shigehachimanさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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家族という病
下重暁子 / 幻冬舎新書
余計なお世話
9
Amazonではとても評価が低いけれども、紙の本ではベストセラーの帯。どういう内容なのだろうと読んでみました。
評価が低いと思えるのは、自分の家族に対する考え方や生き方こそが正しいとひたすら押し付け…がましいところ。一人一人が個人として生きていこうという割に自分の考え以外は、大したことがないというように言葉のはしばしに感じられる。家族が大事という人は認められないみたいだが、そういう考えの人を自分の考えで、おかしいと断言してしまうのは、全く「余計なお世話」だ。この点で星一つ。
けれども、家族であっても、個人としての人格を尊重して接していこうという価値観は、こういう考え方もあるのだと感じられました。自分と異なる価値観を垣間見られたので、星四つにしました。
ただ、家族に対する自分の主観を書き連ねているだけの感想文ですので、何の教養も知識も身につかないことは覚悟してお読みください。幻冬舎新書は、こういった読むだけ無駄な感想文が多いですね。
続きを読む投稿日:2016.01.23
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言ってはいけない―残酷すぎる真実―
橘玲 / 新潮新書
まさしく「言ってはいけない」
6
前書きに「これは不愉快は本です」とあるが、全く不愉快には感じなかった。むしろ、納得できる部分も多く、吸い込まれてしまいました。
前半部は、頭の良さは遺伝するかといったことから始まります。実は、子育て…をしていて、「鳶が鷹を生む」ってないなぁと感じていたけれど、それは進化論から仕方が無いことの一つのようです・・・そして、妙に納得できたりします。
また、後半部は、性(性行為だけでなく性差や発育)についてが描かれます。
例えば、女性は、社会的(経済的)成功よりも、子育てなどの人とかかわる仕事(どちらかというと社会的成功とは言い難い)仕事を望んでいるといった女性も活躍する社会を目指している日本では「タブー」と思われ内容を論じています。これなどは、社会的要因によって女性は貶められてきたと主張するフェミニストなら噴飯物でしょう。
しかしながら、この本から得た知見は、他人に安易に話さない方がいいと思います。なぜなら、様々な研究を援用している所々で、著者の推論がほどよく隠されているからです。その推論の根拠は、どこにも示されておらず、また、この手の話しは、読んだ著書の偏りによっていくらでも都合のいい部分だけを寄せ集めることができる可能性があります。
原典にあたって、さらにその反論を読み、理解して納得ができるなら、他人に話しても問題ないでしょう。それは、この本が危険というわけではなく、他人のいうことを鵜呑みにして、自分の意見のように語ることはその人の底が見えて危険だからです。
また、子育てに関していえば、親の思うように子は育たないという夢も希望もない話しを正当化してしまうと、世の中の親は、「自分の思うような人に子を育てたいと思っている」ということになってしますが、私は全くそんなことはなく、むしろ、親のいうことに反発して欲しいと思っています。
私達は「進化論」だけが、正しい学問ではないことを認識しておく必要はあります。
続きを読む投稿日:2016.09.08
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家族という病2
下重暁子 / 幻冬舎新書
おばあちゃんの雑感
5
1人1人個人として生きようという価値観はいいと思う。
しかし、それを裏付ける論拠は偏見に満ち溢れ、統計学的手法を採ったわけでも、科学的論拠を示したものも何もない。
いわく、エリートは打たれ弱いだの、…問題のある家庭の子の方が難なく親を乗り越えていき健全に育つだの
おばあちゃんの身の回りのたった一つのサンプルだけで語ってしまう狭隘さが目立つ人生感想文だ。いわゆるエッセーなのでしょう。
私は、エッセーというジャンルは人を楽しませる文章を書くものと思っていました。
けれども、この著書は、読んでいて全く面白くなく、むしろ不愉快極まりないです。
自由であるべきだなんていうけど、自分にとって都合のいい自由しか認めない押しつけがましさ(1巻目もそうでした)。
年賀状に家族写真を載せるなんて気が知れないなんていうけど、送ってこないで欲しいときちんと相手に言わず、
毎年しょーもないもんをを送ってきてやがってと陰で悪口を言うたちの悪さ――。
自由人なら相手に不要と言ってあげればいいのに・・・。
世の中には当然、打たれ強いエリートだっているし、問題のある家庭だからこそ親なんて簡単に乗り越えられるだろうし、
家族写真の年賀状も、私は意外に好きだ。
自由を手にしている人ってこんなに「自由、自由」なんてうるさく言わない気もするし・・・。
結局、この人の人生の感想文なのです。こういうのが好きな人はどうぞ。
読書で知識を得たい人、非日常感を味わいたい人、読書を文芸(エンターテイメント)の一つとしている人には
到底オススメできません。
(追記)
上記は、半分ほど読んで書いたものですが、頑張って最後まで読みました。評価は変わりません。
この本の論理構成は、
