【感想】アイリウム

小出もと貴 / モーニング
(4件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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  • 単なる発想の勝利で終わらないSF

    飲んだ時点から任意の時間の記憶を飛ばすことができる、アイリウムという向精神薬が普及した世界を描いた短編集です。

    基本的に現代日本を舞台にしながらも、多岐にわたる職業・境遇の人々が描かれていて、物語りや登場人物の持つ価値観の幅広さに驚きました。
    ママ友の話は下手なホラー漫画よりずっと怖いし、ロックンローラーの話なんかはとても泣けますし、ホストの話は手に汗握る展開でした。ただバラエティーに富んでいるだけでなく、とても濃い内容となっています。

    同時にどの話も、自分の記憶とどう向き合って生きていくのか、という主題は共通しており、とても考えさせられます。

    荒唐無稽な設定ではありますが、ただ発想が面白いだけじゃなく、普遍的なテーマが表現されていて、その点がSFとしてとても質が高いと感じました。
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    投稿日:2017.03.26

ブクログレビュー

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  • anatra

    anatra

    一定期間の記憶を飛ばせる薬物、アイリウム。
    様々な人の視点で書かれるアイリウムのある世界。
    誰しも嫌な記憶は消したいと思ったことがあると思うが、嫌なことを記憶から消したところで本当に幸せなのか、、、 薬物系SFって結構好きなジャンルなので良かったです続きを読む

    投稿日:2020.07.20

  • 静華

    静華

     ある薬さえ飲めば、未来に行ける。
     記憶喪失を引き出すドラッグ・アイリウム。
     1粒飲めば、24時間後に24時間分の記憶を失うことができる。
     嫌な記憶に遭遇したとしても、それをなかったことにできるのだから。
     シラフの自分が行動しているから、あまりにも変な行動はしないだろうし、嫌な気持ちになるのをなくせる。
     ああ、なんと素晴らしきかなアイリウム。
     とにかく次の日の自分、その次の自分に気持ちを押し付ければ、自分はつらくない。
     どれが夢なのか、何が夢なのか、それすらもあやふやになる。
     そんなお話。
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    投稿日:2019.06.17

  • tachiken

    tachiken

    飲んだあと、決まった時間だけの記憶を失うという薬「アイリウム」を巡る短編集。記憶の連続性は個人の自己同一性を支える重要な要素だが、それを意図的に断ち切れるとするならば、人はどんな「人生」を送るのか。人の人生とは何なのか。それを想像力豊かに描いた作品がこの「アイリウム」である。
    明日の自分は、本当に今日の自分と同じ自分なのか。思わずそんな問いを自問自答したくなる傑作。
    続きを読む

    投稿日:2014.12.07

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