【感想】月魚

三浦しをん / 角川文庫
(612件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
163
181
172
38
8
  • 壊れそうな美しさ

    本作は著者の初期作品の一つです。古書業界をモチーフに、古書店店主・真志喜とその幼なじみ・瀬名垣(太一)の関係が描かれています。
    静かで時の止まったような古書店の描写が多いせいか、物語は静謐な空気に満ちている感じがします。登場人物の心情はもちろん、なんということのない動作さえていねいに描写されていて、場面の一つ一つをはっきりと思い浮かべることができます。
    まるで細い糸で編んだように繊細な物語ですが、読後には心地いい余韻が残りました。
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    投稿日:2013.10.23

  • 静かな緊張感の心地よさに酔う

    出す本出す本とヒットに繋がる三浦さん
    初期の頃のこの作品は注目度があまり高くないようですが
    静かな緊張感を張詰めた作者の力を感じる作品でした

    この作品には一般的な愛とは違った愛の形が描かれていますが
    そこに目を向けすぎると話し全体に霞が掛かってしまいますので
    物語全体の静寂性や繊細さを楽しむのが良いと思います
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    投稿日:2014.06.17

  • 宝物箱にしまっておきたいような物語

    取り返しの付かない罪を共有しそれによって縛られた二人の男が解放されていくお話とも言える。

    古本業を生業とした二人なのでその世界のからくりも面白く読め、また「罪」の部分も絡んでくる驚きもある。しかし、この物語の本当の輝きは一瞬の情景の描写だったり、それに映された二人の秘めた思いだったり・・・。「嗚呼!」と叫びたくなるような場面が幾つも出てきます。

    ひっそりと誰にも教えずにそっとしまっておきたくなるようなお話でした。
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    投稿日:2014.01.08

  • 異質な世界と確かなもの

    人間の、とても繊細な部分を映した作品。二人の関係と、それぞれの親子、家族の関係。どこかもろくて危なっかしいものだけど、確かなものでも繋がっていて。どこか異質な古本を生業とする世界が、そんな関係をより際立たせているような気がする。三浦しをんさんをますます好きになった作品。続きを読む

    投稿日:2013.10.11

  • 読みやすい本です。

    古本屋を舞台に繰り広げられる
    2人の若者の物語。

    風景描写が細かく
    読み進めていくうちに
    場面の雰囲気が伝わってきます。


    ちなみに『月魚』は
    【げつぎょ】と読むそうです。

    私この本を読み終わってから
    読み方をネットで調べました (笑)

    お恥ずかしい…。


    本を読む、そして
    読み終えた本は次の手へ。

    紙の本ならではの(失敬) 本の優しさ
    そして、人との関わり。

    本を選ぶ嗅覚が研ぎ澄まされそうな1冊です。
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    投稿日:2014.04.22

  • 面白い連作短編集

    三浦しおんさんって日本語が綺麗ですよね。
    この作品もそのあたりは十分堪能できます。
    読む人によって感じ方が大きく異なる作品だと思います。読み手にゆだねてる部分が多いので頭の回転がいま一つの私にはちょっと難しい作品でした。
    読み終えてから「月魚」っていうタイトルが素晴らしいと感じます。
    繊細で美しい物語でした。
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    投稿日:2015.07.19

