【感想】くちびるに歌を

中田永一 / 小学館
(246件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
57
103
57
8
0
  • 爽やかな青春もの

    五島列島の穏やかで自然溢れる透き通った明るさに包まれたような物語
    少々出来すぎ感もありますが
    青春ものらしく素直に感動できる話だと思います

    投稿日:2013.12.27

  • 恋とスポーツだけが青春じゃない!

     これまでも、アンジェラアキのあの曲は、様々な作品の素材となってきました。それだけドラマチックなメロディーと誰しも共感できる歌詞を持つ名曲だということです。
     この小説は、十五歳という自分だけでは何も解決できないような閉塞感の中、合唱そしてNコン出場という共通目的に向かって仲間たちと進んでいくなかで、何かとても大切な物をそれぞれが掴んでいくというお話です。その舞台となるのがこれまた五島列島という、いわば閉鎖された社会。いずれここを飛び出すか、このまま残るか、その決断も大きな人生の転換点となるわけです。
     話の進め方は、それぞれの登場人物が代わる代わる書き手を担当するスタイルなので、最初は少々戸惑いました。しかし、読み進めている内に、書き手が誰だかすぐわかるようになります。それだけ、人物設定がしっかりしているということでしょう。また、音楽系サークルに属したことがある人なら誰でもたぶん経験があること、たとえば、パート練習が誰も合図をしていないのにいつの間にか一つになるところとか、出番待ちのあの緊張感の描写などは、そうそうそうなんだよねぇと思わずうなずきました。さらに、「柏木先生が腕を振る。さざなみのように声がひろがった。それは声というよりも、あたたかい水のようだった。…中略… 窓辺でおしゃべりをつづけていた生徒たちは、いつのまにか無言になり、全員が中庭の合唱部員たちを見つめていた。」どうですこれ。まさにその光景が目に見えるようではないですか。
     勿論、青春モノならではの笑いもありますよ。外階段の下に「青春」があるんですよ。それが何かは読んでからのお楽しみ。
     そして物語は色々紆余曲折しながら、いよいよクライマックスの県大会を迎えます。でも、本当のクライマックスはその後にあるんだよね。私は不覚にも涙を流しましたよ。
     今年2月には映画も公開されるとのこと。あの名曲を取り入れた過去の作品の中では「書道ガールズ!!わたしたちの甲子園」におけるシーンが印象に残っています。さて、三木孝浩監督がこの原作をどう料理するか、今から楽しみです。
    続きを読む

    投稿日:2015.01.31

  • 青春を思い出す

    Nコン(NHK合唱コンクール)に参加したことがある人なら、必ず「うんうん」と共感しながら読める作品です。
    参加したことのない人でも、青春時代を懐かしく思い出せる素敵な作品です。

    投稿日:2014.12.01

  • 運とは人との出会いで切り開かれる。

    いやー、面白かった。単純に合唱部の男女仲が悪くなったのが、ある出来事で一致団結してハッピーエンドを迎える作品ではないからです。そして、この作品に出てくる大人は決して格好良くありません。良くも悪くも子供達より経験があるだけの一人の人間として脇を固めてる存在であるため、子供達の心情の変化が「大人」の干渉で歪められた印象がないのも楽しめた要因だと思います。

    物語は合唱部がNHKの合唱コンクールに挑戦することを軸にして進んで行きます。
    合唱の構成が女子のみと男女混合では、コンクールの課題曲が変わるというのも初めて知りました。
    男女混合の課題曲は「手紙」。歌詞の内容は15年後の自分に宛に手紙を出すという内容なので、歌詞の内容を深く感情移入できるよう、合唱部全員に15年後の自分に手紙を書くよう宿題を出されます。この宿題が物語後半に深みを与えています。
    生徒一人一人が主人公ではありますが、たぶんメインの人物を一人あげろと言われたら、「桑原サトル」が最有力でしょう。
    彼はある意味事故で合唱部に入部することになりましたが、人と出会いを重ねることになります。出会いを重ねる事に彼は成長していきます。
    スティーブ・ジョブズの言葉に「運とは人と出会うこと」や科学的に運を検証した矢野和男氏の「データの見えざる手」でも運は人との出会いでもたさらされると結論付けています。
    彼は、この作品の前と後では立ち位置や人生そのものはなんら変わっていませんが、見える世界は確実に光り輝いていることでしょう。
    読後は、本当に心地より気持ちになれました。
    続きを読む

