【感想】白いへび眠る島

三浦しをん / 角川文庫
(181件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
21
61
66
19
1
  • 和風ファンタジー

    閉鎖的で古い因習の残る拝島。小さな島で、十三年ぶりの大祭が開かれる。だが、高揚する空気の中に混じる「あれ」の目撃情報と不穏な気配。島に馴染めない主人公・悟史に、持念兄弟である光市との絆。目に見える不思議、カミサマ。それとは別に、島に対する思いと葛藤。自由の意味。荒太と犬丸の関係も面白い。島を離れる時に悟史の口から出た「帰ってくるよ」は、光市にとって何より嬉しい一言だろう。続きを読む

    投稿日:2014.09.23

  • 最後はスッキリ晴れます。

    読み手だけが知り得るファンタジー。登場人物たちは現実なのです。なので、とても不可思議な事が起こるのですが、それを宇宙から観ている私はこの世のものではない存在を知ることになるのです。「最後にそうだったのか」って。続きを読む

    投稿日:2013.10.14

  • すらすらいかない?

    なんとなく読み始めがすらすらといかない。。。大好きなしをんさんの作品なんだけどって感じでした。
    でも、数ページ過ぎるうちに、どんどん世界観に引き込まれていきました。
    登場人物、それぞれがそれぞれに抱く島への思いが切なくて美しい。

    最後に載っているごくごく短い短編が、とってもいい。
    続きを読む

    投稿日:2015.03.30

ブクログレビュー

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  • URIKO

    URIKO

    このレビューはネタバレを含みます

    いや~、「ページをめくる手がとまらない」という意味では、これまた面白かったです。
    閉鎖的で、なんだか伝統や土着の風習や信仰に囚われたままの島、「あれ」がでたという噂、「持念兄弟」って何よ、悟史が見てしまう「不思議」とは、いや、わりと早い段階で「あれ」が姿現したな、と思ったら、悪戯か?!、荒太と犬丸は限りなく怪しいやろ、と、どんどんどんどん疑問が湧いてくるので読む手が止まりませんでした。ホラーのような、ミステリーのような、ひと夏の冒険という感じのような・・・この小説を一言で表すのは難しいです。

    三浦しをんさんって、読む本読む本で全く違う顔を見せてくれる作家さんだと思いました。共感してくださる人はいるかしら。
    人智を超えた何かや神域という点では、神去村を思い出しましたが、本書の作者名を隠されて読んだとしたら「三浦しをんさん!」と当てることはできなかったと確信しています。

    この拝島に関するあれこれはどこか実在の島がモデルになっているのでしょうか。このような島独特の信仰や風習がまだまだ残っているところもきっとあるのでしょうね。

    先が気になって気になってどんどん読み進め、ついに大祭の日がやってきました。ここから先は、神域での冒険といった感じになってきました。

    荒太は「カミサマなんていない」と言いましたが、信仰の根源となるところに注連縄をつけた後のことを知る限り、たとえ「カミサマ」はいなくても、神の力はあるんだと思いました。だって、あの洞窟には「あれ」や海に漂う黒い頭は入って来れないし・・・

    それまでの色々にだいぶ心躍らされていたので、最後はわりとあっさりだったな、と思いました。それに、考えれば考えるほど、分からなくなることもありました。

    伝説の白い蛇とシゲ地の荒神(?)、二つの力がこの拝島の「奥」の均衡を保っているのか・・・どうもこの二つがごちゃごちゃになってしまうし、力の違いなどがわからない。そして、このシゲ地に祀られている(?)ものは、「鱗付き」がずっと相手をしないといけないのか・・・

    荒太がシゲ地の荒神を島の外へ連れて行ったことで、「長男だけが島に残る」といったような古い風習は少しずつ変わっていくのでしょうか。悟史も決心がついたようだし。私の理解が正しかったら、拝島の「奥」の未来に希望がある終わり方だったと思います。

    最後の「文庫書き下ろし」でかなり理解が深まる気がするので、これがない単行本を読んでいたら、理解力のない私は首を捻っていたかもしれません。情けない・・・。

    私の理解力の問題で、なんとなく腑に落ちない点もあるし、途中の盛り上がりとラストのあっさりにギャップがあった気がするけれど、神の力が及んでいるものなんだ、すっきり理解できなくていいんだ、と思うと単純に「面白かった!」とお勧めできます。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.05.13

  • ハリケーン

    ハリケーン

    拝島のしきたりや大祭の状況を理解するのは難しかった。
    “自由”と“逃げる”の違いが深く、一見逃げたように思われてしまうけれど、自分を支えてくれる人たちがいるから羽ばたける、それが自由。その存在がたった1人でもいてくれればいいのだと感じた。
    最初は、主人公が思い悩んで詰まっているような重さがあったが、最後の船に乗る場面はびっくりするほど、清々しい情景でありそれを文章で感じさせるところがすごいと思った。
    続きを読む

    投稿日:2024.01.13

  • あなん

    あなん

    田舎の島に伝わる伝承や伝説を主題にした内容。
    田舎だからこその景色や文化など様々な描写が美しく想像できる。
    幼い頃からの親友との信頼と友愛を見ることで
    その温かさや寂しさを体感できて良い意味で苦しかった。
    みなの未来がたのしみ。
    続きを読む

    投稿日:2023.12.20

  • はるなま

    はるなま

    ファンタジーな出来事が起こりながらも、集落の様子、そこで暮らす人々の様子を楽しむことができる作品でした。皆それぞれの場所で元気に暮らして欲しいですね。

    投稿日:2023.09.09

  • はるじん

    はるじん

    父の遺した本棚から。
    古い因習が色濃く残る島で、不思議体験をする主人公。
    現実には起こり得ないことだけど、この島ならあるかもなぁ...と思わせる。
    なんだかハリーポッターを読んでいるような気分になった続きを読む

    投稿日:2023.08.14

  • Jasmine

    Jasmine

    田舎の小さな島の夏を感じる一冊。
    映画にしたらとてもきれいで不思議な映像になるんだろうな、と思いながら読んだ。

    この作品に出てくる「女踊り」や「持念兄弟」は河口の稚児舞や寝屋子文化に近く、舞台は架空の島だけれど、日本のどこかにある田舎の島、と想像をかき立てられた。

    古い因習が残るけれど、少しずつその伝統が薄れていきそうな予感のする土地で、そこに住む光市と、島から離れて生活している悟史。その妹の日和子と同級生・佐和子。神社の次男・荒太とその友人・犬丸。
    対になる彼らが信頼し合って、血縁ではないのに血縁以上に繋がり合ってる感じが、しっとりと胸に残る。

    白蛇や「あれ」がいったいなんなのかははっきりされず、賛否両論があるが、謎が謎のままなのが良かった。
    そもそも昔話や伝承は口伝で話が変わっていたり、ちゃんと記録が残っていなくて、昨今の民俗小説のように理屈っぽくなく(それはそれで興味深くおもしろいが)、ファンタジーとしてとても楽しめた。
    続きを読む

    投稿日:2023.06.10

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