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ブクログレビュー

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  • NG4

    NG4

    本を愛する者は独占欲が強いらしい
    それが本当なら自分もそういう所があるかもしれない
    綺麗な本だと思った

    ナナオが勧めたから読んだ
    いい本だった

    投稿日:2024.04.25

  • ぱー

    ぱー

    『きみはポラリス』で三浦しをんを知り、2冊目に手に取った作品がこちらです。私は男性同士の友人以上の関係性に萌えを感じるいわゆる腐女子なのですが、この作品の瀬名垣と真志喜のつかず離れずな焦ったい関係性にも例に漏れず興奮しながら読んでおりました。特に大きな出来事が起こるわけではないですが、2人の主人公がそれぞれ相手と古本とそして過去の罪と向き合っていく過程が、美しく繊細で、どこか官能的な文章で綴られた物語。大きく2部構成になっていて、後半は主人公2人を側から傍観している第三者の視点で書かれています。物語の山場は前半にあるのですが、この後半がいいんです!瀬名垣の「妬心」とか、真志喜の「熱情(第三者からはそう見えるんだとびっくりした)」とか、直接的ではないものの、相手に対して明らかに友人以上の感情を抱いていることが感じ取れる表現があり、好きな人は好きだと思う。あさのあつこの解説も良いので最後まで読んでほしい!続きを読む

    投稿日:2024.04.19

  • 2063476番目の読書家

    2063476番目の読書家

    BLの匂わせくらいな話が読みたくて探していたらことごとく名前が上がっていて読んだ本。薄いからさらっと読めて、でも確かにその通りで満足感があった。途中の青春が詰まりまくった彼らの過去の話も良かったなあ。
    古書店という設定が静かで綺麗で、一層ふたりだけの世界に閉じこめられているかんじがしたし、確かに共依存ではあったけど、あの2人にはずっとこのままお互いを離してやれないままでいて欲しい。
    でももっと彼らの話を読みたいなあと思った。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.31

  • なつこ

    なつこ

    本をこよなく愛する、本に魅了された、本を取り巻く男たちの物語なのか、美しい青年らの美しいプラトニックなBLなのか…どっちもなんだけど、どちらに神経を研ぎ澄ませは良いのかと言うところでどちらもじれったく結果ぼんやりと終わってしまった。
    そんなわけで同時進行ではちょっと勿体無いかなと思いました。

    勉強不足で申し訳ないのですが、瀬名垣(せながき)と真志喜(ましき)の物語はこれで終わり?
    2人で古本にまつわる謎解きシリーズなどあれば読んでみたいと思う。そんなお話し。

    ちなみに月魚…げつぎょと読むそうで、言葉としての意味はないようです。
    月と魚は決して同じ場所に共存することはできない…池に映る月くらい危うい関係という比喩的な意味合いであると受け止めました。

    今年の7冊目
    続きを読む

    投稿日:2024.03.15

  • anne

    anne

    このレビューはネタバレを含みます

    2024再読本
    .
    #三浦しをん / #月魚

    .
    .
    .
    【古書の魔力】にとり憑かれた本田家と瀬名垣家の男たちは、家族の絆をも古書で失ってしまう。それでもその世界から永遠に離れられない真志喜と瀬名垣。

    そんなふたりの人生の葛藤と、本への愛情を丁寧な描写で描いた作品。

    これは古書に真摯に向き合うふたりのお仕事小説でもあり、秘めた情愛を互いに認め合っていく純愛小説でもある。

    でもおそらくわたしを含め、多くの読者の印象に強く残るのは【純愛小説】としてだろう。

    では、青年同士の純愛、つまりは巷で人気な【the BL小説】という感じかと言われれば……

    確実にそれらとは一線を画しているのが、作者の技量でありバランス力!

    父を失う事になった為に瀬名垣が自分と居る事を選び、その事で古書屋としての可能性も狭めていると思っている真志喜は、【古書屋としては罪悪感にかられている。】

    方や、【恋慕する相手としては、そんな罪悪感にすら甘く暗い充足感を感じている。】

    この【二面性】を絶妙なバランスで描くことで、同人的要素を含みながらも、一部ではやる腐女子文学とは一線を画している。

    純文学のような美しい文体で描かれた、切なくも優しい世界観を味わってください

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.02.26

  • 秘 密

    秘 密

    二人の唯一無二の関係性が尊すぎて、美しすぎて…読了後、ずっとこの世界にいたい、二人を見ていたい、と思わずにはいられなかった。(2023.7.)

    投稿日:2024.02.11

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