    投稿日:2016.04.02

  • かわいすぎる

    島という閉ざされた 噂なんかすぐ広がっちゃうような ちいさなコミュニティのなかで 悪いこともたかがしれていて 東京に憧れていて 合唱に一所懸命うちこんで なんてかわいい子達なんだ 映画も見たいなぁ  

    投稿日:2015.03.08

ブクログレビュー

"powered by"

  • keiko

    keiko

    よくある山あり谷ありの青春ストーリー。
    でも、家族の絆や地域の人間性は、五島列島ならではの背景なのかな?良かった。
    最後に些細な繋がりが見えて感動。

    投稿日:2024.03.16

  • ハッピーアワーをキメたK村

    ハッピーアワーをキメたK村

    引き続き中田永一さんの青春小説

    五島列島の中学が舞台
    ボッチ上級者のサトルと男性不信のナズナ
    人には言いたくない深い悩みを抱える二人を主人公として、合唱部の先生と仲間達がコンクールに出場までの話がメイン
    サトルもナズナも仲間達と触れ合いながら少しずつ変わっていく
    美人で男子の憧れの的、柏木先生
    ぶっきらぼうなキャラが意外だった〜笑
    みんなの五島の言葉が素朴で温かい
    読んでいるうちに、私にも喋れそうな気がしてくる

    中学の合唱コンクールが懐かしい
    練習中、男子がすぐ遊び出す
    真面目な女子が怒る
    時期が迫るとどうにかまとまってくる
    本書と一緒
    いつの時代も一緒なのかも〜

    中一の時の曲は今でも忘れられない
    隣のクラスは青春ぽいのに、うちのクラスは…ソーラン節だった
    ♪ヤーレンソーラン、ソーラン、ソーラン、ソーラン、はいはい♪〜
    真剣な顔で大きな口開けて指揮者に注目している集合写真
    自分の顔がブサイクに写っていて気に入らなかったのも、ついでに思い出した

    随分前に大人になってしまった私も、あの頃に少しだけ戻れた気がして楽しかった
    『百瀬、こっちを向いて』の方が好きなのですけどね

    五島列島、一度は訪れたい
    続きを読む

    投稿日:2024.02.29

  • ミルクコーヒー

    ミルクコーヒー

    若さが愛おしい。
    好きじゃないけど、そばにいて欲しい人っているよね。
    作者は本当に多彩だなぁ。乙一の別名だと読んだ後に知ってとっても驚いた。

    投稿日:2024.01.07

  • sono0621

    sono0621

    いつか行ってみたいと思っている五島列島を舞台にした中学生の青春ストーリー
    五島の景色や合唱のハーモニー、想像しながら読んだけど映画でも観てみたい。

    投稿日:2024.01.06

  • にこ

    にこ

    主人公がたくさんいて、視点も変わりますが、主要人物の個性がはっきりしているためかさほど混乱せずによめました。
    「手紙」はやっぱりいい曲ですね。章ごとにある、生徒が未来の自分にあてた手紙が印象に残ります
    五島列島が舞台で、終わり方も爽やかです。
    続きを読む

    投稿日:2023.12.17

  • ゆつ

    ゆつ

    文化祭の夕方、合宿最終日の夜。ああ、終わっちゃうんだなぁという切なさが蘇ってきて、青春だなぁと思った。

    アキオとドロップスのエピソードが
    予想外の繋がり方でグッときた。

    投稿日:2023.11.12

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。