に立つ和美が「働いてるママが好き」という娘の言葉に触発されて挑んだのは…。お仕事小説の旗手が放つ、痛快エンターテインメント!

    最後には大逆転な話。良くある話であるが、時折「そうそう!」と同感できる出来る部分が有ったのが救い。確かによく働くが・・・やっぱり旦那がいて子どもがいて仕事もあって、何もかも持っているんだから、文句言うなら辞めればとなってしまうのは独身女のひがみか?

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    投稿日:2020.02.28

  • sakuramura

    sakuramura

    このレビューはネタバレを含みます

    一人娘を育てながら、人気女性誌の副編集長をしている主人公が突然理不尽な降格を命じられ、学校では娘をめぐるトラブルまで発生するが、それでも会社を辞めず、自分で自分を励ましながら働き続け、復活を遂げるお仕事小説。
    『書店ガール』シリーズ碧野圭さんのデビュー作、ということで読んでみた。2014年の作品だけど、出版社の編集という仕事柄、締め切りに追われ、残業も多いことは想像が容易で、当時は今よりもさらに、母親が働くには家庭・自分の精神的な犠牲を伴う環境だったのだろうと察する。その状況がすごくリルなのは、碧野さんご自身が同じような経験をしてからだと解説で語られている。

    前半は、主人公の少し頑張りすぎている姿と、一転して次々と受ける理不尽な仕打ち、配慮のない上司や同僚の態度・言葉、頼りない旦那にこちらも心が折れそうになった。
    それでも、「見返してやる」「娘に逃げる姿を見せられない」という強い気持ちで会社に残り、腐ることなく、新たな挑戦に挑み、周りとの協働で、主人公自身も柔軟に変わっていく姿に、やっぱり働くことっていいなと思った。
    旦那の協力もあまり得られない中、子育てをしながら働くってとっても大変で、疲れてイライラしたり、ときにはヒステリックになったりしちゃうことだってあるけど、子供は頑張っている母親を見ていてくれるし、母親だからこそできる仕事のやり方、考え方があるから負けずに頑張ろう!と励まされた。

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    投稿日:2020.02.26

  • lbsh

    lbsh

    ファッション誌の副編集長でもあるワーキングマザーが主人公。最初の展開はあまりにも主人公が可哀想すぎて読んでて頭にきたものの、最後はすっきり大円団。ご都合主義なところはあったものの、スカっとしたなー!

    投稿日:2019.11.11

  • natsu

    natsu

    書店ガールシリーズを読破しているので、いつも通り面白い、という感想。陸王と下町ロケットのようにストーリー展開は基本的に同じ。

    投稿日:2019.02.16

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