私の生き方が正しい→私と同じ生き方(この方のいう個を主体とした生き方)をしている人は素晴らしい人となっているが、
家族によって自分のやりたいことを制限した生き方や家族を大事にする生き方をしている人はろくな人生を歩んでいない
→だから、私のような生き方は正しいし、そのような生き方をすべき。→その生き方とは自分という個性だけを第一優先に
した生き方で、それ以外の生き方は碌なことが無いので止めるべき
という風になっていて、結局「私だけが正しくて、他は碌でもないので、みんな私の生き方を見習いいなさい」という本に
なっているため、全く共感できません。
この本の中で共感できたのは、この方が開いているエッセー教室の生徒さんの作品です。介護について書かれていますが、
非常に前向きで清々しく自分もこうありたいと思わせる文章でした。それに比べ、後ろ向きで自分がいかに素晴らしい考え方
をしているか延々と周囲を貶めて書くやり方にそんなに自己防衛しないと生きていけないんだと感じました。
私の人生の中で駄作のベストテンに入る作品ですが、駄作を書かれる方は、年寄りが多く、共通している点は、
自分の過去の栄光をとても素晴らしいと自己賞賛し、周囲の人を貶めて描き、自分の優位性を強調する書き方をする人です。
この文章はまさしくそれで、今後もこのような文章しか書けないようであれば、引退を考えた方が良いと思います。
続きを読む投稿日:2016.12.04
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愚行録
貫井徳郎 / 東京創元社
誰が犯人だ?というのは重要ではないかも。
5
閑寂な住宅街で起こった一家惨殺事件。一家と関わりのあった人達を取材していく形式で物語は進む。
途中織り込まれる誰だかわからない兄妹の境遇。
その表現形式に慣れるまでに、半分を読み進めなければならなかっ…た。
4分の3読み進めたあたりから、格段に面白くなる。
それは、同じ人を違う立場から見たら、こんなにも異なるものかとういう視点。
そこから一気にフィナーレまで突き進む。あぁ、この人が犯人だったんだぁ・・・・だけでは終わらない悲劇。
物語に入り込むまでに時間がかかるため、星三つにしたけど、読み切った後は、星4以上になる不思議なミステリーと思います。
読み終わった後には、一番最初の新聞記事を読み返しましょう。 続きを読む投稿日:2015.05.01
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ひとりぼっちを笑うな
蛭子能収 / 角川oneテーマ21
自由に生きよう
5
2014年にNHKラジオで行っていたビブリオバトルで、アンガールズの田中が勧めていて、興味があったので購入しました。
冒頭では、漫画家というひとりでもできる職業の引きこもりジジィが、人付き合いに意味…ある?なんていう調子で進んでいきます。
そのため、「なんでこんな本買ってしまったんだろう?読むの止めようかな?」なんて思っていたのですが、それを超えると、調子が変わってきます。
おそらくテーマは、「自由に生きよう」ということ。誰かが決めた枠組みを取っ払って、肩の荷を下ろして、自分の思うことを思うようにやってみようよということだと思いました。
「何々しないといけない」「友達は多い方がいい」「勝ち組に入らなければならない」といった自分を縛る生き方は止めようということ。
「したいことをやる」「友達が多くなくても、気楽に話せる人がいればいい」「自分が幸せを感じられればいい」という生き方で十分ではないかということ。
同感を感じつつ、なかなかできないことでもあります。
ただ、この手の個人の人生論やいろいろな自己啓発本は、あくまでその個人の考え方であって、まねしようと思って読んではいけないということ。
自分は著者ではないので、著者にはなれないですし、すでに実践されている生き方をまねするのは疲れるだけで目新しさもないですから。 続きを読む投稿日:2015.03.18
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キケン
有川浩 / 角川文庫
誰にもあるであろう青春の一コマ
4
誰にでもありそうな青春の一コマが、マンガを読むような展開の早さで一気にたたみかけてくる。
一時の気の迷いや友達がとにかく欲しくてとか、半拉致状態で勧誘から抜けられなくてとか、色々事情はあるけれども、
…誰も入りそうにないサークルに入ってしまうも、その活動にのめり込んでしまい、大学生活のほとんどをその小さな世界
で過ごしてしまう青春――――――。
そんな時代に一気に連れて行ってくれる物語で、紙の本で読んでから電子書籍になるまでずっと待ってました。
大人になると懐かしくも少し近寄りがたいいい思い出を、いい具合に読ませてくれます。
ただ、場所に余裕のある方には、「単行本」がおすすめ。各章の扉がマンガになっていたり、最後の方にあるジーンとくる
ページがドーン!と目に入ってくるのは、単行本ならではと思います。電子書籍なら大きめのタブレット推奨かな。
とにかく、Readerでのそのページの表示のガッカリ加減は半端ない残念さです。すぐに、iPadで該当ページを開く羽目
になりました。その点で★マイナス1。
ばかげたことに時間を使いまくった経験のある方なら、共感できると思います。物語は文句なしに、★五つです! 続きを読む投稿日:2016.07.14