【感想】「伝説」はなぜ生まれたか

小松和彦 / 角川学芸出版単行本
(4件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
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  • 伝説―歴史と物語―

    レヴィ=ストロースや柳田国男から上手く引用しつつ、まず、オセアニアの一地域を例に挙げ、そこから日本の伝説に迫っていくという構成をしている。
    伝説には歴史に近いものと物語に近いものがあるという主張から始まり、本邦の本地垂迹説、今昔物語等の資料からの抜粋と考察はさすがと思わせるものがある。
    値段はお高めだが、今昔物語や王朝物語秀歌選などを見ても今一つピンと来なかった古代人の思考を上手くなぞれる一冊だと思う。
    それにしても、最後に付された脚注を見るに書くというのは難しい仕事だなあと思う。
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    投稿日:2015.08.15

ブクログレビュー

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  • mickeymeguj

    mickeymeguj

    能登の洞窟にひそむ猿鬼、戸隠の山に棲む九頭龍、琵琶に宿る精霊……。物語ることの意味を解きあかす神話学を背景に、日本人が愛する伝説を読み直し、民衆の心性と歴史、王権と人身御供にせまる伝承論!

    投稿日:2019.09.08

  • 鴨

    序で神話学や歴史、文化史などの観点から「神話」をとらえ、また1~5章の内容を先取りして触れているので、読み終わった後に又序を読み返したくなる。

    1章では能登の旧柳田村に伝わる猿鬼伝説を扱う。猿鬼を退治した神々の変遷を通じて「誰が」「いつ」「どのような視点で」猿鬼や諸神の物語を伝えたのか、また現代に置いてもどのように猿神伝説が伝えられ・創作されているのかを見る。
    2章では御伽草子・いざなぎ流祭文それぞれで描かれる「天竺」観を探る。本朝・唐と並び称される天竺であるが、唐とどのように差別化されていたのか、仏教的要素が消えてしまっているいざなぎ流祭文ではどのように語られているのか、について論じる。
    3章では戸隠奥社の燈明役が毎日行う御供について、歴史資料を引きながら探る。
    4章では琵琶にまつわる怪異・伝承について、今昔物語集や文机談などから逸話。琵琶法師など民衆と琵琶との接点がなかったわけではないが(→耳なし芳一等)、貴族の楽器に留まっていたため一種の「エリート・ロア」として琵琶の怪異が語られていたのではないか、と論。
    5章では異界・異人および天皇に付いて。猿鬼伝説・いざなぎ流祭文などにおける雨乞いおよびそれに伴う人身御供に注目し、異人を生贄に捧げる→異人が生贄制度を破壊し新たな位置を占める経過を描く。さらに天皇制と地域の信仰との関係(→ex.猿鬼伝説の変遷)から、「天皇という異人」また「天皇に対する異人」を考察。
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    投稿日:2013.09.28

  • 森まと momato

    森まと momato

    追うテーマごとに章を分けている。今後こういったことに目を向けたい、こういう研究が待たれる、といったラフスケッチもいくつかあり、今後の展開が気になる。

    投稿日:2013.08.30

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